ファルドバール星人『リピス・リペリオン』
居住可能惑星も無い宙域に、知的文明が存在するとは……。実に興味深いが、通信リソースも限られているので、私達の世界の事だけを一方的に語らせて貰う。許されよ。
私達は、自分達の世界を
『スペースオペラワールド』と呼んでいる。
空に輝く無数の星々があるだろう? あれらは恒星と呼ばれる超巨大な火の玉で、私達はその周囲を回る惑星という巨大な土の玉に住んでいる(ほんとは衛星とか隕石群とかガス星雲にも住んでるが、まあ細かい事はよかろう)。そして、それらがめちゃくちゃ沢山集まったものを銀河と呼び、私達は沢山の銀河に分かれ、ものすごい数の住民たちが暮らしている。あまりに広すぎて統一国家もなければ、全容を把握している者もいない。
文明レベルは、科学レベルが一度一巡して、ありふれた槍がビームを放ったり、鎧を着て宇宙に飛び出せたり、小さな筒からスイッチを押すだけでデス光線が出たり、「誰でも簡単に扱えて、刀鍛冶レベルの知識で修理できる機械」が完全に普及している。宇宙騎士や鎧装騎兵、宇宙海賊にスターライダー、宇宙プリンセスやサイキッカーなんかもいて、多くの星では領土や身分もあるので、未開星の人々に説明するときは、「すごい技術の中世みたいな世界」と説明している。
恒星同士の間は無限に等しい距離があり、私達はかつて善竜スターゲイザーが設置したという「ワープゲート」を修理・拡張しながら使っている。宇宙船ごと転移できる巨大建造物だが、逆にワープゲートから遠く離れたここのような場所は、騎士の冒険でもなければ訪れるものはいない。
めちゃくちゃ広い世界なので、種族もめちゃくちゃいる。あまりにも多すぎるのでざっくり「ファルドバール星人」とか「ロスロンド星人」とか呼んでるが、他にも機械種族ウォーマシンや、謎の液状生命体ブラックタールや、太古より存在する水晶種族クリスタリアンが、知的種族として認識されている。
特に申し添えておくべきは、オブリビオンという怪物の存在だ。やつらは「過去が怪物化」したもので(何の事だかわからないと思うが納得してくれ)、戦争の為に造られ廃棄されたクローン兵や、滅びた星系国家の王族や侵略宇宙人、滅ぼした筈の海賊ギルドに恐怖のスペースモンスター、超古代に悪竜プラネットブレイカーに滅ぼされたものなど、あらゆる過去がオブリビオンとして蘇っている。猟兵と呼ばれる者達がオブリビオンと戦っているという噂もあるが……。