〜マヨイガ最深部『視肉の間』〜

 お初にお目にかかります、『悪路王の娘』。
 わたくし共はブックメイカー。図書館船に全ての見聞を蔵める、歴史記録者の一族です。この度お目通りを願ったのは、世界結界の復活に端を発する昨今の世界異常……それがわたくし共の身にも降りかかった為です。

 父や母、バステトに助言を貰っても意味は無い。猟兵になったのなら銀誓館に行けばいい。あなた達がかつての戦いに参加できなかった本当の理由……あなた達が太古に予言し備えていた『猟書家の侵略』も、他の世界では既に始まっていると聞く。

 ご存じ無いのも無理はありませんが、わたくし共は人やゴーストに関わる事無く、いずれ来る猟書家という敵と戦う為にその知識を蓄えて……えええもうご存知なんです???じゃじゃあ、わたくしが猟兵に覚醒したのも、ひょっとして他世界に猟書家を殴りに行っていいよ〜ってコト???

 世界結界は復活し、オブリビオンが現れた。世界が変貌する一方で、食べても減らない『視肉』の普及により、ゴーストが徒に人を襲う事も減り、父の理想である『人魔共存』も少しづつ進んでいる。私のような新世代ゴースト……ゴースト同士の子供も、増えている。

 はあ〜なるほどですね〜、わたくし達は歴史記録者なんだから、これはうかうかしてられません! はやく銀誓館に行って、貪欲に見聞を広めないと! ……ところで、あなた様も猟兵に覚醒してらっしゃるようですが、一緒に参りませんか? 図書館船でお送りしますよ?

 もちろん行くし、もう制服も着ている。実はマヨイガにも少しオブリビオンが迷い込んでいて、その退治を依頼したいんだ。あと原宿に行きたいし、私のタピオカドリンクがこれで合ってるのかも確かめたい。