幻朧戦線将校『カルロス・グリード』


~サクラミラージュ・帝都の街角~

 骸の月を喰らいしレディ・オーシャンでさえ、グリモアベースへの侵略は進まぬか。
 今のあれに必要なのは兵力ではなく、敵の喉笛に喰らいつく為の「楔」。
 そして今、我は幻朧戦線という、優秀な人間の同志と共にある。

 これなるは、影朧兵器「逢魔弾道弾」。
 このミサイルは、影朧などという脆弱なオブリビオンを贄として動くにも関わらず、偉大なる幻朧桜に満たされたこの世界を穿ち、「逢魔が辻」を創り出す。優秀なるオブリビオンを贄としてこれを撃てば、その威力は骸の月の趨勢さえ歪めよう。これを用いて、早く骸の月の侵略を進めるのだ。

 グリモアベースと呼ばれる場所には、グリモア予知の力があると聞く。
 それさえあれば、妻の肉片ひとつを探す事もたやすくなるだろう。
 妻のようにしぶとい女が、細片のひとつに至るまで消滅したとは思えぬ。どこかにひとかけらでも残っているのならば、我があの女を蘇らせてみせよう。妻は有用な戦力であるから、この程度の執着は当然だ。