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忍の里は斜陽に染まる

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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 陽が西へと傾き、世界が緋色に染まる。深き山に囲まれたその里も、例外ではない。
 しかし、その里が紅く染まったのは、斜陽のせいだけではなかった。
 音もなく影が暗躍し、人々は為す術なく、断末魔の声すら上げることなく息絶える。苦無によって裂かれ、首筋から吹き出す鮮紅。里の地は、その地に生きた者の血に染まる。

 賑わうグリモアベースに、一人のケットシーが入ってくる。
 彼は肩にかけた羽織翻し、そばにあった椅子に軽やかにとび乗ると、眼の前にいる猟兵達へと鋭い眼光を向ける。
「皆の衆、よく集まってくれた。それがしはケットシーの剣豪、久遠寺・篠だ。早速だが、皆の衆にはサムライエンパイア世界に向かってもらいたい。山間の里に危機が迫っている」
 篠はそう説明しながら、懐から里の地図を取り出すと机に広げた。
 そこは外界から完全に孤立した山間の里。人口は総計しても百人程の小さな集落で、そこに通じる目立った山道もなく、外界へ向かうには道なき道を行かねばならない。
 里をぐるりと囲む形で、簡素ながらも三メートル程の高さのある塀が巡らせてあり、門は東西南北の四箇所に設置されている。門は同時に物見櫓を備え、塀の内側には、人々の住む家々に到達する前に侵入者の足を阻むような田圃が広がっている。
「この里は、かつて忍の里と呼ばれていた。しかし、江戸時代に入りすっかり忍稼業をやめ、ここに暮らす人々はすっかり忍の技を忘れている」
 篠が次に取り出したのは、一見して凶悪と分かる妖魔忍者の姿絵である。
「そして今、この里を滅ぼさんと、オブリビオンである忍者の集団が迫っている。集団と言っても彼らは個々に山を影のように駆け、様々な箇所から侵入してくる。なので、どこで待ち構えていれば侵入を食い止められるとは明言出来ないのだ」
 予知が不確かなことを悔いるよう篠は表情を顰めた後、しかし、と言葉を続ける。
「この里の地図を見てもらえば分かるように、幸いなことに里は防衛に適している。塀の外で待つか、はたまた上か、内側か、田圃か、家々の付近で最終防衛を敷くか、それは皆の衆の判断に任せたいと思う」
 早速頭を巡らせはじめた猟兵達の様子に頷き、篠はその長い尻尾を揺らす。
「妖魔忍者を食い止めていれば、いずれ彼らの首魁が姿を現すだろう。そいつを仕留めればこの依頼は終わりなのだが……もうひとつ」
 頼まれて欲しい、と彼は肉球のある指を立てた。
「戦いが終わった後、この里の者に、忍や戦い、魔術の技術の訓練をつけてやってはくれないだろうか。共に鍛錬をする形でも良いし、スパルタでも構わん。元々は忍の技術で戦国を生き抜いていた者達だ、きっと筋は良いに違いない」
 篠は広げていた資料を全て回収すると、それらをまとめて文にし、表に『依頼状』と認める。
「数多の魑魅魍魎が跋扈しはじめたこの世界、彼らだけでも生き抜ける術を教えてやって欲しい。皆の衆、頼んだぞ」


三橋成
 皆様こんにちは、三橋成(みはし・せい)です。
 今回は忍の里を忍者集団から救い、ついでに鍛錬をしてしまう依頼です。
 まずは集団戦となりますが、妖魔忍者は強く、基本的には一対一で相対するような形になります。待ち構え方が不味かったりすると二対一になったりするかもしれません。

 最後の章に行う鍛錬の内容は問いませんので、忍の技術は勿論、異世界の魔術やら科学やらを持ち込んでいただいても構いません。

 格好良い物語を皆様と紡いで参りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『妖魔忍者』

POW   :    忍法瞬断
【忍者刀】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    忍法鎌鼬
自身に【特殊な気流】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    忍法鬼火
レベル×1個の【鬼火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ユーイ・コスモナッツ
サムライエンパイアのニンジャ
一度お会いしたいとは思っていましたが、
こんな形で叶うとは予想しませんでした

待ち構える場所は塀の外
私の戦い方は、空間を広く使えた方が有利だからです
騎士は逃げも隠れもしません、
門の前に仁王立ちして待ち構えます

飛び道具で狙い撃ちされるかもしれませんが、
来るとわかっているなら怖くありません
久遠寺さんの予知のおかげですね
視力や第六感の技能も役立つでしょうか

なんらかの行動を仕掛けてきたら、
それをもとに相手の位置座標を把握
反重力シールドの上に乗り、
ユーベルコード【彗星の重力加速度】を発動
塀をジャンプ台がわりに使い、
一撃必殺の急降下突撃をお見舞いします



そこは里の北門外側。ユーイ・コスモナッツは身の丈に近い程の盾を携え、門の前に仁王立ちして敵を待ち構えていた。
 彼女が塀の外側を戦いの場として選んだのは、こそこそと行動するのは騎士としてふさわしくないという信念。そして彼女自身の戦闘スタイルを鑑みて有利に立ち回れるようにという理由である。
 しかし、どこからか狙撃されるかもしれないという危機感を覚えながら周囲に警戒を向けていた彼女の胸の中で、奇妙な焦燥感が起こった。
 あまりにも静かすぎる。
 辺りには、風が吹く度揺れる木々のさざめきしか存在しない。
 そして彼女が振り向いたのは、第六感と呼んで良いものだっただろう。視界の端で、塀を乗り越え里の内側へと入って行く影を捕らえた。
 何故、どこから、いつの間に。ユーイの脳内に多くの疑問が巻き起こるが、妖魔忍者の目的が里の壊滅であるならば、見えている強敵を避けて通るのは想定出来たことだと思い至って歯噛みする。
「待て!!」
 ユーイは反重力シールドの上に乗ると、妖魔忍者の後を追う。
 塀を乗り越えると、田圃の畦道を駆けていく妖魔忍者の後ろ姿を視界に捕らえた。
「サムライエンパイアのニンジャ。一度お会いしたいとは思っていましたが、こんな形で叶うとは予想しませんでした」
 ユーイは身構えると、塀の上から反重力シールドに乗ったまま妖魔忍者目掛けて急降下突撃を食らわせんと迫る。
「いざ……突撃ぃーっ!!」
 だが、妖魔忍者も負けじと振り向き、忍者刀を構えると迫る彼女へと斬りかかる。
 彗星と刀が交わる瞬間、シールドは一撃で田圃周囲の諸共妖魔忍者を押しつぶした。しかし、刀による反撃でユーイも深手を負った。彼女は腕の傷口を抑えながら立ち上がる。
「危ないところでした」
 これが忍を敵に回すということ。騎士道精神の外にある敵の存在を、強く感じた一戦となったのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アイナ・ラウタヴィーラ
相手は忍者、ですか。上手く見つけられると良いですけど……

えと、東側の門の物見櫓を使わせていただいて、高所から周囲を監視します
スナイパー、視力、先制攻撃の技能があるので、姿絵のような怪しい忍者が居たらとりあえず狙撃しますね……
あ、その、射程内で命中しそうならユーベルコードで大打撃を与えるのも狙ってみます

その、接近されて狙撃が有効でなくなったら、櫓から飛び降りて迎え撃ちます
近距離ではライフルは使い難いので、拳銃と刀に持ち替えてから、呪詛をかけてみて動きを鈍らせられないか試してみよう、かな

……彼等の意思も記憶も、時の彼岸に還しましょう
本来過去に置き去りにされた者が残せるのは、残り香だけなのだから



山の里の日が暮れる。周囲が茜色に染まり、全てのものの影が伸びる。
 完全な闇に紛れるよりも、本人たちの視界も効く分、忍の行動しやすい時間帯だ。
「相手は忍者、ですか。上手く見つけられると良いですけど……」
 アイナ・ラウタヴィーラはそんな悪条件の中、東門に設置された物見櫓の上で、高所からの監視を行っていた。平地にいれば身を隠す依代となる夕暮れの影は、しかし高所から監視をしていれば、その動きを見つけやすい。
 アイナは塀の外側を走る影を見つけるとすぐさまライフルを構え、素早く狙いをつけると狙撃した。
 弾は確実に妖魔忍者を捕らえた。その手応えはあるものの、妖魔忍者はその身に特殊な気流を纏いながらさらなる高速移動を開始する。
「……彼等の意思も記憶も、時の彼岸に還しましょう」
 その動きを見て、アイナはライフルから自動拳銃に武器を持ち替えながら物見櫓から飛び降りる。彼女が地面に着地した瞬間、目前に妖魔忍者が迫っていた。
 妖魔忍者の放った斬撃の衝撃波がアイナの頬を掠めたと同時、彼女の呪詛を籠めて撃った弾丸が妖魔忍者の眉間を貫く。
 黒き衣に身を包んだ体がどさりと地に倒れ、そして消えていく。
「本来過去に置き去りにされた者が残せるのは、残り香だけなのだから」
 伸ばされた前髪の隙間から、アイナの金と紫の瞳がその塵と化した物を眺めていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

緋翠・華乃音
……ちっ、こういう手合いは苦手なんだよな。だが――甘く見るなよ。どれ程素早かろうと、俺の狙撃範囲に入れば決して逃がさない。

「目立たない」「明細迷彩」地形の利用」を生かし物見櫓若しくは塀の上部等、狙撃に適したポイントを探して潜伏。
狙撃可能範囲に敵が侵入すれば「第六感」「戦闘知識」「視力」「スナイパー」の技能で以て狙撃開始。
狙撃に使う銃弾は麻痺毒を備えた弾にしておこう。例え一撃で仕留められなくとも、その機動力を奪う一助くらいにはなる筈だ。
もしも敵に接近された場合は狙撃による攻撃を放棄。拳銃やナイフ、鋼糸等の多彩な武器を使い分け、近接戦闘を行う。



北側の塀の上で、周囲の木が被さったちょうど潜伏に適した場所に身を伏せているのは緋翠・華乃音だ。
 自身の狙撃能力に絶対の自信を持つ華乃音だったが、彼はその自信を裏付けするだけの力量を備えている。
 そしてその彼が潜伏にこの場所を選んだということは、隠密行動を望む忍もまた、この場所を選び通りたがるということである。
 木々の影から僅か姿を現した妖魔忍者に、華乃音は構えていた狙撃銃から弾丸を放った。
 見つかったと敵も判断したのだろう。寸でのところで弾をかわした忍が影から飛び出し、高速移動のままこちらへ迫る。
 そして妖魔忍者から放たれたのは無数の鬼火。紅に燃えるそれらは一つ一つが意思を持つかのように動き、蠢き、華乃音を襲った。
「……ちっ、こういう手合いは苦手なんだよな」
 一発外したことに対する悪態を口にしたものの、鬼火を避けて横へ移動した華乃音には未だ余裕が残る。
「だが……甘く見るなよ。どれ程素早かろうと、俺の狙撃範囲に入れば決して逃がさない」
 華乃音の深い紫の瞳が煌めいた。
「避けられるものなら」
 そして放たれたのは、虚空より放たれる無数の銃弾の雨。
 数は正義だ。降りしきる攻撃を避ける術はなく、妖魔忍者はその身に離束銃雨を浴びると霧散した。
 さらに接近戦になった時用にと用意していた他の武器に触れながら、華乃音は再び周囲への警戒を続ける。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴鳴・藜
予め『狼影』はすぐに俺の影から出られるよう待ち構えててもらおうか。
敵と遭遇し、刀を交え拮抗してるときに不意打ちがいけたら上々の出来ってね。

相手は忍者だし読まれるかもしれねぇが態勢を崩すことができりゃ一撃を食らわせる一手にだってできるだろう。
だから頼りにしているぜ、相棒。

待ち構えるのはそうだな、堀の内側にしておこうか。

他の猟兵と共闘はお任せ。事前にもし話合える機会があるなら連携などの確認もしておきたいな。



「相棒頼むぜ、一緒に狩りに行こうや」
 一人の羅刹の男が、自身の影に向かってそう声をかける。それは鈴鳴・藜が狼影と呼ぶもの。
 彼は西側の塀の内側に、背を塀にぴったりと預ける形で敵を待ち構えていた。
 太陽は今、西側へ沈もうとしている。すなわち、西側の塀の内側は身を隠すことの出来る深い影がある。
 そして、この里の四方を猟兵が余すことなく守る布陣を敷くことが出来たのも、藜が事前に仲間と打ち合わせをしていたおかげである。
 不意に物音がした。
 それは聞き耳を立てていなければ聞き漏らしてしまう程のごく小さな、塀を越える物音。
 藜は身構え、彼に気づくことなく塀を越え目前に降り立った忍の背後から刀を振りかぶる。だが敵も流石の反応で振り返り忍者刀で彼の一閃を受け止める。
 しかし。
「狼影!」
 藜が呼ばう瞬間、彼の影から全長二メートルは優に超える狼が現れ、妖魔忍者へと喰らいついた。その隙を逃すことなく、藜がさらに鋭い斬撃を浴びせかける。
 断末魔の声をあげることもなく、妖魔忍者は倒れた。
 褒めてくれと言わんばかりに鼻先を寄せてくる狼の眉間を撫でてやりながら、藜は僅か張っていた気を緩める。
「頼りにしているぜ、相棒」

大成功 🔵​🔵​🔵​

羽重・やち
やちは、塀の内側で、【三姫】と遊んで待ってる。
【聞き耳】たてながら、待ってる。
三姫、お前も【忍び足】でひっそり、しておいで。
忍び、という、ひっそり、来るだろうから。
騒がしいところ、からは、来ないだろうから。
来たら、【先制攻撃】の【早業】で、すぐ、静かにさせる。
向こう、が、ユーベルコード、使うなら、【ミレナリオ・リフレクション】で、相殺だ。



北側にある塀の内側。そこに女がいた。
 漆黒の髪が白皙の頬にかかり、赤い瞳を覆っている瞼を縁取る睫毛は長い。壁に背を預け、目を閉じ聞き耳を立てている姿はこの世のものとは思えない程に美しく、まるでそこに一体の人形が飾られているかのようである。
 しかしその腕の中には、本物の人形が抱かれていた。
 三姫と少女に呼ばれているそれは、かわいい童の姿をしている。しかし、決して侮ってはならない存在であった。
 かさりと風が揺れる。
 羽重・やちはその瞼を持ち上げ、宝石のような赤い瞳を顕にした。彼女は物音もたてず、塀を越えて降り立った妖魔忍者に背後から迫る。
 気配に気づいた妖魔忍者が迎撃するよう宙に幾つもの鬼火を浮かべ、やちへと放った。
 しかしやちの側に瞬時に灯ったのも、まるで鏡合わせのように浮かんだ鬼火。それらは妖魔忍者が発したものと全く同じ挙動をし、ぶつかり合って宙で消える。
 その隙、やちの黒髪が揺れた。
 そして、妖魔忍者が息絶える。まるで、何事も起こらなかったかのように。ただ、やちの腕の中にいたはずの三姫が妖魔忍者の骸の傍に立っている。
 それが、何かが起こった証。
「やちはまだ、塀の内側で、三姫と遊んで待ってる」

成功 🔵​🔵​🔴​

ヘンリエッタ・モリアーティ
【WIZ】
――相手は、ニンジャ……!隙を見せちゃいけない、ッ、焦るな……!
落ち着いて、この戦局に対応できる『私』を呼ばないと……!
【トリガーピース】を使って【ルビー】に交代したほうがいい、彼女なら、上手くやれる!
『あらあら、ニンジャを相手に――そうですね、では待ち構える場所は暗闇が多いところのほうがいいですね。家々の付近にしましょう。
向こうも暗闇は得意でしょうが、それはこちらも同じく【目立たない】のでこの点に関してはイーブンです。
【だまし討ち】で相手を驚かせたら――【謎を喰らう触手の群れ】でそのまま炎ごと貪ってあげましょう。
叫び声すら届かないよう、――味わってさしあげますわ』



敵が刻一刻と迫る中、田圃の畦道を身を屈めて歩いている女性が一人。
 ヘンリエッタ・モリアーティは困惑していた。そして、慌てていた。忍者の相手などしたことがないのだ。自身から遠い存在すぎて、相手がどのような手段で迫ってくるのかも分からない。
「相手は、ニンジャ……! 隙を見せちゃいけない、ッ、焦るな……! 落ち着いて、この戦局に対応できる『私』を呼ばないと……!」
 ぶつぶつと呟きながら取り出したのは、トリガーピース。それは彼女を切り替えるスイッチ。
「ルビーに交代したほうがいい、彼女なら、上手くやれる!」
 彼女がそう声を上げた瞬間、その顔つきが変わった。そう、まるで、別人のように。
「あらあら、ニンジャを相手に。そうですね、では待ち構える場所は暗闇が多いところのほうがいいですね」
 ヘンリエッタは……ルビーは先程の自分に返答をするように応え、そして答えも導き出す。彼女が真直ぐに向かったのは、家々の近く。夕暮れの陽が射すその付近は、いっそう影が深い。
 彼女はそこに身をひそめると、敵を待った。
 そして、その瞬間は訪れる。いくら護りを徹しても抜けてきてしまった妖魔忍者。
 しかし彼女はその背をとり、一気に迫ることに成功した。
 だが、彼女の目的は背後から攻撃することではない。忍者を驚かせることである。
「こちらを向きなさい」
 妖魔忍者の表情が僅かに変わったのを見逃さなかったルビーは召喚した夥しい触手から狗の群れを飛ばし喰らいつかせる。
「叫び声すら届かないよう、……味わってさしあげますわ」
 夕日に彩られた深い影の中、狗の群れが蠢き続けていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

坂上・半
おー、こりゃ出遅れたか。
まぁ、まだ本隊……頭もいるだろ。

それまでは巣ぅ張って待ち構えてるかね
突破してくる奴はいないかもしれねーけどな

こっちの“巣”に入ったならばっらばらだ

里人を集めて護りやすくした後
【忍び足】で忍んで【第六感】と【見切り】の視点をもって見晴らしのいいところから見張り、【忍び寄るは地獄蜘蛛】にて【妖糸】を張り巡らし、196m以内に侵入した敵を絡めとる。

残念だったなぁ



「おー、こりゃ出遅れたか」
 あちこちで仲間が妖魔忍者の侵入を防ぎ撃破しているのを感じ、坂上・半はそうぼやく。しかし、敵の攻勢はまだ終わってはいない。
 護りを徹底すべく、彼は里の者を数軒の家に集め防衛を固めると、その家の屋根の上に陣取った。
「突破してくる奴はいないかもしれねーけどな」
 そう仲間への信頼を述べながらも里に罠を仕掛けるのは、彼の慎重さ故か。
 そしてその慎重さは結論から言えば、里の被害を一人も出さないという、最高の成果を上げることに貢献した。

 屋根の上に陣取った半の視界に、影が映る。それはすなわち、里に巡らせた蜘蛛の巣に、忍び込んだ妖魔忍者がかかったということ。
「百鬼の領域へようこそ。 ――さようなら」
 少年はその手を動かすと、妖糸を仕向け、潜みきれなかった妖魔忍者を絡め取る。反撃とばかりに妖魔忍者は気流を纏い半へと迫ろうと駆けた。が。
「残念だったなぁ」
 忍者は術者に近寄ることすら叶わず、糸に巻かれて絶命する。
 その事の終わりを確認し僅かに集中を解いた半だったが、北門から伸びている道を歩いて家々へと向かって来る一人の少女の姿を見つけて、眉を顰めた。
「あれは……」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『妖狐』明日香』

POW   :    妖狐の炎
レベル×1個の【妖狐の力 】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
SPD   :    野生の開放
【真の妖狐の力 】に覚醒して【九尾の狐】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    スコールシザーズ
自身が装備する【鋏 】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠暁・碧です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


左右に田圃が広がる道を、一人の少女が……妖狐が歩く。まるでそのまま親戚でも訪ねそうな様子だが、その手には血に濡れた鋏が握られていることだけが異様であった。
「まったく、不甲斐ないなぁ……」
 本当は姿を現すつもりはなかったのにとぼやく声は、妖魔忍者達へ向けられたものだろう。
 その姿に恐るべきところは感じられないが、しかし、この警戒網の中、すでに難なく里に入り込んでいるということ自体が、その妖狐、明日香の力量を表していた。
 明日香はまた一歩、家々へと向かって歩みを進める。
ユーイ・コスモナッツ
さすがはニンジャ、
微塵も油断はできませんね
このぶんだと、
きっと里のなかにも……

というわけで
傷の応急処置を済ませたら、
そのまま里の中をパトロールします

明日香を見つけたら
反重力シールドを急加速させて突っ込み、
射程外からの高速体当たりをぶつけます

それが成功してもしなくても、
手負いの私一人でやっつけることは難しそうですから、
せめて彼女を足止めするよう頑張りましょう

盾で受けて、盾で弾き、盾に乗って撹乱する
足止めを読まれたらだめだ、剣と槍の技も駆使します

そうする間に、仲間の猟兵が駆けつけてくれると信じて


鈴鳴・藜
チッ…。敵大将は既に里に入ってるんだって?
俺らも警戒はしてたんだが…。相当な手練れなんだろう。
どんな敵であれ油断は禁物だな

里の人間に危害が加えられる前に何とか足止めでもできればいいんだが。
悪いな『狼影』できるだけ急いでくれ。
相棒に跨って敵の下へ向かうぜ。

敵を視認できたら周りの状況、地形も含めて大雑把に確認しておくぜ。
状況によってスピードを緩めず俺は狼影から飛び降り相棒はそのまま真上から襲撃。
敵が避けようが真正面から迎え撃とうが俺は刀で追撃にいく。
それすら避けられたら狼影と挟む形で一度間合いをとって出方を伺うか…。

味方猟兵の動きも戦闘に支障がない程度に確認
隙があるならそこをカバーする形で攻撃を。


坂上・半
妖狐か
こりゃ巣を張って待ち構えなんて通じねえな
そんな距離まで近寄られたら守るなんて無理だろ

あー……んー……まぁ、“見”にまわるか

既に始まってる戦いをようく観察し近づきながら【見切り】に入る

【殺気】と【呪詛】を叩きつけて攻撃のフェイントとし
【忍び足】と【残像】を交えて距離を惑わせ
間合いを【見切り】、カス当たりは【オーラ防御】で耐え【呪詛耐性】により流し、【カウンター】で【籠鳥】を入れる

あるいは味方への攻撃に注意を割いた隙に【籠鳥】

「暴れすぎだぜ」
「本能に引きずられてるよ、お前」

妖糸で動きを封じる際は糸を切られぬよう最初は少し妨害する程度
その状態で動き回らせて出血で消耗させた後一気に縛る


羽重・やち
何、か、来たか。
…そうだな、飛んでおいで、【刃重烏】。
前、これを、玩具と呼んだ者が、いた。
そう、これは、玩具。先生、の、邪魔をする相手を刈る、玩具。

一手で、終わるな。
烏の刃は、たくさん。【2回攻撃】も、【カウンター】も、狙っていけ。

寿命、削るのは、良いが。戦闘力が、上がる、のは、面倒、だな。
九尾に、なるなら、【咎力封じ】、で、縛りにいく。



「さすがはニンジャ、微塵も油断はできませんね」
 深手を負っていた傷の応急処置を済ませ、しかしユーイ・コスモナッツは止まることなく里のパトロールをはじめた。それは、一度戦い、敵の強さを実感したからこその行動である。
 そして、程近い道の途中に妖狐の姿を見つけてその姿に目を凝らす。
 一見すれば害がなさそうな姿。しかし、警戒が敷かれている里の中を悠然と歩いていることも、そもそもユーイ自身が見張っていたはずの北門から続く道を歩いていることもおかしい。
「ブースト・オン! いっけぇーっ!!」
 彼女はすぐさま反重力シールドに飛び乗ると急加速し、そのまま明日香へと突っ込む。
 明日香は少女らしい悲鳴を上げながら吹き飛ばされ、そしてそのまま身を翻すと、彼女は九尾を持つ大きな狐の姿へと変化していた。
 いよいよ暗さの増す里の中、その妖力の大きさを表すような九尾がゆらりと揺れる。
 明日香は素早い動きでユーイへと喰らいついてくる。それを盾で受け、弾き、また再び盾に乗ると一瞬逃げるように距離を取ってから再び戻る。
 それは決して敵に大打撃を加えられるような挙動ではなかったが、ユーイの狙いはそこにはなかった。
 明日香が態勢を整え直し、ユーイに飛びかかったその次の瞬間。
 現れたのは黒い大きな狼……狼影。
 獣は妖狐の首元に喰らいつき、地面へと押し倒す。
「悪いな、待たせた」
 鈴鳴・藜は騎乗してここまでやってきた狼影から飛び降り刀を構えながらユーイへと声をかける。
「いいえ、駆けつけてくれると信じていました!」
 彼女の言葉に藜は頷き、相棒が作り出した隙を突くよう妖狐へと斬りかかる。
「俺らも警戒はしてたんだが中に入り込むとは……。相当な手練れなんだろう」
 九尾となった敵の姿を目の当たりにし、よりその確信を深めながら慎重に行動する藜の立ち回りは、狼影との密な連携でもって妖狐を追い詰めていく。
 そしてその戦いを、やや遠巻きに観察していたのは坂上・半だ。
 彼は家の屋根の上から最も早く明日香を見つけていたが、その戦闘方法を探るまで手出しをしていなかった。しかしその分だけ、得られた情報がある。
 妖狐が獣特有の素早い動作で狼影に噛み付いた瞬間、忍び足で一気に間合いを詰めた。
「暴れすぎだぜ」
 そして放ったのは、彼の得物である妖糸。
 それらは音もなく妖狐の両足へと絡みつき、動きを封じる。
「本能に引きずられてるよ、お前」
 半は敵を絡め取った糸を急激に引くことはしなかった。糸を外そうと暴れる妖狐をそのまま泳がせ、糸によって足につけた傷から血を滴らせる段になって一気に縛る。
 そのタイミングは、妖狐が半へ噛み付こうと地面を蹴った瞬間であった。
 半の妖糸は確かに妖狐の動きを封じ、体力を消耗させた。しかし、拘束力があと僅かに足りない。獣の攻撃は半の体を地面へと叩きつける。
 と、その時。
「面倒、だな」
 この世のものとは思えない、奇妙な、そして美しい囁き声がした。羽重・やちが、夕日を背に立っている。
 彼女によって宙に放たれたのはあらゆる拘束具。それらは全てが妖狐に絡みつき、動きを完全に止める。そして、その強力な変化さえも封じた。
「良うタイミングだぜ」
 妖狐の下から逃れ態勢を立て直した半がやちへ感謝ともとれる言葉を告げる。
「里の人間を皆殺しにしてやる」
 九尾の妖狐から少女の姿に戻った明日香の口から放たれたのは呪詛の言葉。未だ獣の本能が残っているかのように、金の瞳が爛々と輝いている。
「何、か、だ」
 やちはその敵を、人でもない、獣でもないものだと認識する。
「……そうだな、飛んでおいで、刃重烏」
 そして彼女が呼ばうのは、烏の絡繰り。それは玩具のようで、しかし纏う禍々しい気配は凶器と呼ぶに相応しい。
「これは、先生、の、邪魔をする相手を刈る、玩具」
 やちはその刃重烏を操り明日香へとけしかける。翼の刃で、明日香の肌を幾度も刻むその攻撃方法は凶悪だ。
 しかし、明日香はここでこのままやられるだけの相手でもなかった。
「私を侮るなよ……!!」
 人の姿に戻ったことで拘束から逃れた妖狐は再び猟兵達へと立ち向かってくる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

アイナ・ラウタヴィーラ
う、ん? 北側から戦闘音?
嫌な予感がします、ね。急行しましょう……

既に複数の味方が交戦中のようです、ね。
えと、距離は十分あるようなので、民家を巻き込まない位置に移動してから迷彩の技能とライフルを使って遠距離攻撃を試みます

呪詛とスナイパーと援護射撃の技能で仲間を援護をしながら、ユーベルコードで致命な部位を狙います。

その、攻撃に気付かれて接近されたら、クイックドロウで拳銃に持ち替えながら先制攻撃を狙ったあと、零距離射撃、二回攻撃の技能で戦い、ます。


うぅ、あまり同じ妖狐は撃ちたくない、けど。……仕方ない、ですよね。
手練、みたいですけど、注意していこう……

お願い動かないで、苦しめるつもりはない、の……


坂上・半
真の姿を解放、雷光を纏う
【妖剣解放】

おー、おー。
助けられちまった分は働きで返さないとな。

さぁ、もっぺん変化するか
それとも――このまま切り刻まれるか?

お前に自由なんてやらねえよ

【恫喝】と【殺気】を交えて【呪詛】を刃に込めて斬りかかる
妖刀の凶悪さを増して注意を集め、それを囮に本体の動き、足運びをわずかに惑わせ【残像】と【見切り】、【忍び足】を交えて死角へ移動し『今までは届かなかった距離』から首と脚へ斬撃を放つ

化け狐はおよびじゃないんだよ



「おー、おー。助けられちまった分は働きで返さないとな」
 明日香に相対し、坂上・半はその鉱石にも似た紫の瞳を輝かせる。同時にその身から放たれたのは雷光。
 雷を纏う彼こそが、その真の姿である。
「さぁ、もっぺん変化するか」
 妖刀『あざ丸』を構え、先程やられた仕返しとばかりに明日香に狙いをつける。その刀から彼の腕を伝い全身を侵す怨念の気配は禍々しい。
「それとも……このまま切り刻まれるか?」
 瞬間、彼は地を蹴り明日香との距離を詰めると、妖刀を振り下ろす。変化の術を封じられている明日香は飛び退くことで半の刃を避けた、が。
「お前に自由なんてやらねえよ」
 凶悪な妖刀の刃から放たれた斬撃の衝撃波が明日香の首筋を斬りつける。
 狐のものとも、少女のものともつかない高い悲鳴が上がった。
「こんな餓鬼に……私がやられる訳なんて」
 溢れ出る血を抑えながら、明日香は手にした鋏を掲げ上げる。同時に宙に現れるのは、その鋏を鏡写しにしたような数多の複製。
 それらは彼女の意図に従い、半を含めその場に居る全ての猟兵達へと突き刺さっていく。
 戦場に混乱が満ちたが、次の瞬間、ピタリと静寂が訪れる。一拍置いて里に小さく響いたのは一発の銃声。
 鋏を操っていた明日香が胸を抑え一歩よろめいたことで、銃声がその距離の遠さ故に遅れて聞こえたのだと理解が及んだ。
 北門の傍にある物見櫓からその一発の銃弾を放ったのは、アイナ・ラウタヴィーラだった。
「お願い動かないで、苦しめるつもりはない、の……」
 彼女は仲間達の戦闘音を聞きつけ、妖魔忍者を仕留めた東側から、明日香を狙撃しやすいその櫓まで移動して時を待っていたのだ。
 一撃で妖狐の心臓を射抜きたい、という願いは、彼女と同じ妖狐である明日香をあまり苦しめたくないというある意味での優しさの上にあった、が。
 スコープを覗き込んでいたアイナの視界に、明日香がその穴の空いた胸に炎を纏わせ、殺気を纏って彼女の方へと向いたのが映った。
 明日香は再び数多の鋏を生み出し今度は遠距離にいるアイナへと仕向ける。
「化け狐はおよびじゃないんだよ」
 だがその隙を逃さず、半が再び斬撃で追撃をかけた。
 夕日はいよいよ地平線にその姿を消し、薄闇の広がる中戦いは佳境を迎える。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヘンリエッタ・モリアーティ
【WIZ】
(真の姿を解放します)
――おやおや。妖狐だとは……なかなかにしぶといと見た。
いや、同じくしぶとい身としては共感するところはあるんだよ、私もね。
ただ――そうだな、君と私が唯一違うとすれば、生き物の力を見くびらないことだ、獣よ。【愛しき我が隣人たちよ】、力を貸してくれるね?
『『イエス、マダム』』
よろしい。”表向きの私”じゃ役立ちそうにない。【ルビー】は先ほどの戦いで地形が理解できているはずだ。お前に宿してあるUDCを使い【ヘイゼル】が戦いやすいよう援護しなさい。【ヘイゼル】、――暴れろ。
『っぎひ、はははァ!お望みのままに、マダム!獣がよォ、覚悟はしてあンだろォ!?――ブッ潰す!!』


坂上・半
真の姿を解放する
先ほどより雷光は密度を増して

【恫喝】と【殺気】を交えて【呪詛】を刃に込めて斬りかかる
妖刀の凶悪さを増して注意を集め、それを囮に本体の動き、足運びをわずかに惑わせ【残像】と【見切り】、【忍び足】を交えて死角へ移動し――

と、先ほどまでと多少は変えつつも同じように動くことで“妖狐に動きを読ませ攻撃を誘う”
相手の思考を誘導することで自分の受けやすいように誘導
攻撃を【オーラ防御】で受けてダメージを軽減するように攻撃と逆側へ跳ね跳び“距離を開くことを不自然に思わせず、ひとまず距離が空いた”と思考を誘導したところで【縮地】

一気に距離を詰めて今度こそその首をはねてやるぜ
その首よこせよ


緋翠・華乃音
……さて、スナイパーは俺の他にも居る様だな。
だったら援護は程々にして、少し奇襲させて貰おうか。

潜伏していた場所から戦闘音や気配を頼りに敵を発見した後、様子を見ながら狙撃銃にて援護射撃を繰り返す。
その内敵に射線を読まれ始めると思うので、塀伝いに移動しながら狙撃を続行し、敵の態勢が崩れる一瞬の隙を見計らう。
その隙を見逃さずユーベルコードを使用。遠距離から一瞬で背後に移動し、二挺拳銃にて攻撃。拳銃やナイフ等を用いた近接戦闘に切り替える。



坂上・半の纏う雷光は、先程よりもさらにその密度を増している。その身に纏うのは光だけでなく、燃え立つような殺気。
 明日香も変化の術を封じられ、最早形振り構っていられず直接鋏を使い半へと斬りかかる。その攻撃を見切りながら斬撃を繰り返し、二人の攻防が深まった。
 明日香は半の誘導に誘われながらも、さらにそれを越える速度で彼の肌を裂く。
「甘いのよ!」
 だがさらにそこに叩き込まれたのは、明日香の背後から放たれた弾丸。
 音に気づいた妖狐は咄嗟に飛び退いたが、弾丸はその肩を掠めたようで、白い肌に赤い血が垂れた。
 その一撃を放ったのは緋翠・華乃音。
 彼は潜伏していた場所から移動し、奇襲する隙を狙っていたのだ。敵に見つからぬように影の濃い塀沿いに移動しながら狙撃を続け、的確に明日香を追い詰めていく。
「まったく、この里には卑怯者が多いのね?」
 視認叶わない敵の攻撃に晒され、明日香は忌々しいとばかりにそう言い捨てる。
「忍をけしかけた妖狐の言うことじゃないと思うがね」
 その言葉に応えたのは、ヘンリエッタ・モリアーティ。彼女は普段のおどおどとした姿を捨て去っていた。今その身に宿っているのは『マダム・モリアーティ』。
 顔立ちは変わらないまま、人は表情と纏う雰囲気が変わるだけでここまで変化するものだろうか。
「君はなかなかにしぶといと見た。いや、同じくしぶとい身としては共感するところはあるんだよ、私もね」
 彼女は一見素手、しかし全身に凶器を纏っているかのように隙がない。
「本当にしぶといかどうか……」
 明日香が口をはさもうとしたところで、マダムは手を上げその言を封じる。
「ただ――そうだな、君と私が唯一違うとすれば、生き物の力を見くびらないことだ、獣よ。愛しき我が隣人たちよ、力を貸してくれるね?」
 そう傍らに呼びかければ、何も存在していなかった場に、二人の人間が召喚された。それはヘンリエッタと同じ外見をした、別人格の実体化。
「イエス、マダム」
 二人は声を合わせ応えると、マダムに命じられるままの行動を開始する。
「ルビーは援護を。ヘイゼル、――暴れろ」
「っぎひ、はははァ! お望みのままに、マダム! 獣がよォ、覚悟はしてあンだろォ!? ――ブッ潰す!!」
 元は同一人格だからか、はたまたマダムの指揮のおかげか、見事な連携で明日香の身を裂いていく。
 明日香は反撃のために再び鋏を召喚し、その場にいる全ての猟兵へ鋏を突き刺した。だが、その瞬間背後に迫っていたのは華乃音。銀の髪が煌めく。
「隙有り、だな。ヘンリエッタの派手な攻撃に気を取られたか」
 そうして二丁拳銃で、瞬きの合間に数多の弾丸を撃ち込む。その早業は最早人間の領域を超えたもの。早すぎる銃撃のせいで、発砲音は一つ響くのみ。
「道理も摂理も踏み越える…!!」
 さらに同時に行動を起こしていた半が迫り、妖刀を構えた。
「その首よこせよ」
 振り下ろされる凶悪な刃が”それ”を刎ね、宙へと飛ぶ。
 空には宵の明星が輝いていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『修練』

POW   :    滝に打たれる、巨大な岩を持ち上げる、素手で岩山を登る、湖で泳ぎまくる、訓練用木人を殴りまくる、など。

SPD   :    馬と競争する、隠密行動の練習、素早い鳥や動物を狩る、訓練用木人に次々素早く攻撃しまくる、など。

WIZ   :    戦いのイメージトレーニング、瞑想、ユーベルコードの研究、訓練用木人に魔法をぶつけまくる、など。

👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


時はすでに夜。しかし、忍の鍛錬としては良い時間帯なのかもしれない。
 外敵の脅威に今さっきまでさらされていた里の人々のモチベーションは高い。彼らは里が救われたことの報告を受けると、その英雄たちに技の伝授を乞うのであった。
坂上・半
走れ
走れ走れ走れ

おう、道が整っていないとかそんなの関係ない、ひたすら走れ
岩があろうと乗り越えて走れ、まっすぐ走れ
暗かろうと何だろうと走れ

と言って走らせるぜ
足腰は基本だからな
獣にやられないように注意は払っておく

んで、その後は【呪詛】と【殺気】と【恫喝】をフル活用して怯えさせてその状況で刀をかわせるよう、動けるよう特訓
寸止めするけどいざって時にとりあえず動けて走れるだけでだいぶん違う
攻撃なんてその後だ
火薬を投げても刃物を投げても石を投げてもいい
後は不意打ちに対する【第六感】だなぁ……

あ、【忍び足】【残像】【見切り】を混ぜた歩法は教えるぜ
攻めにも撤退にも使えるからな


ユーイ・コスモナッツ
里の内外を、一緒にジョギングしましょう
私のあとに着いてきてくださいね

平坦な道を走るのは最初だけで、
路地裏や林を抜けたり、
川べりや叢、山道なども走ります
途中で樹に上ったり、塀から飛び降りたりも
怪我はさせないようにサポートします

どうです?
住み慣れた土地でも、
意外と知らない場所があるものでしょう
いざというとき、
ご先祖さまの残してくれた地の利をいかせるよう、
こうして、頭と体に地形を直接記憶させるのです

お腹が空いたでしょう
このあとにいただくご飯は、
きっと、すごくおいしいですよ



「里の内外を、一緒にジョギングしましょう。私のあとに着いてきてくださいね」
 そんな優しいユーイ・コスモナッツの声かけ始まったランニングは、徐々に厳しさを増していた。
「おう、道が整っていないとかそんなの関係ない、ひたすら走れ」
 里の志願者達とユーイ、そして皆に声をかける坂上・半は、共に里周辺の山道を言葉の通りひたすら駆けている。
 途中で木を駆け上ったり、塀から飛び降りたりなどの、ただ走るだけではない険しい道の選択は、先導するユーイが担当。
「走れ走れ走れ走れ」
 そう追い立てるように声をかけながら、走るペースを上げていく殿を、半が担当している。
 ハードなランニングに里の者たちの息はぜいぜいと上がっているが、未だ誰も不平を漏らしていない。そこには里を救ってくれた彼らへの信頼と、自身達も強くなりたいという強い意志があった。
「その岩乗り越えて走れ、まっすぐ走れ」
 半に追い立てられながら、一行が大岩を乗り越えそこから飛び降りた時、里の若者の一人が着地に失敗し転げ落ちそうになる。瞬間、咄嗟に彼の体を支えサポートをしたのはユーイ。
「大丈夫ですか?」
「あっ……はい、すみません、ありがとうございます」
 若者が体勢を立て直したのを見て、彼女はにこりと微笑む。
「見てください、この辺りは小石が多くて足が取られやすいんです。どうです? 住み慣れた土地でも、意外と知らない場所があるものでしょう」
「本当だ。だから着地の時に滑ってしまったんですね」
「そうです。いざというとき、ご先祖さまの残してくれた地の利をいかせるよう、こうして、頭と体に地形を直接記憶させるのです」
 彼女の説明に、里の者たちからなるほど、と感心したような声が上がる。
 と、その瞬間。
 傍の藪から飛び出た黒い影に咄嗟に反応し、半は刀を構えると殺気を放つ。藪から飛び出てきたのは、三匹の狼だった。
「この辺りには獣も多いみたいだな。こいつらも味方に出来れば里の防衛にも役立つが……今は歩法を教えるぜ」
 里の者たちは怯えるが、しかし半の背に守られ安全は確保されている。そのまま、忍び足で敵をまくための独特の歩き方を半から学び、気がつけば、狼から距離を置くことに成功していた。
「いいか、今の歩法は攻めにも撤退にも使えるからな」
 はい、と元気な返事が上がる。
「さて、このまま里まで走って戻りましょう。お腹が空いたでしょう」
 ユーイの言葉に返事をしたのは、幾人かの腹の音。彼女はまたにこりと可愛らしい笑顔を見せる。その屈託ない明るさは、恐怖に怯えていた皆の心さえも癒やすだろう。
「このあとにいただくご飯は、きっと、すごくおいしいですよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鈴鳴・藜
あー…そうだな。俺は忍者の訓練とかはイマイチ分からねぇから自己流になっちまうけどいいのか?

▼SPD
刀の扱いは少し覚えがあるんでね。
アンタらの勝手とは違うと思うが打ち合いでもどうだ?
刀の扱い方、どこをどう斬れば相手が鈍るのか。
味方へ繋ぐためにどう立ち振る舞えばいいのか。
あとは接近戦の相手との間合いとかか?
こんなで良ければ教えられるぜ。

だいぶ慣れてきたら次はコイツな。
俺の相棒『狼影』だ。
野生動物とは違うが動物の動き、特徴を少しでも理解してくれればと思う。


アイナ・ラウタヴィーラ
えと、訓練はまず基礎からですよ、ね
新兵訓練といえばブートキャンプ、ということで【POW】でいきましょう

本当は体力を付ける所から、と言いたいところですが数か月も留まるのは難しいので、武器の扱いを重点的に教えていきます、ね。
矢弾は私のユーベルコートで作れるので、木人相手に射撃の練習をしてもらい、ましょう
火縄銃でも近代式の銃でも構えの基本は同じなので、非力な人でも銃があればある程度戦えるようにはできるはず、です

ということで今から私が教官です。お手本通りにやってみて

姿勢はやや前傾に、銃床にしっかりと肩と頬をつけて構えてください
あとは照準に的を捕らえて引き金を引く

うん、初めてのわりには上手、その調子です



一方その頃里の内部では、鈴鳴・藜とアイナ・ラウタヴィーラが里のもの達を前に、それぞれの得意な武器を手に立っていた。
「本当は体力を付ける所から、と言いたいところですが、数か月も留まるのは難しいので、武器の扱いを重点的に教えていきます、ね」
 そう話すアイナは銃。女性を中心に、力がなくとも里を守りたいと考える者たちを集めている。
「俺は忍者の訓練とかはイマイチ分からねぇから自己流になっちまうけどいいのか?」
 どこか控えめに話す藜は刀。彼の前には、体格の良い力自慢たちが集まった。
「火縄銃でも近代式の銃でも構えの基本は同じなので、非力な人でも銃があればある程度戦えるようにはできるはず、です」
 説明を続けながら、アイナは銃弾を生成すると、銃を里の女達に渡して、訓練を開始する。
「ということで今から私が教官です」
 彼女はそう言い切ると、振り返り様に木の人形を並べた的に向かって射撃。その全ての弾を木人形の頭へと命中させる。あまりの早業と命中精度に、女達から拍手が送られる。
 アイナはぺこりと頭を下げてその称賛に応えてから、改めて丁寧な動作で銃を木人形へと向け、一発打つ工程をわかりやすく見せる。
「お手本通りにやってみて」
 彼女の言に、銃を構えた里の女達が並び、木人形へと銃口を向けた。
「姿勢はやや前傾に、銃床にしっかりと肩と頬をつけて構えてください」
 アイナはその後ろから女達の一人ひとりのフォームをチェックし、丁寧に言葉でもって伝えていく。
「あとは……照準に的を捕らえて引き金を引く」
 指示に従い、複数の銃声が一度に上がる。女達の放った弾丸はもちろん皆中とはならなかったが、いくつかの木人形を撃ち抜くことに成功していた。
「うん、初めてのわりには上手、その調子です」

 その最中、激しい剣戟の音が響く。
 藜が里の男達を相手に刀での打ち合い訓練を開始したのだ。
「刀を握る時絞りすぎるな。余計な力を抜け」
 向き合った相手の刀を絡め取るようにして弾きながら、藜は伝える。
「こうして武器を落とした仲間がいたら、そいつに追撃されないように間に入れ。味方に攻撃を繋げ」
 藜は過去同じように強者から鍛えられた経験を持つ。そんな彼が紡ぐ言葉は実践的で的確だ。その言葉に従ううち、里の男達の動きが如実に良くなっていく。
「よし、だいぶ慣れてきたな、次はコイツな」
 しばらくの打ち合いの後、藜の傍らに現れたのは黒い狼。
「俺の相棒『狼影』だ」
 驚き、僅かに身を引く里の者達にそう紹介しながら、藜は狼影の首元を軽く撫でる。
「野生動物とは違うが動物の動き、特徴を少しでも理解してくれればと思う……構え!」
 怯んでいた男達が言葉に刀を構え、狼影へと立ち向かっていく。
 はじめは狼影に翻弄されるだけだった彼らだが、次第にその動きが速さを増し、仲間同士の連携がとれていく。その動きは、まさに。
「流石、忍です、ね」
 様子を見ていた藜の隣に、アイナが並んでいた。
「ああ、そうだな……」
 忍の技など、使わないで住む世の中ならそれに越したことはない。しかし、そこに危険があるのなら、立ち向かわねばならない。
「この里はもう、大丈夫だ」

 里の外を走っていた者達が帰ってくる。
 これから、皆で夕飯を囲もう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月04日


挿絵イラスト