6

幽谷

団長：藍・湘瑶

その谷からは、時折ひとりの薬師がやってくるという。
効験あらたかな薬を煎じ、里の者の病を多く治してきた薬師だ。
その薬師が携えて来る薬を飲めば、万の病が治るとか。
その薬師が住む谷に行けば、不老不死の霊薬が手に入るとか。
そんな噂を何処で聞いたのか、外から来て幽谷の桟道に挑む者もいる。

薬師のもとへたどり着けた者は少なく、帰って来た者はそれよりも少ない。
帰って来た者で、四季があったかどうか知る者は、誰もいない。
いつか誰かが知るのか、それとも永遠に謎のままなのか。

ただ、薬師の住処へ辿り着いたなら――

『薬をお探しですか？』
そんな声が、聞こえるかもしれない。
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その谷からは、時折ひとりの薬師がやってくるという。
効験あらたかな薬を煎じ、里の者の病を多く治してきた薬師だ。
その薬師が携えて来る薬を飲めば、万の病が治るとか。
その薬師が住む谷に行けば、不老不死の霊薬が手に入るとか。
そんな噂を何処で聞いたのか、外から来て幽谷の桟道に挑む者もいる。

薬師のもとへたどり着けた者は少なく、帰って来た者はそれよりも少ない。
帰って来た者で、四季があったかどうか知る者は、誰もいない。
いつか誰かが知るのか、それとも永遠に謎のままなのか。

ただ、薬師の住処へ辿り着いたなら――

『薬をお探しですか？』
そんな声が、聞こえるかもしれない。
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