|黯党《あんぐらとう》首魁『本田・英和』&|悪魔《ダイモン》『ブエル』
〜獣人戦線・スタノヴォイ山脈〜

「ふむ……ここで私を喚ぶ判断は正しくない。
 与えた影朧甲冑で『桜』も祓えぬ内に、私に頼る行いは賢くない。
 なぜならお前は代償たる『情報』を支払えない。
 新しき情報を持たぬ者を、私が生かす理由もない……」
「私は常に全て覚悟の上。帝の為に死ぬ所存。
 だが|悪魔《ダイモン》『ブエル』よ、私は然るべき対価を携えて汝を召喚したのだ。
 お前は嘗て、同格の悪魔達と共に『ソロモンの鍵』を創造し、『大神』を封じていると言っていたな……ならば、この気配は感じるか?」
「成程『はじまりの猟兵』か! 確かに、お前の情報は古くはない!
 ならばお前にも『情報』を授けよう。
 カルロスは味方ではない。有頂天道人の師には私も太刀打ちできない。
 だが、お前の読み通り……その師は『桜』を識らば、散らさずにはおれないだろう。
 騙されたまま生き延びれば、お前が本懐を果たす事も不可能ではないだろう」