陰陽師『安倍晴明』


 エンパイアの戦も、佳境の趣でありましょうか。
 此度の私の目的は、ただ「持ち帰る」事のみ。
 この世界はよく「似て」おりますゆえ、「業(カルマ)」の蒐集も興が乗りませぬ。

 ……いえ、そうではありませぬな。
 不死で、繁殖もできて、生存の為のエナジーも必要としない。
 それは、賽も振らずに勝つようなもの。
 斯様な存在に成り果てた私に、私自身が飽いているのでありましょう。

 戯れに、山陰を屍人で埋めてみましょうか。
 それとも、コルテスが崇める神の偽物でもこしらえて、信長の後釜に据えましょうか。
 はてさて、それらを全て行ったとして。
 猟兵とやらの怒りは、果たして、どれほど私の心を動かすものやら……。