猟書家『サー・ジャバウォック』
〜アリスラビリンス・ゆうとろどきの森〜
勿論、われらが「書架の王」を除けば、私が最も強い事に異論はありません。
故に、強き人々の住む「ヒーローズアース」に向かうのは、私が最も適任でしょう。
私はこの書……「秘密結社スナーク」を使うと致しましょう。
これは、実在しない秘密結社スナークについて、その退廃的かつ猟奇的な全容を克明に記載した、完全なる虚構の創作物です。本書には一片の真実も無く、それ故に、人は本書から「実経験に基づく明らかな間違い」を見出すことができません。
「スナークは実在するのでは?」
その疑念は、やがて本物のスナークを生み出します。ヒーローやヴィラン、偉大なるジャスティス・ワンやアトランティスの海底人、親愛なる隣人や、道端のしがない靴磨きまで。スナークは虚構であるがゆえに、誰もがスナークになり得るのです。
何を信じ、誰と戦うか……。
ヒーローズアースの歴史は戦いの歴史。歴史は、繰り返される事となるでしょう。