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闇色の蝶が舞う前に

#ダークセイヴァー #疫病楽団

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#ダークセイヴァー
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#疫病楽団


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●悲劇を招くは…
 その村は、山奥にある小さな村でした。
 村人たちは貧しい生活に苦しみながら、それでも寄り添って仲良く暮らしていました。
 この生活を脱せるとは思わない。けれど、このささやかな生活はいつまでも続けていたい。それが、彼らの願いでした。
 ですが、そんな願いは突然叶わなくなりました。

 音が聴こえる。いや、こんなの音ではない、ノイズだ。
 幾重にも重なり不協和音となり、延々と終わらない。
 耳につんざくほどのノイズを背景に闇色に染まった蝶が舞う。ひらりと一羽を見かけたと思った瞬間、おびただしい数の蝶があっという間に、空を、畑を、家屋を、村人を、村全体を覆い尽くす。村人の叫びも嘆きも打ち消して。

 どのくらい経ったのだろうか。
 ノイズが止み、蝶が去った村に残されたのは、赤と黒に染まった村人たちの亡骸、そして近づきがたい死の匂いのみ。

●グリモアベースにて
「…み、みなさん、集まってくださり、ありがとうございま、す」
 猟兵たちが振り向くと、上品な衣装を着込んだ小さな黒猫が待っていた。右手には握り潰された紙がある。
「こ、今回の案内をさせて、いただきます、アルディオです。よろしくお願いし、ます」
 緊張しているのだろう、彼、アルディオ・ハルヴァス(人見知りケットシー・f05197)がたどたどしく言葉を並べてからぺこりとお辞儀すると、猟兵たちも思わずお辞儀で返してしまう。
 頭を上げたアルディオはくしゃくしゃになった紙を見て、一瞬しまったと言いそうな表情を浮かべかけたがなんとか耐え、咳払いをして紙を広げる。必死にメモをしてきたであろうそれを見ながら、今回の依頼の詳細を話し始めた。
「今回は、『疫病楽団』と呼ばれているオブリオンたちを、倒して欲しい、です。…ダークセイヴァーにある、とある村がその『疫病楽団』によって滅ぼされる未来が、みえました」
 『疫病楽団』と聞いてぴくりと反応する猟兵もいた。最近、つつましく暮らす村に不治の病をもたらすとの噂のオブリオンだ。
「オブリオンは、蝶の形をしていて、見ただけで重い病気を与えてしまう、そうです。しかも、一羽ではなく、たくさんの蝶が一気に襲ってくるん、です。あと…とてもうるさい音が聴こえました…あの音で、蝶たちを動かしているかも知れません」
 ただ、どこから音が鳴っていたかは分かりませんでした、ごめんなさい。と、大きな耳を下に垂らしながらアルディオは言う。数が数だけになにか対策を考えたほうがいいかもしれない。
「あ、あの…今回行ってもらう村は…野菜を育てていて、それが、すごく美味しいそう、です。村人さんはいい人ばかりなので、もしかしたら、美味しい料理をいただける、かもしれないです。
 それと、村の近くには森があって、石や木の実をつかった装飾品やおもちゃも作ってるそう、なので…ご飯を食べたら、作り方を教えてもらうと、いい、かと」
 全ての説明を終え、アルディオはゆっくり確認をしながら陣を描く。そうして完成したのは、ダークセイヴァーへ向かうためのゲート。不備がないことを確認した彼は、猟兵に向かって言う。
「ぼ、僕はここで、みなさんの帰りを待ちます。大変だと思いますが、村人さんたちのためにも、どうか手を貸してください。よろしくお願いしま、す」


高岡こころ
 【闇色の蝶が舞う前に】のオープニングをご閲覧いただき、ありがとうございます。マスターの高岡こころと申します。
 第一作目は、強者に屈しながらもなんとか生きようと人々が奔走する世界、ダークセイヴァーよりお届けします。
 アルディオからも説明がありましたが、今回は山奥にある小さな村を滅ぼそうとする『疫病楽団』のひとつを迎え撃っていただきたいと思います。

●本シナリオの構成
 第1章:日常→第2章:集団戦→第3章:集団戦 となります。

●第1章について
 村人のみなさんは猟兵である貴方の突然の来訪を驚きながらも、心から歓迎してくれます。自慢の野菜を使った料理でおなか一杯にしてくれます。好きな野菜を伝えたら、とびっきり美味しい料理が食べられるかも?
 また、村には、植物や石を用いて装飾品やおもちゃを製作することができます。村人との交流も兼ねて是非プレイングに添えていただけたら幸いです。
 ただし、村人たちはこのあとオブリオンが襲ってくることを知らないので、そこはご注意を。第二章以降に向け、対策や作戦、戦闘方法などお考えいただければと思います。

●マスターよりお願い
 同行者・連携者がいる場合は、『必ず』お相手様のお名前とキャラクターIDを添えてお書きください。両方の記名がない場合、一方のみでの表明の場合、プレイングをお返ししてしまう場合がございます。
 制限のある文字数を消費させてしまいますが、リプレイ製作時のミス防止のため、予めご了承くださいませ。

 それでは、みなさまのプレイングを心よりお待ちしております!
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第1章 日常 『ささやかな物作り』

POW   :    乙女の心を慰める、小さな装飾品を作る

SPD   :    子どもたちのため、素朴な玩具を作る

WIZ   :    災いを遠ざける、魔除けの飾りを作る

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●歓迎
 アルディオのつくったゲートを通り、ダークセイヴァ―に降り立った猟兵たち。
 文字のかすれた看板やひび割れた道を頼りに、1時間ほどかけて歩くと徐々に目的地である村が見えてきた。
 簡素なつくりの門をくぐると、外で作業していた村人たちが一斉に君たちのことを注目する。
「あらあら、旅のお方。こんな山奥までどうされたのですか?」
 村人のひとりが声をかけてくれる。猟兵たちが話せる範囲内で事情を話すと、あらまぁと驚きを隠せずにいるものの、それでも嬉しそうに声を弾ませた。
「こんな辺鄙な村までようこそ。お腹がすいているようでしたら、ご飯でもいかがですか?さすがに、都会のような豪華なものはご用意できませんが…」
 それなら手伝うぞと、周りの村人たちが準備をはじめようとして、徐々に賑わいはじめる。好きな野菜があればそれに合わせた料理を用意してくれるという。
 せっかくの村人たちからの提案だ。このあたたかい歓迎を受け、この村の美味しい野菜を味わってはどうだろうか?
真幌・縫
ぬいの好きなお野菜のお料理。じゃがいもさんのスープとかマッシュポテトとが好きかな?ぬい。お野菜の好き嫌いない…とは言いきれないけどだいたいのものは食べることはできるよ♪

村の人にご馳走してもらうだけってのは悪いから何かできたらいいなぁ。子供達のためのおもちゃ作り…!うん!ぬいにもできることならやりたいな!
おもちゃ…ぬいぐるみさんならUCで増せるけど…びっくりさせちゃうかな…こっそり何体か作ってみようかな…。
くろねこさんかサジ太かうさぎさんか。
【優しさ】と【祈り】を込めて。
この子達がみんなを守ってくれますように。

アドリブ歓迎。



●さぁ召し上がれ!
「んんー…っ!」
 真幌・縫(ぬいぐるみシンドローム・f10334)は目の前に出された料理を感嘆の声をあげながら口に運んでいた。
 猟兵たちは村の中で一番大きな建物だという集会場に案内され、そこで歓迎会のような食事会を開いてくれることになった。
 村人が急いで用意してくれた料理たちの中で特に彼女が気に入ったのは、パリっとしたレタスの上に乗ったマッシュポテトと、あたたかい湯気がただようじゃがいものポタージュだ。
 美味しい料理を堪能している縫に、優しそうな老婆が声をかける。
「お野菜ばかりでごめんねぇ。もっとおいしいものを作りたかったんだけど、これが精いっぱいで…」
「そんなことないよ!ぬい、嫌いなものは…ないとはいえないけど、だいたいのものなら食べられるよ♪」
「そうかいそうかい。それなら良かった。おかわりも用意しているから遠慮なく言っておくれ」
 客人が来る事自体ひさしぶりのことだったのだろう、縫の隣にいる老婆だけではなくその周りにいた村人たちが安堵したような表情を浮かべた。
 ひとしきり食事が落ち着いたところで、今度は縫から提案する。
「ねえ、おばあさん。こんなにおいしい料理をごちそうになってるだけじゃ悪いよ。ぬいに、なにかできることはない?」
「ううん、そうだねぇ…それなら、村の子どもたちが遊んでくれるおもちゃを一緒につくってくれるかい?」
「子どもたちのためのおもちゃ作り…!うん!ぬいにもできることならやりたいな!」
 綺麗に食べきった食事の片づけは他の村人たちにお願いして、他の猟兵たちとともにおもちゃなどをつくる作業小屋に向かう。村の作業小屋は集会場を出てすぐ近くの所に建てられていて、自由に出入りして中にある道具などは自由に使って良いそうだ。ただ夜は周りの人に迷惑かけてしまうかもしれないので、できれば作業小屋は使わないで欲しい、ということだった。
 説明を受けたところで、縫もなにをつくろうかとしばらく考えてみる。周りを見ると村人から教わりながらおもちゃやアクセサリーをつくる人もいるようだ。
(おもちゃ…ぬいぐるみさんならUCで増せるけど…びっくりさせちゃうかな…こっそり何体か作ってみようかな…)
 どんなぬいぐるみにしようかとまたしばらくだけ考え、そして、「よしっ決めた!」と意を決して、縫は机に向かう。
「『生産開始しまーす。』」
 その一言を皮切りに、縫の動きが急に俊敏になる。愛用の裁縫道具を取り出して、迷いもなく針と糸を扱う姿は、ついさっきまで美味しい料理に癒されていた少女とは別人のようだ。
 村人たちが用意してくれた素材をふんだんなく活用し、古びた布を繋ぎ合わせ、ふわふわの綿を入れ、【優しさ】や【祈り】を込めて、形を整えていく。
 そうして完成したのは、縫が最も得意としているぬいぐるみだった。猫のぬいぐるみに、うさぎのぬいぐるみ、そして彼女がいつも連れて行っているサジ太に似たぬいぐるみだ。最後に森で採れた木の実や葉を小さなアクセサリーに作り替えて、頭や胸の部分にそっと添えてあげる。アウトドアな雰囲気のただようぬいぐるみだ。
「おやまぁ、すごいねえ…!」
「えへへ…これでみんな喜んでくれるかなぁ?」
 老婆の驚く声に対して、縫は照れ笑いを浮かべる。他の村人たちも関心があるらしくまじまじと完成したばかりのぬいぐるみを見ている。
「じゃあ、これ全部、みんなにあげてくるね!」
 そう言って、縫はこどもたちがいるところに向かう。
 このぬいぐるみたちがこれから出会うこどもたちを守ってくれますように。
 そんな願いを胸に秘めながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フローライト・ルチレイテッド
SPD分野で参加です。

では楽器を作りましょう。
音楽を広めていくのです。

指定UCを使用して木で作れそうななるべく簡単な構造の弦楽器と管楽器の部品と完成品、
加工に必要な道具等を作り出して、【野生の勘】と【楽器演奏】の知識を駆使しながら、せっせと作成を開始します。
【D.D.D~魅惑のダンディ】でお手伝いにダンディロボットバンドマン達を追加し、ある程度の数を作ります。

音楽に興味を持つ入り口になってくれたらいいなということで、完成したら完成品を【地形の利用】で目につく場所で、
【楽器演奏、存在感、パフォーマンス、誘惑、おびき寄せ】を駆使して鳴らしてみましょう。
誰か連れたら弾き方を教える方向で。



●小さな村の大きな演奏会
「なぁ、なんかすっげーのやってるらしいよ!」
「ほんと?みたいみたい!」
「あっちでやってるんだって!いってみよう!」
「あぁ、もう、まって!おいてかないでよぉ!」
 村の子どもたちがバタバタと急ぎ足で走っていく。向かうのは、村の中心部にある小さな広場。その中央にはすでに人だかりができていた。
 すでに囲んでいた大人たちをぐいぐいと押しのけて、あるいは大人たちが譲ったりして一番前まで出ると、フローライト・ルチレイテッド(重なり合う音の色・f02666)が【D.D.D~魅惑のダンディ】でお手伝いとして呼んだダンディロボットバンドマンたちと歌い、村の近くある木からつくった楽器を奏でていた。
 高らかに歌うその歌声は弦楽器や管楽器との相性がよく、美しくのびやかに、村人たちの心を癒してく。
「~♪」
 そうして、フローライトが歌い終わると、周りから拍手があふれた。村人たちは全員揃って満足そうな表情を浮かべている。
「ねぇねぇおにいちゃん!!」
「ん?」
 フローライトのすぐ目の前にいた少女が、くりくり丸い瞳に輝きを灯しながら声をかけてきた。フローライトが視線を少女に合わせると、彼女は無邪気に彼の持っていたギターを指さした。
「あのね!メル、おにいちゃんたちがもってるがっき、ひいてみたい!」
「あっ、メル!」
 少女を止めようと、少し背の高い少年が前に出る。少女の兄だろうか。
「ダメだよ、急にそんなこと言ったら…旅人さん困っちゃうだろう?」
「えぇー!ひいたみたいー!!」
「メルにはこんな大きいの、弾けないよ…」
「そんなことない!メルだってひけるもん!!」
「弾けない!」
「ひーけーるー!!」
 そうして始まってしまった兄妹の口論。やんややんやと言いあうその内容は可愛らしいものだが、徐々に少女の目におおきな滴が零れそうになる。
 そんな兄妹の口論を止めに入ったのはフローライトだ。
「……僕は別に弾いちゃダメだとは言ってないよ?」
 そう言いながら、フローライトは持っていたギターを少女に渡す。少女には少し大きいギターを受け取り、ほんの少し倒れそうになったが、それを慌てて兄が支える。
「いいの!?」と少女が聞くと、「もちろん」とフローライトは返す。
「君にも覚えられる、簡単なコード教えてあげるよ。僕は、ここに音楽を広げたいんだから」
 そう言って、フローライトはゆっくりと静かに微笑むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノア・アストレア
ボクは、食べ物の好き嫌いはあまりありませんが……野菜の中では人参が好みですね。

振る舞われてばかりというのも申し訳ありませんし、感謝の気持ちと【祈り】を込めて、十二宮の星座をモチーフにした魔除けの飾りを作らせて頂きます。

この村のささやかな幸せが、一秒でも長く続きますように――。
……そのために、ボクも頑張らなきゃ。

(アドリブ等歓迎)



●祈りをこめて
「先ほどは美味しいご飯を、ありがとうございました。とっても、美味しかったです」
 ノア・アストレア(オラトリオの聖者・f18667)がほわっと笑みを浮かべながら、人参を栽培しているという村人のひとりにお礼を言う。
「いいっていいって!急ごしらえだったけど、旅人さんに喜んでもらえたならよかったぜ。あのグラッセとスープは、うちのカミさんの得意料理また腹が空いてきたら声かけてくれよ?」
 村人ははははっと豪快に笑ってから、じゃあちょっと他の所に行くと言ってノアの側を離れた。
「…さて、と。僕も振るわれてばかりではいけないですし…何を作りましょうか」
 ノアは村人からもらった素材を見て、ううんと頭を悩ませる。頭に咲く桔梗の花が一緒に揺れる。まるで『どうする?どうする?』と尋ねているようだ。
「…そうだ、あれをつくりましょう」
 ノアは石を手に取り、カリカリと削り始める。途中、村人から教わったり、より加工させやすい道具を借りたりして、ゆっくりと確実に、【祈り】をこめて静かに作業を進めていく。

「……できた」
 出来上がったものを掲げてみる。
 それは、12の星座もモチーフにした魔除けの飾りだった。プロではないので、削り足りないところもあるけど、それでも十分に魔除けとしての役割は果たしてくれそうだ。
 手作りの魔除けの飾りを胸に当て、改めて祈る。
「この村のささやかな幸せが、一秒でも長く続きますように」
 ……そのために、ボクも頑張らなきゃ。と、ノアは改めて決意を抱くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パルシー・ミュレット
SPDで行動。
人参!人参大好き!生でも茹でても焼いても食べられるよ!
玉ねぎはちょっと苦手……猫だし。
「とても美味しかったよ。ごちそうさまでした!」

食事の【恩返し】に、僕も何か玩具を作ってあげたいな。
大がかりなものは難しいけど、簡単な玩具なら作れるよ。
同じくらいの大きさの小石をいくつか集めて、色を塗って「おはじき」にしよう。
喜んでもらえると嬉しいな。
玩具の材料を集めるついでに、村の中を、見ることが出来る場所だけでも見て回りたいな。
オブリビオンと戦っても村人を巻き込まずに済む場所や、
村人を安全に避難させられる場所などの目星をつけておきたい。

アドリブ歓迎です。



●確認もたいせつなこと
「とてもおいしかったよ!ごちそうさまでした!」
 パンッと手を鳴らして、パルシー・ミュレット(気ままな旅人・f05132)は食事を食べ終えた。ああ美味しかった、特に人参たっぷりのスープ。猫の種族なので玉ねぎは苦手なため遠慮してしまったのがちょっと申し訳なかったが、本当に美味しかった。
「わー…!ねこさんだぁ!」
 突然声が聞こえてきて、振り向くと小さな女の子がパルシーのことを見ていた。彼女の後ろにも子どもたちがいる。人間しかいないこの村で余程ケットシーの存在が珍しいのだろう。
「こんにちは、猫さんだよぉ♪」
 パルシーが茶目っ気たっぷりに挨拶すると、子どもたちはきゃあきゃあと嬉しそうに声をあげる。
「ねこさんねこさん!あのね、いっしょにあそびたい!」
「おそとにね、みんなで遊べる広場があるの!」
「わたしたち、いつもそこで遊んでるの!」
 各々からどんどん言葉が飛び出して来る。パルシーはうんうんと頷いて、
「いいよ!猫さんと遊ぼう!」
 にっこり笑顔で言う。そして、ふと思いついたことを子どもたちに提案してみる。

 ぱちん、ぱちん、ぱちーん。
 石の弾ける音がなんだか心地いい。パルシーが【恩返し】として作ろう提案したのは、おはじきだった。同じくらいの大きさの石を集めて、筆に染料をつけて塗る。子どもたちにも同じように教えると、模様を描く子、花や大好きな野菜の絵を描く子、色を混ぜすぎて黒くなってしまった子など、いろんな色、いろんな模様のおはじきができた。まるで空にかかる虹の欠片を作ったようだ。
「ねこさん!これたのしい!」
「ねこさんみてみて!あたらしいおはじきつくったよ!」
「ねこさん!ここどうやったらいいの?」
「ねこさん、おはじきどっかにとんじゃったよぉ!」
 ねこさんねこさんと呼ばれ続け、パルシーは大忙し。でもパルシーはなんだか楽しそうだ。
 そして、猟兵としてのお仕事も忘れない。子どもたちのお世話をしながら、足りなくなった石を集めるついでに、村の様子を見てみる。
 村そのものはそこまで大きくはないものの、広場は収穫祭を行うには十分な広さはある。西側の、つまりパルシーたちが石を集めている森は西側にある。
 村人の住む家屋は木造ではあるが、しっかり戸締りすれば中まで侵入されることはないだろう。心配なら集会場と作業小屋に固まって貰ったほうがいいかもしれない。
「……なるほどね」
 少し、対策を考えなければいけないのかもしれない。
 パルシーは子どもたちに対応しながら、来たるべきその時がくるまで頭を巡らせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『病の先触れ『ヤミイロシチョウ』』

POW   :    其は貴賎問わず等しく与えられるもの
【蝶が擬態した髑髏の爪】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    いずれ来る時に悔いること無き様
【不治の病に罹る未来を相手に予期させるため】【不吉と忌み嫌われる姿を目前に晒すことで「】【身体的苦痛」「不自由」「愛別離苦」の心象】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    死の訪れに備えせよ
【自身や親しい存在の病や死への恐怖】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【死病を運ぶ髑髏の霊】から、高命中力の【体力を奪う毒の鱗粉や感染力の強い病原体】を飛ばす。

イラスト:マツクロ=ダイナ

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●悲劇を呼ぶ音がきこえる
 夕暮れ、もうすぐ夜を迎える。猟兵たちを歓迎するムードがようやく落ち着きつつあるところに、この村の村長だという老人が猟兵たちに話しかけてきた。
「みなさん、今日は本当にありがとうございました。ひさしぶりの客人で、みな一同張り切ってしまいまして。…ご迷惑ではなかったでしょうか?」
 いや、そんなことはない。そう答えると、村長はああよかったと、他の村人たちと同じように安堵を漏らす。
「みなさん、さすがにお疲れですし、この時間からは暗くて少しの先も見えなくなりますよ。もしみなさんがよければ、今晩泊まっていかれませんか?空いた家屋に案内しますよ。必要なものがあれば…」
 村長が最後まで言おうか言わないかのあたりだった。

 音が、聞こえてくる。
 最初は、じれったいセミの鳴き声かと思ったが違う。これは、もっと、別の、五月蝿い音。
 たぶん、これが、アルディオで言っていた【音】ーー。

 もうすぐやって来る。死と滅びと呪いを持ち込まんとする、あいつらが。
パルシー・ミュレット
◆心情
小さくても、ここには確かな幸せがあるんだ。
それを壊すことなんて絶対に許さないよ。

◆行動
まずは村の人たちの安全を確保しよう。
ユーベルコード『ネコアクション』を使うよ。
村中を急いで見て回り、民家の戸締りを呼びかけるよ。
外にいる村人を発見したら、集会場か作業小屋に避難してもらおう。
「ボクがきっと守るから安心して。集会場に逃げるんだ」

蝶を見つけたら、拳銃もしくはダガーを使った【早業】で素早く倒していくよ。
とくに、村人を襲っている蝶や避難の邪魔になりそうな蝶は、優先的に倒すよ。
村人がみんな避難したら、残った蝶を全部倒そう。

それにしてもこのノイズ……いったいどこから聞こえるんだろう?

アドリブ歓迎です



●必ず止めるから
「……この音ってもしかして!」
 パルシー・ミュレット(気ままな旅人・f05132)が振り返り、他の猟兵たちに確認する。みな一同、同じことを思っていたようだ。
「大変だ…僕、みんなに避難するように呼び掛けてくる!」
 そう言って、パルシーは駆け出す。
 駆け出しながら、パルシーの瞳孔が縦に伸び、やわらかなヒゲがピンと張る。ユーベルコード『ネコアクション』を使用したのだ。
「『ふふん、猫の本気、見せてやりますにゃ』」
 口調までもが猫のそれになって、速度が急速に跳ね上がる。
 途中転びそうになりながら、村の入り口から端っこまで走る。走る。
「みんなー!!あぶないのが来るから避難してー!!!」
 なんだなんだとざわめく村人たち。必死の表情を浮かべるパルシーを見て、これはただごとではないと理解したのか、どうしようどうしようと不安げになる。
 パルシーはにっこり笑顔を浮かべて、けれど茶目っ気のない優しい笑顔で村人たちに言う。
「慌てないで!ボクがきっと守るから安心して。集会場に逃げるんだ」
 入ったらちゃんと戸締りしてね!そう言って、パルシーは急いで他の場所に向かって走り出す。

 ふと視界にちらつく。なにかと思えばそれは蝶の翅。危険な鱗粉をこぼしていきながら、村を舞う。
「…蝶が来ちゃったにゃ!」
 急いで見回りを終えなければ。パルシーの足がさらに前に前に進む。
 戸締りがちゃんとされていないか、逃げ遅れた人はいないのか。きょろきょろと周りを見て、そしてなにもないことを確認して、他の猟兵たちに合流しなければ。
「わーん!わーん!!」
 広場のほうから子どもの声が聞こえる。急いで向かうと、パルシーと遊んでいた少女が蝶たちに囲まれてしまっていた。
「こわい、こわいよぉ!だれか、たすけて!」
 小さな腕には先ほどまでつくっていたたくさんのおはじきを抱えている。どうやら逃げ遅れてしまったらしい。顔は青ざめ、目からは大粒の涙があふれてる。
 だがそんなの蝶たちの知ったことではない。蝶たちが集まり、巨大な鋭い爪に擬態し、少女の命を刈り取ろうとする。
「ひっ…!!」
 もうだめだ。そう思って少女は目を閉じる。
 だが何も来ない。そのかわりに聞こえたのは、銃声と斬撃音。おそるおそる目を開けると、蝶の姿はなく、代わりにパルシーが立っていた。
「ねこさん!!」
「大丈夫!?怪我してないにゃ!?」
 少女の様子を見ると、特に怪我などはしていない。パルシーの姿を見て安心したのか、少女がうわんうわんと泣き始めてしまった。
「ごめんなさいぃ!わたし、ねこさんとつくったおはじき、ぜんぶもってからいこうとしてたら、にげれなくなっちゃったの…」
「うんうん、よしよし。よかったよなんとか間に合って」
 頭を撫でて落ち着かせてあげる。だけど、ゆっくりしてる時間はない。
 ポケットにおはじきを入れて、少女と手をつなぐ。本当なら抱き上げたいところなのだが、猫の身長ではすこし厳しい。急いでいくよと言うと、少女はうんと頷いて、一緒に走っていった。
 少女の頬がすこしだけ赤みを帯びていたことは、パルシーは気づかない。

成功 🔵​🔵​🔴​

真幌・縫
一匹一匹の蝶はそんなに不気味じゃないけど…こんなにたくさん集まるとやっぱり怖いね。
病気を運んで死を運んで恐怖を運んで…そう言う存在なんだね…。
だからそんな存在をあの村には近付かせない…!

【存在感】で【おびき寄せ】たところを
【全力魔法】【高速詠唱】で【属性攻撃】炎で強化したUC【ウィザード・ミサイル】発動し一網打尽に。燃えちゃって…!

敵の攻撃は【野生の勘】で回避。

病気は怖いけれど…きっと大丈夫【祈り】【破魔】根拠はない願いだけれど…病は気からってのもあるからね!

アドリブ連携歓迎です♪


ノア・アストレア
【WIZ】

「他人の不幸は蜜の味」という言葉があるそうですが、あなた達がその蜜を吸う事はありません……!

(病や死への恐怖)もし防ぎきれなかったら、という想像が過ってしまいます。
料理を振る舞って下さったご夫婦を始め、ボクも含めた人々が病に倒れる様が浮かび怯まされますが、まだ現実ではありませんし、現実にさせません。
【覚悟】と【勇気】を奮い起こして脳裏の不吉な光景を振り払い、髑髏の霊は【破魔】で退け、鱗粉や病原体は【毒耐性】で凌ぎつつ風の【属性攻撃】で押し返します。

さあ、反撃開始です。
【属性攻撃】を炎に変更し、UCに付与して発動。撒き散らされたモノと一緒に、お焚き上げします!

(絡み・アドリブ等歓迎)


フローライト・ルチレイテッド
音楽性の違いで抗争するしかないんですよ。
誰も幸せにならない音楽なんてまっぴらです!

【Dress】起動。衣装をヒラヒラしたステージ衣装へ。

【楽器演奏、歌唱、パフォーマンス】を駆使し、己と周囲を【鼓舞】しつつ、
指定UCを発動。頭に生えている、放つ光で傷を癒やし、毒や病を浄化するユニコーンの角を振りかざします。
これで病を浄化しましょう。


【地形の利用】を考慮し、【範囲攻撃】も駆使しながら、周囲を照らしやすい場所を動き回ります。
【迷彩】も併用し、自分の位置をうまく把握させないよう立ち回りましょう。

敵からの攻撃は可能なら【早業】で回避。
無理ならば不屈の意思で己を【鼓舞】し、【激痛耐性】で耐えます。



●悲しい未来なんていらない
 空が、蝶に覆われる。
 夜空が蝶の翅で埋め尽くされる。まき散らすは闇色の鱗粉。その鱗粉がもたらすのは、永遠に癒えることのない病に侵される村人たちの姿。
 肌が真っ赤にただれ、急速に渇き、黒く変色し、風船のようにしぼんでいく身体。枝のように石のように固くなっていく手足。
『ダレカ、タスケテ。タスケテ。タスケテ』
『シニタクナイ。シニタクナイ』
『ドウシテ、ワタシタチガ、コンナメ二、アワナケレバナラナイ?』
『ドウシテ』 『ドウシテ』 『ドウシテ』
『ドウシテ、オマエタチハ、マダイキテイラレルンダ?』
 人々の嘆きと叫びが聞こえる。怨嗟の声が聞こえる。
 生への渇望と死の恐怖が聴こえる。
 これは今まで犠牲になった人々の声だろうか?それは今になってはわからない。けれど、この声は生きているということだけで恨んでいるということがわかる。
「…!」
 真幌・縫(ぬいぐるみシンドローム・f10334)とノア・アストレア(オラトリオの聖者・f18667)は思わず息を飲む。大量の蝶の見せる幻想に、ふたりの頭の中にあらゆる不安がよぎる。
 ――もし蝶を一匹でも逃したら。ここで守り切れなかったら。
 ありえるかもしれない未来を想像してしまい、攻撃がなかなか決まらない。
 蝶がバサバサと集まり、ひとつの塊になる。鋭い爪となって、振り下ろされる。
「あ、危ない!」
 【野生の勘】を感じた縫が慌ててノアの腕を引っ張って後退される。瞬間、蝶の爪が地面をがりっと抉った。
 もう少し反応が遅かったら自分たちの命が刈り取られたかもしれない。そう感じてしまい、すっと背筋が凍る感覚がした。
「あ、ありがとうございます…!」
「ううん!ぬいもちょっと油断してたから…!」
 そうしてふたりは武器を構えなおし、無数の蝶に立ち向かう。
「病気は怖いけれど…きっと大丈夫!根拠はない願いだけれど…病は気からってのもあるからね!」
 絶対近づける訳にはいかない。縫の【祈り】と【破魔】を込めた炎の矢を蝶たちに向かって放つ。まっすぐ逸れることなく飛んだ矢は、蝶の翅を燃やし、次々と地面に落ちていく。そしてそのまま形の残ることもなく、灰と煙となって彼方へ飛んで行った。
 ノアも負けてられないと自分に鼓舞する。【覚悟】と【勇気】を奮い起こして脳裏に浮かんだの不吉な光景を振り払う。迫りくる髑髏の霊を【破魔】で退け、風の【属性攻撃】で押し返す。
「料理を振る舞って下さったご夫婦を始め、子どもたちの為にも倒れたりするもんですか!まだ現実ではありませんし、現実にさせません!」
 力強い決意が協力な攻めを生む。
 持っていた装備が青い薔薇の花びらに変化する。夜空をそのまま映したかのような艶のある美しい蒼。それがノアの決意によって、赤く、真っ赤に炎を灯す。
「蒼き奇跡よ、咲き誇れ!『テンペスト・ローズ』!」
 真っ赤な花弁は周囲にいる蝶たちを巻き込み、赤く咲き誇る。
 蝶たちから断末魔のようなノイズが聴こえ、翅を真っ赤に燃やしながら、下へ下へと落ちて行った。
「や、やった…!」
「まだだよ!次の蝶が…!」
 焼いても燃やしても蝶が次から次へとやってくる。途切れない蝶たちによる幻影に魅せられ、攻撃が緩みそうになってしまう。
 だけど、負けるわけにはいかない。
 その決意がなんとか振るい立たせている。でもいつ切れてしまうか。

●謳い奏でるは勇気
「そうだ。ボク達は負けるわけにはいかない」
 ひらりと、ステージ衣装をひらめかせふたりの元にやって来たのは、フローライト・ルチレイテッド(重なり合う音の色・f02666)。彼の手には相棒のダブルネックギターが在る。
「フローライトさん!」
「ごめんよ。少し遅くなってしまった。ボクもやらせてもらうよ」
 一呼吸置いて、フローライトはギターを打ち鳴らす。激しくも優しい音色が周囲を包み込む。
「『どんなに遠く離れてても 君の所に走るよ 風より速く 病を消し去る光 キラキラキラ 闇夜を溶かして煌めけ 愛 救う光♪』」
 力強いフローライトの歌声がギターの音色と調和して、彼の額から生えている角から淡い光が漏れ出す。圧倒的な存在感に、縫とノアの不安な気持ちが彼方へと消えていく。
「あ、ありがとう、フローライトさん!ぬいもがんばる!」
「うん、ボクも負けるわけにはいかない!」
 フローライトの鼓舞におされ、縫もノアもその瞳に決意を宿らせて、再び武器を構えなおす。
 フローライトは蝶たちに悟られないように俊敏に動き回り、周囲に光を灯していく。これで村人たちの病が広がることはなくなった。さらに光が灯されたことにより、猟兵たちの攻撃がさらに当てやすくなった。
 状況が好転していき、猟兵たちの攻撃はさらに勢いにのっていく。あとから他の猟兵たちも合流し、少しずつ確実に蝶の数を減らしていく。
 切り刻み、撃ち抜かれ、焼かれ、燃やされ。
 はじめは無数だと思っていた蝶の群れに【穴】がまばらに発生するようになった。つまり、蝶の全滅に光が見えてきたのだ。
 あと少し、もう少しだ。
 猟兵たちは攻めをやめない。この村の未来を救うために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『満たされることは無い飢餓者』

POW   :    分解作業
【手に持った武器】が命中した対象を切断する。
SPD   :    捕縛行動
【獲物を押えつける為の死角からの攻撃】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    共食い
戦闘中に食べた【死体の肉】の量と質に応じて【さらに上質な肉を求め】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。

イラスト:森乃ゴリラ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ノイズの正体
 やがて、再び夜空を見上げられるようになった。
 地面には蝶が燃えた痕跡があたりにちらばっている。まだ生きている蝶もいるが、あと数分の命だろう。
 これで、この村は助かる。誰もがそう思った。

 そしてそれを打ち砕くように、ノイズが鳴り響く。
 耳につんざくようなノイズが猟兵たちを襲う。動けなくなるほどの音の中、もはや永くはないはずの蝶たちが一斉に羽ばたき、一斉に集まる。
 闇色の翅をいくつも重ね、覆い覆われ、層となり、そうしてやがて人の形になっていく。闇色が解け、土色の肌となり、黒い瞳になり、枯れた手足になる。
 死霊たちが人に化けた。いや、本来あるべき形に戻ったのか。
 
『ドウシテワタシタチハ、シナナケレバナラナイ?』
『ドウシテオマエタチハ、イキテラレル?』
『ドウシテオマエタチダケナンダ?』
『ドウシテ?』 『ドウシテ?』 『ドウシテ?』

『オマエタチダケイキテイルナンテ、ユルサナイ』

 ああ、わかった。これがノイズの正体。
 かつて同じように襲われ滅びてしまったどこかの村の誰かが昇華しきれない疑問、渇望、願い、怨恨、慟哭。それが「悪」となり、「悪意」としてこの村が狙われてしまったのだ。
 なおさら、ここで終わらせなければいけない。
 終わらせて、この悲しい死霊たちを鎮めてあげよう。
パルシー・ミュレット
女の子は集会場で【救助活動】して落ち着いたよ。
みんなが蝶を倒してくれたおかげで、楽になったみたいだ。

「みんな、遅れてごめん! ここからはボクも一緒に戦う!」
みんなのサポートに徹するよ。
広場など、死角の少ない場所に位置取り、敵のSPD攻撃に警戒して戦う。
攻撃するときは、拳銃を使った【早業】で周囲の敵を銃撃。
背後から襲われないよう、こまめに身体の向きを変えて戦うよ。
敵のSPD攻撃に捕らえられてないときは、ユーベルコードでさらに【早業】の技能レベルを上げるよ。

敵にも、大切な想いがあるのかもしれない。
けど、存在を許すことは出来ない。
「君たちを未来に連れていくことは出来ないんだ」

アドリブ・連携歓迎です。


フローライト・ルチレイテッド
寂しいから、悲しいから。人は道連れを求めたりもするけれど…
そんな悲しい連鎖は、終わらせなきゃ駄目なんです。
悲しみよ、憎しみよ、輝きに溶けて消えてゆけ!

【Dress】で衣装チェンジ、白いドレスに。
【真っ赤な夜】の音量を最大に。
夜は【暗視】で見通して。
【地形の利用】を考慮し、突撃を受けにくく、周囲を確認しやすい高所に陣取ります。
【楽器演奏、歌唱、範囲攻撃、マヒ攻撃、催眠術、パフォーマンス、援護射撃、優しさ、早業】を駆使して、指定UCを発動。
天使達と翼を広げ、憎しみを溶かす燐光で敵を攻撃。

攻撃は【聞き耳、野生の勘】で感知し【早業】や身軽な【パフォーマンス】で回避を。
無理なら【激痛耐性】で耐えます


ノア・アストレア
【WIZ】

……これが、あのノイズの正体……。
あなた達も、苦しかったんですね。でも、だからと言ってあなた達を通す訳には行かないんです……これ以上、「あなた達」が続かない為にも。

共食いは、【全力魔法】と炎の【属性攻撃】を組み合わせて手を打ちます。死体を灰になるまで燃やせば、食べられない筈です。
1体ずつ処理するので効率は悪いですが……。

数が減ってきたら、【破魔】を付与した上でこの戦いで2度目の「テンペスト・ローズ」発動。今度は手向けの花として、蒼い薔薇を咲かせましょう。
「どうか、あなた達が安らかに眠れるように」と、【祈り】も込めて――。

連携・アドリブ歓迎



●その音を止めるは
「あれが…音の正体…」
 ノア・アストレア(オラトリオの聖者・f18667)が見つめる先には、『彼ら』がいた。彼らもまた生気の失った表情のまま、猟兵たちを見つめている。
『ナゼ、ダ?』
 彼らの中のひとりが口を開く。
『ナゼ、ワタシタチヲ、タスケテクレナカッタ?』
「え…うわっ!?」
 疑問に答える猶予を与えられることなく、彼らは握りしめていた斧が振り下ろす。慌てて避けるが、服の端が少し切れてしまう。
「大丈夫かい?」
「は、はい、大丈夫です…わっ!?」
 声をかけられて後ろを向くと、今度は真っ白なドレスを身に纏ったフローライト・ルチレイテッド(重なり合う音の色・f02666)に驚いてしまう。だけど、そんなことは気にも止めず、フローライトは構える。
「寂しいから、悲しいから。人は道連れを求めたりもするけれど…そんな悲しい連鎖は、終わらせなきゃ駄目なんです。悲しみよ、憎しみよ、輝きに溶けて消えてゆけ!」
 力強い声にノアはハッとする。そうだ、ここで終わらせないといけない。ノアもまた、強い意志を抱く。
「あなた達も、苦しかったんですね。でも、だからと言ってあなた達を通す訳には行かないんです。これ以上、『あなた達』が続かない為にも」
 その言葉を果たして彼らに届いているのか。わからない。ただ、彼らは延々と嘆きの言葉をつられながら襲ってくる。

『ドウシテ?』 『ナンデ?』
『ワタシタチハ、ナニモワルイコト、シナカッタノニ』
『タダ、イキテイタカッタダケナノニ』

「…残念だけど、君たちで終わりだ。できるだけ苦しめないようにするから」
 フローライトは急いで家の屋根の上に移動し、ギターを構える。すぅ、と、一呼吸を置いて、彼は歌を紡ぐ。
『もう一度君に、会えるなら 今度は、上手に笑うから♪ 憎しみの火が、消えたなら♪ 平和はきっと、叶うから―♪』
 夜の闇に光が差し込む。光の中から飛び出したのは、幻想的とはあまり縁のなさそうなロックな衣装を着た天使たち。あらわれた天使たちはフローライトとともに、美しい歌声と優しい光を放つ。
 その光と歌声は、彼らに届き、怨嗟の言葉がとぎれていく。中には、一筋の涙を流すものもいた。それでもまだノイズは止まない。

●眠らせるのは、ぼくらしかいないから
「みんな、遅れてごめんにゃ!!」
 焦る気持ちを抑えながらやってきたのは、パルシー・ミュレット(気ままな旅人・f05132)。
「パルシーさん、見回りありがとうございました!でも遅かったようですけど…」
「ああ、うん…女の子が襲われてたから、助けたんだけど…大丈夫!今は、大分落ち着いてきて、あとは集会場に避難したみんなにお願いしておいたから!みんなより遅れちゃった分、いっぱい倒すよ!」
 そう言って、パルシーは武器を銃を構える。「もう一度、猫の本気をみせてやりますにゃ」と言って、死角の少ない家屋の角側に移動し、トリガーを引く。
 細く伸びた瞳孔で狙いを定め放った弾丸は、彼らのうちのひとりのこめかみを貫き、ぐらりと揺れ、地面に引き寄せられるようにして倒れる。
「よし、この調子でっ、とっ!」
 途中向きを変えながら、パルシーは次から次へと弾丸を放つ。少しずつだが確実に、ひとりずつ、確実なダメージを与えていく。
「…みんなにも、大切な想いがあるのかもしれない。けど、ごめん。みんなの存在を許すことは出来ないよ」
 できれば、助けたかった。でも、今の僕らではできない。だから、せめて、ここで眠らせてあげなければいけない。
「君たちを未来に連れていくことは出来ないんだ」
 本当にごめんよ。パルシーはほんのすこし悲しげに眉をさげ、再び銃を構えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

真幌・縫
悪循環…って言うのかな。
でもそれはこれで終わりにしようね。
ぬいはあの村を守りたいしあなた達にも襲わせない。

もう一回。きちんと燃やそう…。
【全力魔法】【高速詠唱】UC【ウィザード・ミサイル】を発動【属性攻撃】炎で火力を強化!
これがぬいの最大最強の魔法だよ…!
【祈り】と【破魔】を込めてうちこむよ!

それじゃあバイバイ。

アドリブ連携歓迎です。



●断ち切るべき連鎖
「…悪循環っていうのかな」
 嘆きのノイズはまだ止まない。なぜ、どうして、と延々に問いかけ続け、そしてこちら側に招こうと、彼らはひたすらに武器を振るい、次々と倒れる同士を喰らいながら悲しい行為を続ける。
 村人たちがこの状況を見てしまったら、きっと恐怖に震える。けれど、避難が滞りなく行えたおかげで、そんな悲劇な起こることもない。
「ても、それは…これで終わりにしようね。
ぬいはあの村を守りたいしあなた達にも襲わせない」
 真幌・縫(ぬいぐるみシンドローム・f10334)は決意に満ちた瞳で、彼らを睨み付ける。
 もう一回、燃やそう。彼女は杖を構え、真っ暗な夜空に向ける。そして、口を開いた途端、彼女は難しい魔法の呪文を早口で詠唱し、炎を宿した矢をたくはん召喚する。
「これがぬいの最大最強の魔法だよ…!ウィザード・ミサイル!」
 力強い声とともに、その矢たちは彼らに向かって降り注ぐ。
 見事に胸元に刺さり燃えた者もいる。武器に弾かれるものの地面に燃え移り動けなくなる者もいる。燃えていく者に触れて燃やされる者もいる。
『アアアア!!』
『ナンダ、ドウシテダ!!』
『ナンデ…!!』
 怒りに満ちたような声がする。声をあげながら、彼らは燃え尽きていく。
「……バイバイ」
 杖をぎゅっと握りしめ、燃え行く彼らを静かに見届ける。
 さあ、あと少しだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレクシア・アークライト
どうして私達は死ななければならなかった――ね。

貴方達が満足できるような答えは持ち合わせていないわ。
それに、貴方達はオブリビオンになってしまった。
もし今ここで安らぎを得ることができたとしても、成仏することなんてない。
ただ、骸の海に還るだけ。

だから、今、私が貴方達にできるのは、苦しみ、憎む時間を少しでも短くすることだけ。

・敵は接近戦が主であるように見えるため、念動力で空中に移動。
・力場を展開して、残りの蝶も含め、周囲に存在する敵の位置を確認。
・念動力でそれらの動きを阻害し、UCで灼き尽くす。

いつか私達がオブリビオン・フォーミュラを倒せる日が来る。
それまで、少し待ってて――。



●いつか必ずその日は来るから
「どうして、私たちが死ななければならなかった、ね…」
 悲痛なノイズをその耳で受け入れながらも、アレクシア・アークライト(UDCジェント・f11308)は、空を舞う。彼らの手は彼女に届くことなく空を切る。
 彼女やほかの猟兵たちに群がろうとする中、力場を展開したことにより冷静に状況を把握した彼女は、一番よい反撃行動を編み出し、淡々と標的を撃ち抜く。
「残念だけど、今の私たちに、貴方たちが満足できるような答えは持ち合わせてないわ。それに、貴方たちはオブリオンになってしまった。それは、変えられないことでしょう?」
 彼女の言葉に対して、肯定を示す存在は”ただひとつも”ない。
「…もし、ここで安らぎを得る事ができても、貴方たちの想いや恨みのこもった魂が成仏することはないわ。ただ骸の海に還るだけ。それだけなのよ」

『ドウシテ』
『オレタチヲ、ミステルノカ』
『コノママ、死ネトイウノカ』
『オレタチハ』『ワタシタチハ』

『タダ、生きていたかった、ダケナノ二』

 一歩一歩踏み出すごとに、腐敗しかけた身体の一部が焼け落ちていく。ぐしゃりと自分のものだったはずの肉の塊を零し、なんの躊躇いも踏みつぶし、あるいは口にして、自らの身体を補てんしながら、機敏な動きをする彼女に手を伸ばそうとする。
 救いを、求めているのだろうか。けれど、残念ながらそれはできない。
 なぜなら、彼女は猟兵だから。今は、この時間を必死に生きる、必死に生きているいる人しか救えない。
「今、私ができるのは、ひとつだけ。貴方たちが苦しみ、私や村のみんなを恨みにくむ時間を短くすることだけ」
 形成した力場からぱちりぱちりと白い稲妻が発生する。彼らの戸惑いと懇願の声が聞こえたような気がするが、アレクシアは聞かないふりをして、その勢いを強くさせていく。
「…いつか、私たちがオブリオン・フォーミュラを倒せる日が来る。
 それまで、少し待ってて…」
 彼女が祈りにも似た言葉を漏らしたと同時、力場に発生した稲妻が爆発するかのような音を立て、夜の闇が吹き飛びそうな光を覆った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロザリア・ムーンドロップ
どうして……と聞かれても、はっきりこう、とは言えないのですが
ただ一つわかっていることは……

それは、私が何を言っても、あなた達を納得させることはできない、ということです
あなた達が感じた苦痛や無念さにいくら理解を示したところで、
「生きたかった」という望みを叶えることはできないですから

ですから、私は生者として、あなた達と向き合います
つまり、倒す、ということです

【ウィザード・ミサイル】でいきましょう
動いている者を中心に焼き払っていきますね
何本かを纏めて集中させて、他の敵に食べられないようしっかり焦がしてしまえば
戦闘力の増加も防げそうでしょうか


私は、事件を終わらせることしかできません……ごめんなさい



●「生きる者」として
 まだ人として、猟兵としても幼いロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)の瞳に映る彼らは異質なものだろう。
 かつて人だったということも、オブリオンに命を奪われたなおさまよったままでいることも、頭の片隅でよく分かっているはずなのに、とても恐ろしいものに視えてしまう。怖い、恐ろしいと思う心をなんとか落ち着けようと、ロザリアは杖を固く固く握りしめた。
「ど、どうして…と聞かれても、はっきり、こうとは、言えないですが…ただひとつ分かってるのは…」
 喉奥が震えてうまく言葉にできない。それでも、彼らには伝えなくてはいけない。どんなに悲しい結末を迎えるしかないと分かっていても。
「私が!何を言ってもっ!貴方たちを納得させることはできないということです!
 …貴方たちが感じた苦痛や無念さにいくら理解を示したところで、貴方たちの「生きたかった」という望みをかなえることは…できないですから!」
 震える心を押さえつけて、彼女の瞳に強い光が宿る。握りしめた杖を右手にうつし、詠唱に向けて構える。
「ですから…!私は、「生者」として、貴方たちに向き合います!
 つまり…倒す、ということです!!」
 くるりくるりと杖を回し、魔力を纏う。狙うは空を覆う蝶を叶わぬ望みを抱えてさまようかつて人だったものたち。
「…私は、私は、この事件を終わらせることしかできません…
 ごめんなさい…!!」
 せめて、どうか、二度と起き上がることも羽ばたくこともないように。
 ロザリアの願いをこもった魔力は、彼らを貫く矢となって空高く打ち上げられ、そして焼き尽くしていく。
 これで、よかったのだろうか。まだまだ幼い彼女には、いや、猟兵たちにも本当の答えはわからない。

 だけど、ひとつ言えるのは、アルディオが示した悲しい未来はもう視えなくなったということだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月06日


挿絵イラスト