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奪還せよ 黄金を運ぶ宇宙船

#スペースシップワールド

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#スペースシップワールド


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 時代や場所が変わろうとも、黄金の価値は不変だ。
「いや、それは天然ぼりされた金に限る」
 そういう話もあるが、人工であろうと天然であろうとその輝きは人々を魅了する。
 そんな黄金を満載した惑星間交易船が、とあるアステロイドベルトで12の護衛機とともに突然、消息を絶った。


「黄金を満載した交易船の奪還、および交易船を強奪したヤツラの殲滅を依頼したい」
 ピョ人形に金の玉子(略してはいけない)をお手玉させながら、登里頭・五郎(キマイラのフードファイター・f01677)は言った。
「ちなみに、水銀にガンマ線を当てると金を作ることができるぞ。科学工業技術が進んでいるスペースワールドにおいてもメチャクチャお金がかかるので、人工的に作ることに意味があまりないがな」
 結局、金は貴重だということだ。
 金はアクセサリーなどの装飾品として使われる以外にも、その用途は多岐にわたる。
 高価なことを差し引いても、耐食性に優れ、電気伝導性の高さ、生体親和性、低い電気抵抗、薄く細く延ばすことが出来る展延性などから、様々な集積回路、歯科用の金合金、感染症診断薬の原料、薄膜、写真感光剤の増感用途などなど、それはもういろんなことに使われている。
「それだけ貴重だということさ。つまりは、金を欲しがるものがたくさんいるってことになる。で、実際に行動に移した大ばか者たちなんだが、護衛の戦闘機が全滅していることからもハイレベルな軍事武装をしていると思われる」
 五郎は口をつぐむと、遠い目をしてグリモアベースの空を仰いだ。
 しばらく何か考え込んでいたあと、また喋りだす。
「交易船が消息を絶ったエリアは広域レーダーの範囲内で、直前まで交易船の周りに不審な影は一機も映っていなかった。岩石の陰で待機していたのかもしれないが……どうも変なんだよな。交易船から緊急事態を知らせる救助信号も出されていなかったし」
 アステロイドベルトの近くまでは護衛艦で行き、そこから各自戦闘機に乗って輸送船が消息を絶ったポイントまで飛んでもらうことになる。そこから消えた交易船を探してもらうのだが――。
「とにかく、なにが起こるか分からないぞ。十分、用心してくれ」
 五郎は猟兵たちを、戦闘機を積んだ護衛艦の中へ転送した。


そうすけ

 SFです。スペースファンタジー。

 1章で交易船を見つけ出し、場合により戦闘(宇宙船)。
 二章で船内調査、そして??
 三章で交易船を襲った一味のボスと対決。

 ……の予定です。
 よろしければご参加くださいませ。
 戦闘が苦手な人でもお気楽に。
 そうすけがなんとかします、アドリブ大盛で(えー)。
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第1章 冒険 『彷徨える宇宙船』

POW   :    直感だけまっすぐ進む / 邪魔なものは破壊する

SPD   :    素早い回避で切り抜ける / 僅かな隙間を進む

WIZ   :    船の位置を推測する / 安全なルートを見つける

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

七篠・コガネ
●SPD
一体何があったのでしょう…?心配になりますね
交易船の人達が無事であれば良いのですが…
金はともかく、助けを求める人達がいるなら助けるまでです!

宇宙空間なら任せて下さい!僕はそのままでも大丈夫です
(背中に内蔵されたプラズマジェットを出して飛べる)
それゆえ、戦闘機では入れない狭い場所などを探ってみましょう
暗がりなら【暗視】や【視力】他、装備物で
怪しい箇所がないか探してみます
何か発見次第、他の方と連絡を取ります
それから一応、内蔵センサーで電波の送受信も試みます
たぶん無意味…かもしれませんが…

…それにしてもきな臭い
外側からというより、内側から襲撃でも受けたのでしょうか?


弦切・リョーコ
金ねぇ、それは確か欲しくなる。有能な金属だし価値も高い。
いいねぇ、誰だって大馬鹿者になりたくなってくるね。
……救助信号もなければ敵影もなかったってことは、大馬鹿者は最初からいた。そういう可能性も考えておくか。

探索:
僚機となる猟兵と通信可能な状態を作り、敵や交易船、探索エリア等の情報を交換する。
『目立たない』で自機に迷彩をかけつつ、岩石などに隠れながら慎重に、安全なルートを探索する。出くわした猟兵以外の機が、たとえ本来の護衛戦闘機であっても身を隠す。必要に応じて『エレクトロレギオン』を展開して極力自身は姿を表さず、撃破あるいは囮とし遭遇機の注意をそらして進行する。


アイ・エイド
【WIZ・アドリブ歓迎】
ハイレベルな軍事武装…!是非ともお会いしたい!!

交易船の捜索だな!
にしても救難信号が無かったのか…。
内部からやられたのか…?今考えても仕方ねぇか!

地縛鎖で周辺の情報、
オレが知りたいのは
1周辺がジャミングされてないか
2周辺に怪しい気配、
迷彩効果を用いてるとこ無いか

1の場合、スマホで
ハッキングして逆探知して居場所を暴いてやる!

2の場合、どれが交易船でどれが敵船か判断するため、カオスリングに共鳴しそうなオブリビオン特有の狂気的な反応がどこに多いか探ってみる!

色々引っ掛かる点も多いから柔軟な発想が必要だよなァ…。第六感にも頼ってみるぜ!

分かった事があったら
他の猟兵に報告する!


トルメンタ・アンゲルス
はて、帝国の奴らは無尽蔵に湧いてくるはず。
金を狙うのは、こちらの消耗を狙うぐらいだとは思うんですが……。
まあ、賊だとしても、叩きのめすまで!
貴重品の独り占めなんざ、許すわけにはいきませんねぇ!

さぁ、行くぞ!NoChaser!
最高速で駆け抜けるぞ!マキシマム、グッドスピィィィィド!!

護衛艦から、相棒の宇宙バイクに乗って交易船を探しますよ。
護衛艦が破壊されたならデブリも多いでしょうが、俺達の障害にはなりませんよ!
スイスイとすり抜けて、広範囲を探していきませんとね。

会敵したとしても、俺の操縦技術で潜り抜けて、翻弄して、あわよくば破壊してやりましょう!
引きつければ、味方も動きやすいでしょう!


ナーシャ・シャワーズ
ほう、金か。襲うならば確かに狙い目だが…
突然現れた襲撃者というのは不可解だな。
だが、面白い。この宇宙にはそういった謎は数多い。
それを解き明かすのもロマンって奴さ。

小惑星帯って奴は確かに危険だ。
だが私の場合、その中に飛び込んでいった事も一度や二度じゃあない。
ついてこいなどとは言わんがこれ位のスリルは宇宙ではつきものさ。

さて、それじゃあ行くとするか、スペースサーファー。
鬼が出るか蛇が出るか…
まだまだ先は長い。最小限の回避で行く。
小惑星の動き、こちらのスピード。
全て利用して目的の宝船を目指すとしよう。




 猟兵たちは行方不明になった宇宙交易船捜索のため、巨大宇宙船『白鯨』の護衛艦ヴォイジャーの格納庫内にダイレクト転送された。
「うおっ、と……!?」
 鶏頭が消えて目の前の風景が一変した途端、足が浮き上がり、頭が下になった。格納庫内の重力は、太陽系第三惑星の衛星『月』と同じ程度しかなかったのだ。それ以前に、どうして空中に転移させたのか。
「アブねえな。最初にいっとけっていうの」
 アイ・エイド(変人腐れ狼・f10621)は空中で体を回すと、ゆっくり床に足をついた。
 格納庫内には注意を促す音声と警告音が派手に鳴り響いていた。宇宙服を着用していないメカニックマンたちが退避するなか、予め用意されていたらしき戦闘機の一群に向かう。
 戦闘機のコックピットへ上がるタラップの脇で、ウォーマシンのメカニックマンが待っていた。
「エ? キミたちは?」
「僕たちはグリモアベースから派遣されてきたイェーガーです」
 七篠・コガネ(優しい向日葵はどこ行くの?・f01385)は仲間を代表して、アステロイドベルトで消息を絶った交易船を探しにきたことをメカニックマンに説明した。
「一体何があったのでしょう……? 心配になりますね。交易船の人達が無事であれば良いのですが……」
「帝国に襲われたのではないか、というのが『白鯨』評議会の見解ダ。だから、捜索に防衛軍が出撃したのダガ……我々『白鯨』の民は争い事が得意ではナイ。とくに帝国、オブリビオンとは戦いたくナイ。キミたちが来てくれてヨカッタ」
 メカニックマンの合成音にほっとした響きが感じられる。オブリビオンと戦いたくない、というのは彼の本音なのだろう。いまだに正規のパイロットたちがここに姿を現さないところを見ると、この艦のみんながみんな、そう思っているらしい。
 トルメンタ・アンゲルス(流星ライダー・f02253)は首をひねった。
「帝国? はて、帝国の奴らは無尽蔵に湧いてくるはず。金を狙うのは、こちらの消耗を狙うぐらいだとは思うんですが……」
「その通りダ。考えてみてクレ。住む星を失った我々にとって、天然の金がどれだけ貴重な物かヲ」
 遥か昔、まだスペースシップワールドの人々の大半が、惑星に住んでいたころから金は貴重なマテリアルだったのだ。金を新たに作りだすために、宇宙船の動力機械「コアマシン」のエネルギーは使えない。あまりに無駄が多すぎるのだ。そのため、工業製品に必要な金の大部分が、リサイクルで回収されたもので賄われている。
「襲うならば確かに狙い目だが……。突然現れた襲撃者というのは不可解だな」
 ナーシャ・シャワーズ(復活の宇宙海賊【スペースパイレーツ】・f00252)はスペースサーファーと名付けた愛機、宇宙バイクのシートを叩いた。
「私はこれに乗って船を探しに行く。別の猟兵が後から来るかもしれない。私の分の戦闘機はそのまま待機させておいてくれ」
「俺も相棒と行く」とトルメンタ。
「僕も大丈夫です。宇宙空間なら任せて下さい!」 
 コガネは背中を開くとプラズマジェットを出した。
「ところで、さっきのナーシャさんの疑問ですけど……外側からというより、内側から襲撃でも受けたのでしょうか?」
 一足早く戦闘機のコックピットに収まった弦切・リョーコ(世界演算機・f03781)は、計器類をチェックしながら一つの答えを口にした。
「……救助信号もなければ敵影もなかったってことは、大馬鹿者は最初からいた。その可能性が高いな。最悪、交易船から攻撃されることも考えておいたほうがいいだろう」
「かもな。果たして交易船のクルーに裏切り者がいたのか、いなかったのか。それを解き明かすのもロマンって奴さ」、とナーシャ。
 ソンナ、と仲間の裏切りをほのめかされて狼狽えるメカニックマンに、リョーコはコックピットの中から消息を絶った交易船のスペックを尋ねた。
「では最低限、ウォール・スクリーンはあったのだな。それと旧モデルの戦闘機が十機……か」
 ウォール・スクリーンは強力なエネルギーを持つ磁場を展開して、敵のミサイルやビームを防ぐ防御兵器だ。だが、メカニックマンはそれすら使われた形跡がないという。
「あるいハ、賊がウォール・スクリーンを無効化する超兵器を持っていたのカモ」
「ハイレベルな軍事武装……! 是非ともお会いしたい!!」
 腕が鳴るぜ、と口角をあげて、アイが鋭い牙をみせる。
「そうなると、やはり帝国……いや、ただの海賊だったとしても、叩きのめすまで! 貴重品の独り占めなんざ、許すわけにはいきませんねぇ!」
 トルメンタはメカニックマンが差し出したヘルメットを「サングラスに当たるから」といって断り、戦闘機のコックピットに乗り込んだ。


「鬼が出るか蛇が出るか……」
「さぁ、行くぞ! NoChaser!」
 護衛艦ヴォイジャーの格納庫の格納庫を飛び出したナーシャのスペースサーファーとトルメンタの宇宙バイクが、青白い航跡を引いて漆黒の闇を駆け抜けていく。
 続いてコガネがプラズマジェットを噴射して発進すると、アイとリョーコが操縦する戦闘機が後を追ってアステロイドベルトへ向け飛び立った。
「こちらA2。R3、聞えるか?」
 アイは隕石の間を流し飛びしながら交信した。すぐ、リョーコからコールバックが入る。どうやら電波妨害はされていないようだ。
「クセェな……。識別信号が消えりゃあ、すぐに捜索されることは解っているだろうに。このあたりからすでにばっくれちまっているか、金の強奪の他に何か目的があるのか」
 どこかへ移動しているとしても、行く先の手がかりとなる痕跡を見つけなくては話にならない。
 アイは無機質な機械よりも己の野生にかけることにした。自動操縦に切り替えて、シートに深く身を沈める。指にはめたカオスリングの僅かな振動でもすぐ気づけるよう、意識を集中させた。
 リョーコは自機に迷彩を施した。隕石群の間を目立たぬように飛ぶ。いまもし、交易船を発見したとして、敵の数も能力もわからないまま、単機で戦闘するのは避けたい。仲間たちを集めた上で、交易船と接触したかった。
「まず、本来の航行ルート周辺を探してみるか」
 レーダースクリーンをチェックしながら、リョーコは巨石と巨石の間が特に広く、ゆったりとしているエリアの縁を飛んだ。交易船と賊が交戦していれば、まず航路上に痕跡が残っているはずだからだ。
「こちらR3、A2聞えるか?  今のところ、何も見つけられない。そっちはどうだ?」
 ヘルメットの中にアイの声が響いた。やはり、なにも見つからないという。
 宇宙バイクに乗るトルメンタとナーシャ、それにコガネとは連絡が取れなかった。とくにコガネとは、こちらが発する通信電波を一方的に拾ってもらうしか連絡方法がない。
(「妙だな。こうなると、やはり……交易船は自らの意思で消えたとしか思えないな。それでも、どこかで金を乗せ換えているはずだ」)
 自分たちの拠点船へ、スピードが遅く攻撃手段を持たない交易船に金を乗せたまま運ぶはずがない。となれば、やはり船が隠せるぐらい大きな岩石を中心に調べて回るほうが効率的か。
 リョーコはアイと捜索エリアが被らないように気をつけながら、巨大な岩石を入念に調べて回ることにした。
 トルメンタは戦闘機が侵入を避ける、小岩石の密集地帯を飛んでいた。
 いたる所で巨大な岩石と岩石がぶつかりあって砕け、小さな、といっても超高層ビルほどの大きさはある岩が猛スピードで飛んでくる危険地帯だ。
「こんなもの、俺達の障害にはなりませんよ! スイスイとすり抜けて、広範囲を探していきませんとね」
 危険だが、これだけ無数の岩石が狭い範囲で飛び交っているとレーダーで探知されにくくなる。自分が盗んだ金を運ぶとしたら、追跡をかわすため、この一帯を突き抜けていくだろう。
(「任務中でなければスリルにとんだ楽しいコースですのに、残念。それにしても見つかりませんね」)
 前方を一台の宇宙バイクが横切った。ナーシャだ。かなりの速度で上から下――近くにある惑星の方向へ飛んで行く。何か見つかったのかもしれない。
「よし、最高速で追いかけるぞ! マキシマム、グッドスピィィィィド!!」
 トルメンタはナーシャの後を追った。
 ナーシャは偶然、巨大な岩石の岩陰に光を見つけて向かっていた。巨石はゆっくりと回転しているようで、光は一瞬で見えなくなってしまったが、あれは絶対に目の錯覚ではないという自信がある。
(「空洞になった岩石の中に、襲った交易船を隠したな」)
 アステロイドベルトに補給基地や通信施設があるとは聞かされていない。間違いなく、件の交易船、または賊の宇宙船が発する光だろう。
 巨石に近づくにつれ、その大きさに圧倒されそうになった。交易船と賊の宇宙船を中に入れても、まだまだ余裕がありそうだ。
 ハンドルを右手に切って、裏側になった巨石の裂け目を目指す。
「あ、コガネ!」
 コガネが岩の切れ目に立って、手を大きく振っている。
「ちぇ、先に宝船を見つけられちまったか。それに、あっちから飛んでくるのは……フォルムからして護衛艦の戦闘機だな」
 ふと、気配を感じて顔を横むけると、トルメンタが並んだ。そのままスピードを合わせて飛び、コガネの傍に着地した。
<「この中にいます。たぶん、交易船が。僕がここを見つけた時にはもう、賊の船は見当たりませんでした」>
 コガネは内臓の通信機をオンにすると、宇宙バイクに乗った二人と交信した。
 やはり巨石のひとつひとつを丹念に調べているときだった。船内通信に使われる微弱な電波を感知したコガネは、この巨石の内部が空洞であることを知った。一人でできる限り、空洞内部の様子を探りながら、仲間たちが通信可能域を通りかかるのを待っていたのだ。
<「助かりました。どうやってみなさんに知らせようか……一度、護衛艦に戻ろうかなって思っていたところでした。ああ、アイさんとリョーコも来られましたね」>
 コガネは全員に知りえたこと――内部は広く、戦闘機も楽々と飛び回る空間があること。裂け目から見える範囲には、消息を絶った交易船らしき宇宙船しか見当たらないこと。交易船内部で通信が2度、行われたことを伝えた。
<「通信内容ですが、二度ともSOSでした。生存者がいるのは確かなようです。無駄と解っていても、館内通信で外部に助けを求めたのでしょう」>
 ともかく、交易船の内部に入らなくては、助けることはできない。
 コガネが先行して交易船内部に侵入し、中から搬入口のハッチを開けることになった。
<「任せてください」>
 コガネは慎重に交易船に近づくと、メンテナンス用の出入口を探した。幸いにも搬入口の近くに一つ見つけ、内部に侵入する。
(「……誰もいませんね。それに空っぽだ。金は運び出されてしまったあとなんでしょうすか?」)
 しかし、まだ中に賊が居残っている可能性がある。
 辺りに気を配りながら、コガネはコントロール盤を見つけ、搬入口のハッチを開けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『仇なすレジスタンスに鉄槌を』

POW   :    協力者又は残党を見つけ出し、力付くで隠れ場所を聞き出す

SPD   :    協力者又は残党を見つけ出し、跡を付ける

WIZ   :    協力者又は残党を見つけ出し、協力者と偽り内部侵入する。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

トルメンタ・アンゲルス
さて、潜入する以上、あまり幅は取れませんね。
『MaximumEngine――HotHatch』(ベルトの機械音声)
変身!アクセルユニゾン!(小声)
乗ってきたNoChaserと合体変身、防御力重視の装甲を纏いますよ。
サイズは一人分、速さは乗算!


◆SPD

さて、それでは潜入と行きますよ。
出来る限り目立たないように行きますが、危なそうなところは自慢の速さで潜り抜けますよ。
良い感じの人影を見つけたら追跡。
危ない感じの第六感がピキーンと来たら、ダッシュやスライディング、逃げ足を生かして隠れ、会話や音から情報を集めて、出来るだけ有利に動きましょうか。

……他の人が大立ち回りしたら、それはそれで、騒ぎに紛れて。


七篠・コガネ
●POW
人々の生活を支えるための金…必ず取り返します
生存者も絶対に助けてみせる!

僕は生存者の方を捜してみます
もしかしたら…その中に「協力者」がまだ
フリをして紛れているかもしれない
なるべく足音を立てず僅かな音と感知した電波を頼りに
注意しながら慎重に船内を進みます

▼生存者発見
カマを掛けてみます
…こんな事、演技でも嫌ですけど…
人々に武器を向けて「全員処分スル」と告げてみます
話が違う!と狼狽える人がいれば…黒でしょうね
見つけたら飛び蹴りし
【踏みつけ】で抑えつけ隠れ場所を問い出します

▼生存者に対して
僕が猟兵である事を伝え
敵の特徴等を聞き出してみます
あなた方のSOSは…ちゃんと伝わっていましたよ


ナーシャ・シャワーズ
月並みだが結局一番怖いのは人間の欲ってことか。
宇宙の謎って奴とは出会えなかったが文字通りに乗り掛かった舟だ。
まだ中に生きてる奴がいるんなら最後まで付き合うとしよう。
金の行方も気になるしな。

まずは敵戦力と船の構造を把握しよう。
船のコンピューターを私のツールでハッキングできれば楽なんだが
気付かれては意味がない。ま、慎重にいくさ。

どちらにせよ最後は足で調べる必要があるな。
まだ戦闘は避けたい。
耳も勘もいいつもりだが不測の事態は起こるもの。
ワイヤーガンの使いどころも多くなるだろうよ。

運よく”カモ”を見つけたら生存者の居場所までご案内願いたいところだ。




 ゴッ、という音とともに、目に星が散った。
 七篠・コガネは額に手を当ててうずくまった。十分に気をつけていたはずなのに、まただ。「どうしてこんなに狭いのでしょう?」
 ついつい愚痴が出た。
 体を折ったまま、宇宙バイクのNoChaserを鎧に変形させて身にまとったトルメンタ・アンゲルスに手を引かれてハッチをくぐる。
 交易船の通路は極端に狭かった。高さはもちろん幅もない。身長が2メートルを超すコガネは、体を斜めにしてやっと通れるかどうかだ。
「この通路が特別狭いってワケじゃないよ。調べたところ、上はどこもかしこもこんな感じだった」
 ナーシャ・シャワーズは上縁に手をおいて、頭を打たないように気をつけながらハッチをくぐり抜けた。
「下はあんなに広かったのに……まるで潜水艦みたいですね」
 急に息苦しさを感じたか。コガネの前からトルメンタが鎧の装着密度をゆるめる音が聞こえてきた。
 潜水艦とはまた絶妙な例えだ。それも、現役バリバリの最新鋭ものではなく、『初』を冠して博物館の片隅に置かれているような古い潜水艦の。
 息苦しさを感じるのも当然か、とナーシャは苦笑する。
「まあ、交易船だからね。荷を置くスペースが一番デカいのは当然だろ? 居住性なんて求めちゃいないし」
 宇宙交易船としては小さな部類に入るが、船内は非常にシンプルで分かりやすかった。船体の内側中央は格納庫になっており、その格納庫を取り囲むように、まっすぐな直線通路が配置されている。ほかには荷を固定する巨大な可動式フックと、階を移動するための階段があるだけだ。
 自分が船首に向かって歩いているのか、はたまた船尾に向かって歩いているのかさえ、しっかりと認識していれば、船内で迷うことはないのはありがたいが。
 一緒に乗り込んだ他の仲間たちを格納庫で待たせ、三人がいま目指しているのは船長室だった。
 船を動かせる操舵室と、船体後部のレーダー室には航行中の他の船や惑星港の管制室と連絡を取るためのレーザー光通信機器がある。しかし、コガネが傍受したSOS信号は船内連絡用に用いられている無線通信だ。レーザー光通信機器はないが、無線通信だけはある場所で、立てこもりやすい……つまりセキュリティーがしっかりしている場所となれば、限られてくる。
 みんなで話し合いをした結果、船長室に生き残ったクルーたちが閉じこもっている、あるいは閉じ込められている可能性が高いということになり、この三人で慎重に船内上部の様子を探りながら、見に行くことになったのだ。
「それにしても、ものの見事に空っぽでしたね。一体、どこへ運ばれたのでしょう?」
 足音を忍ばせて進みながら、トルメンタは首をひねる。
「ああ、確かに。金の行方は気になるな」
 ナーシャはツールを取りだすと、ハッキングして得た船内図を確認した。
 女性二人に挟まれて進むコガネが、声を押し殺しながら言う。
「まだ、この岩石空洞のどこかにあると思います。空洞の中がどれだけ入り組んでいるか分かりません。でも、宇宙船が出入りできるようなところは、僕たちが入ってきたあの裂け目しかありませんから」
 可動式フックはそのまま荷を積み下ろしするためのクレーンを兼ねている。稼働データは逐一残され、事故が起こった場合に参照できるようになっていたのだが、最新の稼働時刻は僅か45分前だった。
 コガネが交易船を見つけたのは30分ほど前のことだ。発見から仲間たちと合流して、この船に乗り込むまで、裂け目から出て行った船はない。
「……トルメンタ、船長室はその先にある階段を上ったところだよ」
 ナーシャはコガネの背にぶつかった。
「しっ!」
 背の向こうから短い警告が飛んできた。すぐに武器を手に取る。
「コガネ、私もトルメンタを援護できるようにしゃがんでくれ」
 トルメンタが階段を一段ずつ、ゆっくりと上がっていく。途中で止まって腕を伸ばし、何かを引っ張りだした。
「俺がいまから落すものを受け止めてください。音を立てないようにね」
「いいですよ。どうぞ」
 はたしてコガネが受け止めたのは、帝国の一般兵士だった。死んでいる。
 階段を途中まで降りて来たトルメンタが報告する。
「上の通路には誰もいません。ここより、ちょっと広いな。二人分の幅はある……そんなことより、ナーシャ。船長室に通じる通路はここと、あと――」
「反対側に一か所あるだけだ」
「ほかに敵の姿は?」、とこれはコガネ。
 死体を抱き抱えたまま、ちょっと困ったように眉尻を下げている。
「見当たりません。帝国兵の死体以外には」
「あの……」
「なに?」
「この死体、帝国兵じゃありません」
 ワケが分からない、と言った顔でトルメンタが見下す。背中をつつかれて首を回すと、ナーシャも同じような顔をしていた。
「どういうことだ?」
「あの、僕……僕は帝国にいたから……これ、コスプレですよ? 正規の帝国軍服ではありません」
 とりあえず、偽の帝国兵の死体も一緒に、全員、階段を上がった。血だまりと死体をまたぎ越して通路を進む。
 手で合図を出し、船長室のドアをトルメンタとコガネが挟む形でみこんで立った。
「……ロックは?」
「かかっていない」
 三人で視線をかわし合う。
 ナーシャがコガネの後ろから腕を伸ばし、ドアを開けた。
 武器を構えたコガネとトルメンタが船長室になだれ込む。
「全員処分スル!!」
 船長室にいた四人全員が一斉に腕を上げた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

神宮時・蒼
…不穏。…やはり、財は、人を、歪ませて、しまう、もの、なのです、ね…。
…何が、起こるか、わかりません、し、気を、つけて、いかねば、なりません、ね。

【SPD】
技能「忍び足」を使って、船内をこっそりと散策します。
人が居たら、その後を追いましょう。
もしくは、話しをしてるならその内容を聞き取って、生存者がいる場所の当たりを付けます。

【その他】
基本、名字+様呼び
たどたどしく、途切れ途切れに喋ります。


弦切・リョーコ
SPD
敵か味方かわからないけど、船内には誰かしらいるのだろうね。
皆が見つけた情報を足していくと謎が増えるばかりだが…なにか偽装したいという意図は見えるかね、まぁ私達は探偵じゃない。謎解きは後でゆっくり、今は賊の始末を優先しよう

船内に残党がいて脱出を目論んだ場合に備え、ハッキングでハッチをロックしたあと、他に隠れた敵がいないか注意し、船長室とは別方向を探す。コンピュータなどを見つけたら逐次『ハッキング』し、船内のカメラなどの情報を探る。
残党を発見した場合は『目立たない』ように跡をつけながら味方に連絡する
戦闘になってしまった場合はレーザー光による『目つぶし』等で『時間稼ぎ』しつつ通信で応援を呼ぶ。


七篠・コガネ
●POW
なぜこの死体を帝国兵に似せるつもりが…
早いとこ答え合わせをさせて頂きましょう
もうこれ以上誰も…傷つけさせやしない!

船長室にいる4人を視認
僕は依然、無機質な態度を前面に出したまま
こちらへの反応を確認してみます
次に4人に対し、何者なのか、何をしていたのかを
訪ねてみるとしましょう
自分が猟兵である事を伝えるのはその後にします

▼4人が生存者の場合
よ…良かったぁ〜……まずは無事を確認
でも金は一体何処へ…?
他にも生存者がいるのか訊いてみるとします

▼4人が敵の場合
金と生存者の居場所を教えてもらいましょうか!
抵抗するならこちらも【武器受け】で迎え撃ちます


ナーシャ・シャワーズ
ふうむ、偽の帝国兵の存在はどうにも不可解だな。
かといってオブリビオンが絡んでいないとも思えんし
単純な仲間割れ、或いは金に目がくらんだ反乱とは言い切れない。

船のクルーとして潜り込んでいたという事なんだろうが…
だとしたらこうも死体が転がってるものかね。

まあ、まずは生き残り達に話を聞いてみるとしよう。
おっと、とりあえずはシロだとしておくが
少しでも怪しい動きをしたらズドン、だ。

あとは…金がこの船に無い以上、外にあるのは確かなんだろうが。
いつまでもこの空洞の中にいるわけでもあるまい。
逃げ出すのを黙って見ているつもりもない。
さて、戦いの場はどこになるのか…




 トルメンタを見張りとして戸口に残し、二人で船長室に入った。
 猟兵たちのほうがそれこそ緊張から体が細かく霧えているような状態で、全員が総立ちのまま、真剣そのものの表情だ。船長室全体の空気がピリピリとしており、一種異様な雰囲気になっている。
 コガネは四人から視線を外さず、部屋の真ん中までゆっくりと進んだ。立ち止まり、無言で一人一人の顔を見まわす。
 交易船の船員と思われる四人の表情は強張り、やたらと態度がそわついていた。
「……処分の前に、まず、名乗っていただきましょうか。端から順番に、名前とこの船における役割をお願いします」
 取り調べを進めるコガネの横で、ナーシャは四人にワイヤーガンを向けながら、予めダウンロードしてあった船員のデータをひっぱり出した。
 煙管型マルチツールの先端からスクリーン煙を出す。
「ジョン・ダウロー。この船の船長だ」
 煙管が出す煙に登録された交易船船長の顔を浮かびあがらせると、一番左端で名乗をあげた男の顔に重ね合わせる。
「合致した。ジョン・ダウロー、オベントウ号の船長だ」
「オベントウ? この船の名前が、ですか?」
 妙なネーミングに、コガネはついつい顔の表情を動かしてしまった。咳払いして、取り繕う。
「次、お願いします」
「ダン・トン。せ、船員……」
「合致。ちなみに彼は二等船員だ。貨物係だな」
 四人全員が船員データと合致した。賊の成り済ましではないようだ。
「よ、良かったぁ~」
 ここで改めて緊張を解き、武器を降ろした。
「脅かしてすみません。僕たちは猟兵……みなさんを助けに来ました」
 船員たちも上げていた腕をゆるゆると降ろした。まだ強張りがのこる顔で、なんとか笑顔らしきものを作る。
 ジョン・ダウローがナーシャに顔を向けた。
「そちらの方も武器を降ろしていただけないだろうか。武器を向けられているといつまでも落ち着かない」
「確かに船員データと一致はしたが、まだ完全に信用したわけじゃない。疑惑を晴らす前にいろいろと聞かなきゃならないことがあってね。……表に転がっている偽帝国兵のこととか。完全にシロだって得心したらおろしてやるよ」
 再び室内の緊張が高まった。
 まあまあ、とコガネが間に割って入り、空気を和らげる。
「ここに閉じこもっている間に、船内の誰かと連絡が取れましたか?」
 船員たちが視線をかわし合う。
 やはりジョン・ダウローが四人を代表して答えた。
「連絡はない。たぶん、生き残ったのはオレたちだけだ」
「そうですか……。では、船が襲われてから僕たちが来るまでのことを離していただけますか?」
「嘘はなしだ。せっかく助かったっていうのに、今さら死にたくはないだろ?」
 ナーシャは腕を上げると、ジョン・ダウローの顔にぴったりと銃口を向けた。すっと目を細め、引き金に指をかける。
「私は本気だぞ」
 ジョン・ダウローは疲れたため息をついた。船員たちが一斉に肩を落とす。
「わ、わかった。話す」


 コガネたちが船員たちから話を聞きだす少し前のこと、神宮時・蒼(終わらぬ雨・f03681)が交易船に到着した。
「状況、は……生存者、は、いました……か?」
「ちょうどいま、船長室で四名の生存者を発見したという連絡を受けたところ。今から詳しい話を聞くそうだ」
 弦切・リョーコは蒼に帝国軍兵士に偽装した死体も見つかっていることを伝えた。
「この事件、船員による自作自演の可能性があるな」
「……不穏。……やはり、財は、人を、歪ませて、しまう、もの、なのです、ね……」
「まあ、まだそうと決まったわけじゃない。船長室からの報告を待とう」
「それ、なら……その、間に、船長室、以外の、捜索に、行きません……か?」
 空っぽの貨物室でただ待っていても時間の無駄だ、と蒼は言う。
 リョーコはふむ、と唸った。
「敵か味方かわからないけど、船内には他にも誰かしらいるかもしれないね。カメラのほとんどが壊れているし」
 よし、と言うや、リョーコは貨物室のコンピュータをハッキングした。船内のハッチをすべてロックする。これで船内に賊が居残っていたとしても、船外へ逃げ出す時間を稼ぐことができる。
「完全、に、閉じ、込める……こと、は、できない、の、ですか?」
「そりゃ無理だ。事故などのトラブルを想定して、手動で明けられるようになっている。幸いというか、これは客船じゃないから非常時の手順なんてどこにも書かれていない。クルーじゃない限り、開閉に手間取るだろうね」
 コガネが交易船の中に入り込めたのも、手動で開閉することができたからだ。
 見張りと船長室からの連絡をアイに託し、二人はまず動力室へ向かうことにした。
「……何が、起こるか、わかりません、し、気を、つけて、いかねば、なりません、ね」
 足音を殺し、狭い船内通路を進む。
 途中、二等船員室らしき部屋を見つけて入った。
 二段ベッドの奥に、船内のハッチが閉鎖されたかどうかを確認する表示盤があった。E―5cと表示されたハッチが赤く点滅している。
「まずい! 誰かがハッチを手動で開けようとしている」
「急ぎましょう!」
 あわてて二等船室を出て、2層下のE―5cハッチへ向かう。奇しくもそこは動力室手前の区画にある外壁ハッチだった。
「蒼、ヘルメットをつけろ。そこのフックに宇宙服を止めて……いきなり船外へ放りだされないようにするんだ」
 後ろで蒼に杖を構えさせておいて、リョーコはE―5aハッチを手動で開けた。
「あ……!」
 リョーコがハッチを開けると同時に、葵は体が前に引っ張られた。船外ハッチが開いて外が見えている。
 けたたましい警告音が船内に鳴り響いた。
 フックを外してバランスを取りながらE―5区に入り、二人で開いた船外ハッチの縁にとりついた。帝国軍の宇宙服を着た人物が、目の前に迫る岩へ向かっていく。
「遅かったか」
 リョーコはレーザー光を撃った。が、当たらない。
「あ……弦切さん、あそこ! 見て!」
 蒼が指示した先に、四角く淡い光をもらす戸口があった。すぐに閉じて、岩肌に溶け込む。
 どうやら、この巨岩は自然に内部が空洞化したわけではなさそうだ。この岩自体が、帝国軍の中継基地だった可能性が高い。
 一度、帝国が滅んで忘れられていたが、オブビリオン化した帝国軍兵たちがまたここを復活させたのだろう。
「金はあの中だな。とにかく仲間たちを呼ぼう」


 金を自分たちのものに。
 欲に目がくらんだジョン・ダウローが仕組んだ自作自演の遭難だった。偶然、この岩を発見したジョン・ダウローはここに金を隠しておいて、のちに帝国に襲われたと届け、保険金をもだまし取るつもりだったらしい。
 証拠となる映像を撮るため、船員の一部を帝国兵に成り済まさせていた。当然、人数に限りがあるので、ばれないよう他の船内カメラを予め故障させておくといった手の込みようだ。
 通信記録や交戦あとがないことに対しては、「いきなりワープしてきた軍船に囲まれて、有無を言わせず岩の内部に引きずり込まれた」と言い抜けるつもりだったらしい。
 聞けば聞くほど、すぐにウソがばれそうな底の浅い計画だった。
「……仲間割れしたってことか」
「いや、違う。本当に帝国軍に襲われたんだ。この岩の中に入ってすぐ!」
 コガネとナーシャは顔を見合わせた。
「ほんとうだ。岩から帝国のやつらが出てきて襲われたんだ。ここのドアが開いていたのは、逃げてきた仲間たちを中に入れようとして――!?」
 けたたましい警告音が船内に鳴り響いた。
「一体、なんだ!?」
「外部ハッチが無理やり壊されたようだ」、とジョン・ダウロー。
 どこだ、とナーシャが言う前に、ジョン・ダウローは表示盤へ目を向けていた。
「最下層のE―5区だ。そこは――」
 コガネが叫ぶ。
「――ナーシャさん、リョーコさんから連絡が。至急、来てほしいそうです」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『帝国騎士』

POW   :    インペリアルブレイド
【念動力を宿した「飛ぶ斬撃」】が命中した対象を爆破し、更に互いを【念動力の鎖】で繋ぐ。
SPD   :    ダークフォースバリア
自身に【鮮血の如きオーラ】をまとい、高速移動と【赤黒い電撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    インペリアルフラッグ
【念動力で形成した帝国の旗】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を『帝国の領土』であると見る者に認識させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

弦切・リョーコ
推測通り大馬鹿者は見つかったようだが船員の仕置はこの世界の問題だ。
私等の相手は過去。這い出てくるなら何度でも踏みつける。
理に反するものは、この世界の理によって消えて貰うかね。
「帝国の領土」なんてもうどこにもないんだよ。

岩石を見張りつつ仲間と合流
帝国騎士が消えた辺りを電子的【鍵開け】で開き隕石内に侵入。

交戦は味方の後方から粒子加速器銃アクセラレイターでの射撃を中心に行う。【援護射撃】【目潰し】等で味方を援護しつつ敵のUCを観測。【学習力】でその解析を行い完了したらUC『結合分解』で相手の攻め手や強化を封殺

真の姿
故郷の宇宙船のスーパーコンピュータと通信接続し解析・演算力が飛躍的に向上。外見は変化無


七篠・コガネ
●POW
この警告音!きっと何かあったんだ!
船員さん達にはここに残るよう伝えて
連絡のあったリョーコさんの元へ急ぎます
恐らく船を襲撃した銀河帝国…!

▼戦闘
やはり…現れましたね
銀河帝国はいつも…こんな事ばかり
貴方達の事はよく、知っていますから!

貴方のインペリアルブレイドを受ければ
僕は貴方から逃げられないでしょう
でも言い換えれば貴方もまた僕から逃げられません!
ベルセルクトリガー、発動…!
(内蔵している全武器を出し、手先を鉤爪状に変形)
敵、捕捉…コレヨリ…貴方ヲ殲滅…シマス!
敵のUCを受けたら【零距離射撃】で
Endless Rightブラスターを発射し【鎧砕き】を狙ってみます


ナーシャ・シャワーズ
そうら、お出ましだ。こいつが話にあった帝国兵だな。
帝国騎士ともあろうものが金の匂いを嗅ぎつけるとは
ずいぶんと育ちが良いようだ。さて、どう攻めるか…

幸いにして広さは十分とみた。
奴のオーラは強力だが諸刃の剣。
少しばかりスペースサーファーで鬼ごっこをしてやるか。
ついこの間も雷乗りはしてきたばかりなんでね。
少しばかり危険なレースになるが、まあそこは私の腕で何とかしてやるよ。

だから、お前さんたちは奴の動きを止め、倒す手段を考えろ。
基本的には時間は味方だが
下手な鉄砲だって数撃ちゃ当たるもんだからな。
私の服に焦げができる前に何とかしてくれ。
じゃ、頼んだぞ。




「リョーコはなんだって?」
「賊が岩石の中に逃げ込んだ、と。ダウロー船長の話が本当なら、恐らく船を襲撃した銀河帝国の兵士でしょう」
「帝国……ようやくお出ましか」
 格好のオモチャを見つけた猫のように、ナーシャの瞳は大きくキラキラとしている。ダウローたちに向けられていた銃口も、いつの間にか降ろされていた。
 コガネはダウローと向き合った。
「ダウローさんたちは、僕たちが戻ってくるまでここにいてください……と言ったところでおとなしくしているワケがありませんよね」
 ちらりとナーシャへ視線を飛ばす。
 何といっても自ら犯罪を告白した後なのだ。帝国の思わぬ乱入により、犯行は未遂に終わっているが、このまま母船の『白鯨』に連れもどされれば捕まってしまう。猟兵たちが交易船を出た瞬間、船を動かして逃げるだろう。
「よほどの阿呆じゃない限り、逃げるだろうね」
 不満を口にするジョン・ダウローたちを無視して、船長室に閉じ込めておくことにした。ナーシャがコンピューターをハッキングして、ドアを中から開けないようにした。
「よし、急ぐよ!」
 貨物室には戻らず、最短ルートで最下層のE―5区へ向かった。
 ハッチを一つくぐるたびにどんどん寒くなり、比例するように重力と空気も薄くなっていく。生身で宇宙空間に飛び出したとしても即死するわけではないが、ナーシャはE―5aのハッチ手前で立ち止まり、宇宙空間に飛び出していく用意を整えた。
「目と口をしっかり閉じていれば30秒ほどは生きていられるらしいね。真空は熱を伝えないから、絶対零度にさらされても瞬時に皮膚は凍らない。目は別だけど。ようは窒息死しないようにすれば……って、これ、あんたにはどうでもいい話だよね」
 コガネは苦笑しながら頷いた。
「ええ、僕はこのままで宇宙空間に跳び出せますからね。じゃあ、開けますよ」
 ナーシャがヘルメットの前で親指を立てる。
 E―5aハッチを開くと、リョーコが待っていた。もう一人、見慣れぬ人物がいる。
「遅かったね」
 ヘルメットや内臓マイクを通じたリョーコの声は、少しくぐもって聞こえた。実際はとてもクリアな音声だったのだが、その場の緊張した雰囲気がそう思わせるのかもしれない。
「あ、彼女はあとから転送されてこのワールドに来た仲間だ」
 杖を手にした小柄な人物がぺこりと頭を下げる。
「それで、逃げていった賊――帝国兵はどこだい?」
 ナーシャに問われ、リョーコはひらいたE―5cハッチの縁を手でつかんで宇宙に体を乗り出すと、岩肌にうっすら見える光の筋を指さした。
「どうも、この岩石自体、帝国の秘密基地だったみたいだな。ハッチが閉まり切っていないのは、システムが完全に機能していないからだと思う。長い間使われていなかったからなのか、内部でトラブルが起こっているのは間違いない」
 ナーシャは肩をすくめてみせた。
「連中の都合なんてどうだっていいさ。トラブル? むしろ好都合だね。さっさと行って片づけてしまおう」
「……そうですね。出口が他にもあるはずですし、帝国軍が逃げないうちに行きましょう」


 まだ到着していない他の仲間たちとの連絡係として蒼を船に残し、三人は帝国軍基地へ向かった。
 コガネが薄く開いたハッチに手をかけて開こうとするが動かない。
 ここは私が、とリョーコがハッキングと鍵開けの能力を駆使してロック解除を試みる。微かな起動音がして、上下にハッチがスライドした。
「さすがですね」
 コガネを先頭にして、三人は古の帝国軍基地の内部に潜入した。
幾つものエアロックを通りぬける――途中のハッチはすべて自動とはいかず、ところどころ手動で開かなくてはならなかった――すこしずつ空気と重力が加わっていく。
「空気もきちんと精製されているし、重力制御装置も作動しているな」
 ヘルメットを取りながら、どこかほっとしたようにリョーコが言った。
 無重力、真空状態での戦闘が不得意なわけではないが、スーツに致命的な傷を受けないよう余計な気を使わなくて済む分ありがたい。
 不気味なほど静まり返った通路を進む。しばらくすると、大きな電子ドアに行きついた。
「さて、いよいよコソ泥たちとご対面だね」
 まるでナーシャの言葉に反応したかのように、電子ドアから起動音をたてて左右にゆっくりと開き始めた。
「伏せて!!」
 コガネが叫ぶと同時に、開いたドアから眩く光るレーザー光線が幾つも発せられた。
 ドアの前に一列に並んだ帝国軍兵士がレーザー銃を発射したのだ。
「貴方達の事はよく、知っていますから!」
 待ち伏せなど先刻お見通しだ、とベルセルクトリガーを発動させる。コガネの体に内蔵されているすべての全武器が飛び出した。速やかに殲滅モードに移行する。
「敵、捕捉……コレヨリ……貴方ヲ殲滅……シマス!」
 鉤爪状に変形した手先で、帝国兵士の腹を次々と貫く。
 リョーコとナーシャが一体も見逃すことなく、トドメをさしていった。
 そこへ、広く開けた部屋の奥から、黒い帝国の旗印が大きく広がりながら猟兵たちを捉えんと飛んできた。
 リョーコが粒子加速器銃アクセラレイターで旗印のど真ん中を撃ちぬいて、四散させる。
「もう一枚、来るよ!」
 ナーシャの警告を受け、コガネとリョーコは左右に分かれて床を転がった。
 床に広がったインペリアルフラッグの上に、帝国騎士が立つ。
「帝国の領土にたった三人で踏み込んでくるとはイイ度胸をしているな。その無謀な勇気に免じて、私自ら相手をしてやろう」
「馬鹿をいうな。『帝国の領土』なんて、もうどこにもないんだよ」
 お前たちはとっくに滅んでいるのだ、とリョーコは帝国騎士に指を突きつけた。
「私等の相手は過去。這い出てくるなら何度でも踏みつける。理に反するものは、この世界の理によって消えて貰うかね」
 リョーコは真の能力を解放した。おのれの意識を遠い故郷の宇宙船へ飛ばし、船の頭脳ともいうべきスーパーコンピュータと接続させた。
 飛んでくる怨念の刃をかいくぐりながら、帝国騎士の能力を解析する。
 時間を稼ぐため、ナーシャがソウル・ガンを乱れ打ちながら帝国騎士の前に飛び出した。コガネも援護射撃する。
「帝国騎士ともあろうものが金の匂いを嗅ぎつけるとは。ずいぶんと育ちが良いようだね!」
「眼前に差し出された膳を食わぬわけにはいくまい」
 ナーシャはブレスレットからワイヤーを天井に向けて発射し、体を引っ張り上げて、飛んできたインペリアルフラッグをかわした。
「へー、そうかい。亡霊のくせに随分と欲が残っているじゃないか」
 天井を蹴って三角跳びし、コガネに切りかかる帝国騎士の後ろへ回り込む。だが、ソウル・ガンを発する前に帝国騎士は光剣を振りぬいていた。
 念動力の刃がコガネの左腕をとらえ、目に見えぬ鎖が巻きつけられた。己の間合いにコガネを引き寄せようとして、帝国騎士が腕を引く。
『観測完了。解析完了。力場形成から原子核崩壊まで2ミリセコンド、十分だね』
 リョーコは鮮血のような真っ赤なオーラを全身から放ちだした帝国騎士の周りに、結合分解を起こす力場を作り上げた。
 静電気が弾けたような音とともに鮮血のオーラが掻き消える。
 初見の技だったが、真の姿に覚醒したリョーコは瞬時に最適解を得て低確率を一気にほぼ成功する確率まで高めていたのだ。
 だが、帝国騎士は念力の鎖を引き続けた。手にはまだインペリアルブレードがある。それでコガネを切るつもりだ。
「僕ハ……貴方カラ……逃ゲラレナイ。ガ……貴方モマタ……僕カラ逃ゲラレナイ!!」
 剣の間合いに入った瞬間、コガネは全火力を帝国騎士へ撃ち込んだ。
 閃光が球状に膨れ上がり、コガネと帝国騎士を飲み込む。激しい爆音とともに、煙と炎が勢いよく四方に広がった。
「おっと!」
 ナーシャは吹き飛ばされてきた帝国騎士の体を、とっさに飛ばしたワイヤーにすがってかわした。
 帝国騎士は背中から壁に激突したが、倒れなかった。すぐさまインペリアルブレードを構える。
「さすがオブリビオン。一度死んでいるだけあって、なかなかしぶといね」
 ――と、帝国騎士は散れ焦れのマントを翻して逃げ出した。
 向かう先に小型宇宙船が見える。
 まずい。恐らくあの宇宙船には交易船から運び出された金が積み込まれているはずだ。
 帝国騎士が宇宙船ドッグに通じるドアの前に達した。
 が、ドアは開かなかった。
「どうやらシステムトラブルが味方してくれたようだな」
 帝国騎士は一度だけ後ろを振り返ると、インペリアルブレードでドアを切りつけ始めた。
「往生際が悪いね!」
「ココマデ……ダ、覚悟シロ!」 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナーシャ・シャワーズ
さて、そろそろお仕舞にしようか。
冥府に財は持ち込めないものだぞ。
その金はお前さんが持っていても仕方のないものだ。
さっさとこっちに引き渡してほしいもんだがね。

まあ、たった一体で良く戦ったもんだよ。
しかしいい加減お前さんの寿命も尽きる時だ。
わからないか?
背中を見せた時点でもう、終わりだってことだ。

ソウル・ガンは魂で魂を狙い撃つ。
その逃げに走った心でこの一撃に耐えられるかな!
帝国騎士として、少しは抵抗して見せてくれよ。

この弾で撃ち抜かれたら
さっきの船員たちもすっかり参っちまうだろうが…ね。
さて、金の扱いはどうなる事やら。
少しはこっちにも回してもらわないとやってられない話だが…


七篠・コガネ
●POW
逃シハ…シナイ…!ソウ言ッタハズ!
帝国騎士の脚を【クリムゾンティプト】で狙います
生憎…僕等は猟兵…お前ヲ倒ス道理がアル……
コレ以上は僕も…長続キシナイ…
僕ハ僕ノママデ…自分ノ罪ヲ贖ウタメニ…いずれ帝国と決着をつけてやる!

こちらへの攻撃を【武器受け】で受けて
至近距離からパイルバンカーでお返ししますよ
その後、少し距離を空けて
code-Nobody(装備武器)から帝国騎士一点に【一斉発射】

恨むなら…自分達を恨んで下さい…
僕を造ったのは……貴方達、銀河帝国なのですから……
……それにしても、僕自身も損傷が大きい
回復なんて僕には出来ないし…また修理してもらわないと…


触叢・アン
仲間らが戦ってるのを確認し、忍び足5・暗殺2・騎乗6・操縦8を駆使し、敵の脇腹目がけ鎧無視攻撃7っ、で宇宙原付ど~~~ん!
「ほれ、ど~~~ん」
その弾みで…騎乗6、操縦8、逃げ足4、ジャンプ、地形の利用、等と機体に付いたワイヤーを活用しそのまま高い場所に移動

「ほんならまぁ、ここで決めちゃらぁ!(タンクトップ破り捨て)」
ミリオンライドアタック(+鎧無視攻撃7)、それは宇宙エネルギーをその身に吸収し体内生成した幻影分身を放出…つまり露出が多いほど分身が増えその威力が増すのだ!
「とぉ! ふぅらっしゅ!Ah~~~♪」
敵目がけ降り注ぐ無数の原付サーフィン乗りセクシーネーチャン、それが1点に集束し蹴り貫く!




 触叢・アン(銀河疾風・f01011)は、鼓膜に圧迫を感じて宇宙原付バイク 牙‐ZOOMを止めた。耳に手をやって音がした場所を探る。
 また、耳に圧迫感があった。今度ははっきりと。音として捉えることができない気圧の変化は、どこかで何かが爆発したことで生じた?
(「どうやら間におうたようやけど、まだ戦場は遠いみたいじゃね。一体、どこにおるんじゃろ」)
 シートにしまったスペースヘルムを取りだして装着し、先行した仲間たちと連絡をとるべきか。
 だが、アンは現場に急行することを優先した。
 鼓膜を震わせた気圧の変化が爆発であれば、三人は交易船を襲った帝国軍と交戦の最中だ。返事をする余裕があるとは思えない。
 しばらく基地内をバイクで飛ばしていると、激しい銃撃音が聞こえて来た。前方、左横から右横へ、薄く白煙が吹き流れていく。
(「ん……と、左方向はたぶん、交易船から見た出入口に通じているはず。三人はそっちから来たから、敵は――」)
 アンは手前で牙‐ZOOMを左折させた。感が当たれば敵の後ろが取れる。いくつかハッチを突破した先に、広い空間に行きついた。
「ビンゴ!」
 目の前にインペリアルブレードを振るう帝国騎士の姿があった。ドアは半壊状態だ。右手からは、猟兵と思われる者たちが走り寄ってきていた。
 アンはスロットを全開にした。エンジン音に気づいた帝国騎士が振り返る。かまわず牙‐ZOOMを直進させた。
「ほれ、ど~~~ん」
 衝突の瞬間、原付宇宙バイクに受けたダメージは相当なものだった。弾みで牙‐ZOOMごと空に投げ飛ばされる。
 真下によろめく帝国騎士を見ながら、アンは落ち着いて姿勢を立て直した。
「よたっただけかい。丈夫じゃのう」
 ワイヤーを発射して、天井に牙‐ZOOMを固定する。
「ほんならまぁ、ここで決めちゃらぁ!」
 見上げる猟兵たちと帝国騎士に不敵な笑みを向けながら、タンクトップを破り捨てた。宇宙に満る様々なエネルギーが光りとなってアンの体に吸い込まれていく。
 あっけに取られている者たちの前で、アンは宇宙バイクごと分裂した。その数七体。
「とぉ! ふぅらっしゅ! Ah~~~♪」
 掛け声とともにワイヤーを外し、分身とともに敵目がけて自由落下していく。
 分散を集束しながら体勢を入れ替える勢いを加えて、足を振り上げ、帝国騎士の頭を蹴り抜く。
 帝国騎士の頭部を覆っていた兜の破片が、枯葉のように吹き飛んでいった。露わになった素顔は、半ば髑髏化したどす黒いミイラだった。
「げげっ」
 着地を決めるやいなや、アンはすぐさまバイクを回して仲間の後ろへ。
「触叢・アン。助けに来た――って、向こうに見えてる宇宙船、もしかして?」
「ナーシャ・シャワーズだ。ああ、あの船の中に金があるはずだよ」
 ナーシャは左腕をあげると、ソウル・ガンの銃口をしぶとく立ちあがった帝国騎士に突きつけた。
 殲滅モードに入っているコガネは名乗らず、黙したまま、ただ憎むべき敵を睨みつけている。
「さて、そろそろお仕舞にしようか。そこを退け」
 帝国騎士はなおもドアの前を離れない。どす黒く窪んだ眼下の奥から、赤く憎悪の光を猟兵たちに向けている。
「冥府に財は持ち込めないものだぞ。その金はお前さんが持っていても仕方のないものだ。
 さっさとこっちに引き渡してほしいもんだがね」
「金は……帝国のモノだ。我々の覇権のために役立てる。貴様らには渡さん」
 ナーシャは肩をすくめた。
「どこで役立てようっていうんだい。帝国はとっくに滅んじまっている。……まあ、たった一体で良く戦ったもんだよ。しかし、いい加減お前さんの寿命――おおっと、寿命も何も元から死んでいたね。そろそろ塵に戻る時間だ」
「黙れ、帝国は不滅だ! 我も帝国も滅びてなどいない!」
 帝国騎士は、ひび割れた鎧の前で黒き帝国旗を広げると、猟兵たちに向けて放った。
 ナーシャとコガネ、そしてアンは左右に跳び分かれて回避、インペリアルフラッグは追いかけて来たリョーコの前に落ちた。
 猟兵たちから僅かな時間をもぎ取った帝国騎士は、再び宇宙船ドッグに通じるドアの前に立ち、インペリアルブレードを振いだした。
「その執念深さがよみがえりの原動力かね。……なら、お前さんの魂はこいつに耐えられるかな! 帝国騎士として、少しは抵抗して見せてくれよ」
 ナーシャは帝国騎士の背に向けて、ソウル・エネルギー弾を発射した。
 青い稲妻のような光線が黒い背を貫くと、パチパチと小さく爆ぜる光が帝国騎士の全身を駆け巡る。
「グアァァアァ!」
 体を痙攣させ、動きを止めて固まった。が、帝国騎士は意地を見せた。ナーシャのリクエストに応えたわけではないだろうが、大上段に構えたブレードを呻きながらも振り下し、宇宙船ドッグに通じるドアを破壊したのだ。
 帝国騎士は勢い余って宇宙船ドッグの中へ倒れ込むと、そのまま床を這って宇宙船へ向かった。しかしねそれでは追いつかれてしまうと思ったか、すぐ立ちあがってよたよたと駆けだす。
「逃シハ……シナイ……! ソウ言ッタハズ!」
 誰よりも早く動いたのはコガネだった。尻はつけずに膝と脛だけを使って床を滑り、手先を変形させた鋭い鉤爪で帝国騎士の左脚を刈り取った。
 帝国騎士は体を半回転させて背中から床に倒れた。ゆっくりと使づいてくる猟兵たちを、インペリアルブレードを振り回して威嚇する。
「貴様ら、なにを考えている!? 帝国に仇なす意味が分かっているのか、こんなことをしてただで済むと思っているのか!」
「生憎……僕等は猟兵……お前ヲ倒ス道理がアル……」
「なんだと!?」
「オブリビオン……イヤ、お前が生前ノ……帝国騎士デアッタとシテモ、僕ハ僕ノママデ……自分ノ罪ヲ贖ウタメニ、倒す!」
 帝国騎士はコガネに向けて至近距離から呪怨のこもった黒い帝国旗を投げつけた。
コガネは鉤爪状態をオフにして武器を広げ、旗が広がり切る前に叩き潰した。
「コレ以上は僕も……長続キシナイ……」
 とん、と床を蹴って後ろへ跳び下がる。同時に全身の武器を発射状態にして帝国騎士をロックオンした。
「下がってクダサイ!」
 ナーシャとアンたちに警告を発して下がらせる。
「お前たち帝国ガ、自ら作リだしたコノ力で……滅びろ!!」
 コガネは各武器のトリガーを一斉解放し、狭い面積にきわめて高密度の光エネルギーを集中させた。
 眩い光を放つ玉が帝国騎士を飲み込み、爆発した。
 光が消えると、あとには丸くえぐられた床の底にインペリアルブレードの柄が転がっていた。
「恨むなら……自分達を恨んで下さい……僕を造ったのは……貴方達、銀河帝国なのですから……」


 帝国の宇宙船内を検めると、思っていた通り、格納庫に金塊がぎっしりと積み込まれていた。
 こっそりと一本抜きとろうとするアンを、コガネが止める。
「いいじゃろ、一本ぐらい。宇宙で無くしたって言えば」
「そうだよ。少しはこっちにも回してもらわないと、やってられないね……」
 コガネはナーシャの前に回り込むと、腰に手を当てた。
「ダメです。これはきちんと『白鯨』に返さないと。それに、報酬はちゃんとグリモアベースから出るじゃないですか」
「いい子じゃな、まったく。うちには名乗もせんかったくせに」
 アンは指を丸めると、コガネの額を弾いた。
「いたた……もう、何するんですか。さっき言いましたよ、七篠・コガネですって」
「終わって正気に戻ってからな。のう、ナーシャ」
 言いながら金塊へ手を伸ばす。
「ああ……と、リョーコがみんなを連れてここへ来る前に……」
 ナーシャも金塊へ手を伸ばした。
「だからダメですって」
 コガネは額を押さえながら、アンとナーシャの手から金塊を奪い返した。もう、といって口を尖らせた二人を金塊から遠ざける。
「……それにしても、僕自身も損傷が大きい。回復なんて僕には出来ないし……また修理してもらわないと……」
「それならうちが修理してやろうか?」
「え? 出来るんですか?」
「応急処置ぐらいなら」
 アンは宇宙船の外壁を応急補修するテープを二つ取りだした。にやりと笑って一つをナーシャへ投げ渡す。
「ち、ちょっと待ってください。何をする気です、ふ、ふたりとも……ちょっと、あーっ!!」

 金塊は無事、猟兵たちの手によって交易船の生き残ったクルーとともに宇宙母船『白鯨』へ引き渡された。
 のちに、引き渡しに立ち会った『白鯨』軍人の話によると、猟兵のうち三名がなぜか外壁の応急補修テープで絡まり合っていたらしい。
 なぜそんなことになっているのか、三人とも黙して語らなかったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月22日


挿絵イラスト