【*】ひと好きの神
ジャック・スペード 2021年5月29日
初夏の訪れを告げる心地好い陽射しは未だ、
重厚な造りの教会を温めることは無い。
静謐に包まれた礼拝堂は、
祀る神など疾うに喪せたというのに、
今もなお冷ややかな神聖さを保っている。
ふと、扉が開く音がした。
ぺたり、床を踏み締める脚音には覚えが有る。
だから聲を掛けられるよりも早く、
鐵の男は君のほうを振り返った。
⛪
~6/14まで
1
ジャック・スペード 2021年5月29日
(果たして男は、礼拝堂を飾る窓――ステンドグラスの前で、立ち尽くしていた。)……また来てくれたのか、ロキ。(君の姿を視界に捉え、金の双眸がチカチカと明滅する。人懐こい此の神のことだ。もう少し待っていれば、楽しいサプライズを届けてくれたかも知れない、なんてことを柄にもなく想いながら。)……大したことは、していない。強いていうなら、窓を眺めていた。
ロキ・バロックヒート 2021年5月30日
うん、また来ちゃった。こんにちは、ジャックくん。(元気だった?と袖から出し切らない手を軽く振るさまは、旧友めいて)(さて、それは君が喜ぶサプライズだっただろうか。ちらりと浮かんだ悪戯は、たぶんまたの機会に、だ)ふぅん、窓?このステンドグラスのこと?(軽い足取りは横へ並んで。さっき君が見ていたように、それを見上げた)
ジャック・スペード 2021年5月30日
ああ、今日も元気に動いてる。あんたが呉れた加護は、効果抜群らしいな。(此方も片手を挙げて、気安い挨拶を交わした。紡ぐ科白も、何処か戯れる様で。)ロキのほうこそ、変わりは無いか。(神への問いとしては、やや不適切だったかもしれないが。旧友のようにそう返す。)ああ、此の時間はちょうど陽が射してキレイなんだ。(君の視線の先で煌めく其れは、万華鏡のように様々な彩で、侘しい教会を照らして居た。心なしか、其処だけは温かいような――。)
ロキ・バロックヒート 2021年5月31日
ふふ、ほんとう?もっとあげようか?(くれてやったはずの本神が効力がわかってない、みたいな調子ではあるが。効果があると云われれば嬉しそうに笑った)俺様は……んー、変わったかも?わかんない。ジャックくんは、どう?(ことりと首を傾げて返して、すぐに傾きは戻した。窓を見るために)あぁ、ほんとだ。天気も良かったし、きらきらしてるね。こういうの、中々見てて飽きないなぁ。(温かさを受け取るよう、彩られる陽を掬うように両手の平を差し出した)
ジャック・スペード 2021年5月31日
こころ惹かれる誘いだが、――止めておこう。斯う云うモノは、慾張っても良いコトないからな。(効果が切れた時はまた頼む、なんて軽口を叩く。隠された口許は、笑みを象りながら。)……なにか、心境の変化でもあったのか?(君のことばを掘り下げつつ。返された問いには、顎に手を当て思案する素振り。)俺の方は、余り変わった気がしないな。最近は体も弄って居ない。(そうして再び、ステンドグラスを仰ぐ。其の窓は、大輪の花めいた容をしていた。楕円の硝子を幾つも、花弁のようにまあるく重ね合わせて居るのだ。)ああ、上手く言えないが、癒されるよな。――……温かいか?(硝子を通じて鮮やかに染められた陽射しが、君の掌に降り注ぐ。その様を見つめながら、男はぽつりと問い掛けた。)
ロキ・バロックヒート 2021年6月2日
君はちょっと欲張るぐらいが丁度いいと思うんだけどな。でも程々、っていうのも大事か。(止めてくれないと、請われれば請われるだけ、途方もなく注ぎ込みそうだから。笑みはそのまま、問いに少し考えて)心境かはわかんないけどさ、聞かれて変わらないよって頷けなかったから、もしかしたら変わってるのかもって。(ふわふわした物言いだけど、はぐらかしている訳でもないらしい)そうなんだ。体壊したりすることも、あんまりなかった?また呼んでよ。修理するの面白かったから。 そうだね、春っぽい暖かさだ。……あ、ジャックくん、そこに立ってみて。(少し温もりを手放して、君をステンドグラスの煌きに招いた)
ジャック・スペード 2021年6月2日
ヒーローだからな、余り多くを求めないようにして居る。(神である君は、ヒトだけでなく創造物の己にも優しい。それが嬉しくて、心地好くて。あの時はついつい、厚意に甘えて仕舞ったのだが。)じゃあ、何処かしら変化したのかも知れないな。今度は俺が、あんたのことを読み解けると良いんだが――。(此のサイバーアイは哀しいことに、ヒトの感情までは映さない。それでも、観察するような視線を君へ注いで。)あそこまで大きな故障は無かった、幸いなことにな。また壊れた時はあんたに助けを求めよう。次は、此処が取れてるかもしれないな。(自分の頸をゆびさして、悪戯な言葉を響かせた。)……? わかった。此れでいいのか。(不思議そうに双眸を明滅させながらも、君の提案には素直に乗る。降り注ぐ煌きのなか、巨躯をのっそりと潜らせて。)
ロキ・バロックヒート 2021年6月5日
慎ましいなぁ。神様は願ってもらわないと形無しなんだけどなー。(拗ねたように云うけれど、やっぱり軽い調子だ。願われなければ如何にかなってしまうわけでもなし)知らない内に変わってたりはするからね。どこか違ってるなーって思ったら言ってよ。(むしろ見てくれと云わんばかりに、明滅する眼前へ身を乗り出す)あは。もしそこが取れちゃったら、うんと男前になるやつ付けなきゃ。 うん、そうそう。こっちこっち。(むしろ手を引く勢い。君を陽だまりの中に招けば)ほら、君に花が咲いてる。可愛いー。(鐵の黒い身体の彩りは、いっそ鮮やかなほどだ)
ジャック・スペード 2021年6月5日
あんたの健勝は何時でも願っているが。(それじゃあダメか、と此方も軽い調子で問いを重ねた。ヒトではないので、そもそも神に頼る発想が欠けている。)……見た目は、変わりない気がするが。少し――大人っぽく成った、のだろうか。(身を乗り出す君を、金の輝きがまじまじと見つめ返す。人のこころは其の日の気分で決まるモノと知っていたが。結局は、中身へと言及した。)今度は当世風の貌にしてみようか。最近はほら、線の細い男が流行ってるんだろう。(本気か否か分からぬ調子で、鉄仮面が淡々と戯れを紡ぐ。)……?(手を引くちからに導かれる侭、陽だまりのなか静かに佇んだ。鐵を飾るように咲く花の彩を、双眸でぐるりと改めて。)カワイイ、だろうか。キレイだが……俺には鮮やか過ぎるな。あんたのほうが、余程似合ってる。(ほら、と。鐵のゆびが君の手を引き返し、光のなかへ招こうと。)
ロキ・バロックヒート 2021年6月6日
えっ、なにそれちょっとときめいちゃった。もっと願って頂戴?(強請る声は甘みと、嬉しさ混じり。聴き届けられるかはわからないものの、思わずそう言っちゃうぐらいの)大人、っぽく? ――ふふっ、そうくるかぁ。なるほど。前の俺様はちょっと子供っぽかったの?(くすくす笑いながら続けて)ああ、シャープな感じっていうか?ジャックくんがもっとカッコよくなっちゃうね。いっぱいモテそう。(反対の手の細い指先が、鐵に咲いたみたいな花の輪郭をなぞろうとしつつ。その最中に引かれゆく。眩しさに少し眼を細めた)えー、そう?ジャックくんは華やかなのは苦手?
ジャック・スペード 2021年6月6日
あんたが願うなら、幾らでも。(ふ、と。笑聲めいたノイズを溢したなら、戯れに十字を切って見せる。この教会に、神は居ないけれど。喜びを孕む聲は、聴覚に心地が好い。)子供っぽいというか……無邪気な印象だったな、修理に付き合って貰った時は。最初に逢った時は、また違う印象だったが。(あんたは常々変化してるのかも知れないな、なんて。軽い調子で紡ぐ科白を、君はどう捉えるだろうか。)ヒトに好かれる容姿になるのは、まあ悪く無い。次に貌を成形する時は、ロキに監修して貰おう。(鐵に咲いた花を、細いゆびがなぞる。悪い心地はしないのだが。花の彩に包まれた君を見れば、満足気に首肯した。)……ほら、やっぱりな。苦手じゃ無いが、俺には似合わない。ロキの方こそ、眩しいのは得意じゃ無いか?
ロキ・バロックヒート 2021年6月8日
じゃあいっぱい願ってよ。ちょっとぐらいは拾えるかも。(祈りの仕方も碌に定まっていない神だ。十字を切る祈りも、笑いながら受け入れる)なるほど、なるほど。あの時はテンション上がっちゃったからなぁ。面白くって、つい。会うたびに違う感じだったら、何度会っても飽きないかなぁ。 俺様チョイスで良いの?たまにセンスが独特ーって云われるんだけど。(首を傾げて前置きするが、結構乗り気。どんなのが良いかと今から考える始末だ)(浅黒い肌にも咲いた花を、自分でもなぞってみて)えー、可愛いのに。似合うのに。光は結構身近なものなんだけどねぇ。……身近過ぎて、たまに眼を瞑って居たくなるのはある、かも。(なんでもないことのように言いながら、瞳をゆるく閉じる)
ジャック・スペード 2021年6月8日
ちょっとと云わず、両手いっぱいに拾ってくれ。じゃないと、俺の願いにあんたが埋もれ兼ねない。(まるで冗談のような科白を淡々と、真面目な貌で宣った。)俺もあの時は楽しかったな、ヒトに面倒を見て貰うのも悪く無い心地で。――寧ろ、厭きるほど逢いに来てくれるのか?(それは嬉しいな、なんて。重ねた科白は悪戯に響いた。マスクの奥の口許は、きっと笑って居る。)ああ、構わない。どうせなら、格好良くしてくれると嬉しいが。(独特と称される君のセンスは、果たして如何なものなのだろう。未だ見ぬ其れに思いを馳せ、軽く頸を捻りつつ。)……似合う、という言葉は嬉しいが。俺は可愛くない。(黒い纏いに咲いた花を見降ろしながら、真面目な調子で否定を重ねた。)身近なもの、なのか。あんたの目はきっと、色んなイロを映してるんだろうな。
ロキ・バロックヒート 2021年6月11日
埋もれちゃうぐらい願われたら、抱えるしかないかも。困ったなぁ。(こちらは言いながら心底困ったような顔をつくってみて――けれどすぐにふわふわと相好を崩した。嬉しさを隠すのは如何にも保たないもので)ふふ、それなら良かった。うん、また会いに来るよ。いーっぱい。ふむふむ、リクエストは格好良くかぁ。あ、でもそれはヤバいかもってなったら遠慮なく言ってね?(君のマスクの奥を覗き込んで見上げる。大抵なんか叫ばれるからだ)可愛いは駄目?綺麗は良い?(傍に寄って居れば、君の模様が己に連なってゆく。眼を開いて、そんな様すら楽しんで)そうだね。光といっても、こうして色んないろをみせるし、色んなものを彩る。このステンドグラスみたいに、ひとが描く煌きだから。それはとっても愛おしいよ。(そっと囁くよう)
ジャック・スペード 2021年6月12日
約束だな、あんたの来訪をこれからも楽しみにして居る。(淡々と、其れで居て何処か嬉し気に、首肯と共に相槌を打った。)ロキがイメージする“カッコイイ"ものが、どんな風にヤバイのか気に成るが……分かった。不味そうならストップをかけよう。そうそう弄れるものでも無いからな。(マスクの奥を覗き込む貌を、金の双眸がじぃと見下ろす。君の懸念は知らぬ儘、不思議そうに。)――まあ、キレイと言われたら嬉しいが。(どちらかというと無骨な造形である鐵は、また頸を捻って居る。とはいえ、互いに揃いの花模様が咲く様は愉快で。自然と聲に明るい彩が灯る。)ヒトの数だけ、色んな煌めきがあるんだろうな。それが織りなす彩は、まさにこんな感じなのだろうか。
ジャック・スペード 2021年6月12日
(囁くような聲に、そっと視線を上げる。ステンドグラスが織りなす複雑な彩は、まるでヒトのこころのよう。)……ロキ。あんたが今まで目にしてきた中で、一番キレイだと思った彩は何だった?(教えて欲しい、と。そう乞う聲には、仄かな感慨が宿って居た。)
ロキ・バロックヒート 2021年6月13日
――ふふ、神様の約束かぁ。指きりでもする?(蜜を含むような微笑みのあと、指を立ててみせて)うーん、なんだろうね?斬新ってやつ??割と思い付きでやっちゃったりするから……。(見詰める間も、どんな風にしようかなぁって考えたり想像したり)綺麗で格好良いよ。ジャックくんのフォルム、結構好きだしなぁ。(光を伝うだけじゃ飽き足らず、以前のように触ったり撫でたりしそうな様子で云う)……一番綺麗だと思った、いろ。(問われて、緩く首を傾げた。思い出そうとする、結構長い沈黙があって)――にじいろ、かな。
ロキ・バロックヒート 2021年6月13日
高いところで命が集うところを見下ろすとね、色んないろの魂が見えるんだ。夜景みたいにさ。夜明けいろ、海のいろ、新緑のいろ、はたまた君みたいに宝石のようだったり、星みたいだったり。混ざるんじゃなくて重なり合って、隣り合って、彩る。それがいっとう綺麗、だと思うよ。
ジャック・スペード 2021年6月13日
ああ……そうだな。しようか、指きり。(君の細いゆびへ、鐵の武骨な指を添わせて。)斬新、か。益々気に成って来たな……。あんたは絵が上手いから、そう変なことには成らないと思って居るが。(いつか君が絵馬に描いていた似顔絵を想いだしながら、そう独り言ちた。)そう云われると、面映ゆいな。――だが、ありがとう。造詣の良いカミサマに褒められて光栄だ。(照れ隠しのように、平坦な聲で冗談を紡ぐ。そんな気安い調子の鐵が、君のゆびを拒むことは無いだろう。)
ジャック・スペード 2021年6月13日
……虹色。(長い沈黙の末、返された答えを静かに反芻する。其れは独りの彩なのだろうか、それとも。)――ヒトの営みを俯瞰したら、そういう光景が見えるのか。いいな、それ。まるで、あんたにしか見えない絵画みたいだ。(君の眸に映る豊かな彩に思いを馳せれば、紡ぐ聲彩に微かな熱が灯る。)なんだか、俺まで見たく成って仕舞った。此の目はせいぜい、物質の情報しか教えてくれないので。
ロキ・バロックヒート 2021年6月14日
うん。(君の指に添えるみたいに絡めて、指きりのまじないを軽く唱えて。うそついたら――の先はつい擽ったくなって、くすくす笑うだけで云わなかった)えへへ、ありがと。絵はね、なんかおかしくない?ってたまに誰かに確認した気がするんだよね……。あっ、デッサンの必要性ってこういうとこ?(なにか気付きを得たみたいに)あれ?照れた?もっと褒めちゃおうかな。ふふ。(君の腕から指先まで伝っていって、確かめるよう。全てが稼働し動くために造られたカタチなのだろう。ああ、ひとの技術は溜息が出るぐらい、)これが造形美ってやつ?なんて。
ロキ・バロックヒート 2021年6月14日
じゃあ――いつか、それも描いてみようかな。……伝わらなくても、伝えられなくても。(気紛れな提案が、叶えられるかはわからないけれど。添えた言葉は、小さくて透明だった)あ、ジャックくんがどう見えてるのかも、描いてみてよ。興味があるから。
ジャック・スペード 2021年6月14日
嘘なんて吐かないだろう、カミサマ。(小指を絡めて指切りすれば、此方も笑聲めいたノイズを漏らす。冗談めかして語り掛ける聲は、いたく楽し気で。)確認してくれるヒトも大事だし、デッサンも大事だな、――多分。(斯くいう己は、歪な線しか引けないのだが。それでも訳知り貌で頷いてみせた。)あまり褒め過ぎると、発熱するかも知れないぞ。ヒトみたいに――……。(勿論、そんなことは無い。鐵の腕を辿るゆびさきを視線で追いながら、戯れを紡いで照れを逃がす。君が巡らせる思考は、終ぞ知らぬ儘。)神が己に似せて作った仔らが、遊び半分に作ったカタチさ。
ジャック・スペード 2021年6月14日
描いて見せてくれるのか。――それは、とても楽しみだ。(気紛れな提案に応える聲は、明らかな喜色に揺れて居る。君が見つめる景色を此の眸に映せるなんて、想像するだけでもこころが躍った。)ああ、俺はあまり上手く無いが。あんたが望むなら、描いて見せよう。(お互いの視界が共有できるな、なんて。言葉とは裏腹に、軽い調子で相槌を打った。)
ジャック・スペード 2021年6月14日
(花模様を描く彩鮮やかな光のなか、交わされるのは細やかな約束。其れが成就するか否かは、気紛れな神のみぞ知る――。)