妖狐七星将『|廉貞《れんちょう》』

「汝等猛将の万夫不当たる武勇は天下万民の知る所で有り、我が鉾に相応しきに異論無し。然れど骸の海より来たるは汝等を嚥下し蠢くやつがらとせん事こそが目処。我と百足王のみが黄泉路の駆逐者足らんと心得よ。金毛九尾の衛に戻り、九大災厄の欠け縁を埋めよ」

 |廉貞《れんちょう》はそう語り、背後を振り返る。
 彼の背後には、廉貞の身を案じて追いかけてきた、妖狐の忠臣達が居並んでいた。
 いずれもその名を知られた猛将達。彼等は廉貞の言葉を受け、静かに彼を見上げる。
 ひとときの静寂の後、廉貞は再び語る。

「……あなたがたが強く勇敢である事は、私が言うまでもなく誰が見ても分かる程であり、普段の戦いなら私と共に戦うのに十分な実力を備えている事は間違いありません。ですが今度の敵オブリビオンは、あなた方のような猛者をこそ喰らって殺し、蘇らせて配下にしようと企んでいます。戦場に行くのは、妖狐七星将である私|廉貞《れんちょう》と、私が操るムカデ王だけで十分です。あなたがたは金毛九尾様の居城に戻り、九大災厄の多くを失ったあの方を警護してください」


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