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⚗️ 地下研究所にて

ディイ・ディー 2021年2月25日

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或る会社の事務所が入っている二階建てのビル。
その地下には隠された研究室が存在している。

一階から二階に続く階段の横にある用具入れの細い扉。
其処の鍵を開けば地下に伸びる別の階段があるのだ。
薄暗い地下にはそれなりに広く、二つの部屋に分けられている。

片方は呪物保管庫。
その名の通り、呪いの物品が厳重に保管されている部屋。
もう片方は研究室。
此方も名の通り、研究物を検査・調査する部屋になっている。

今回、彼を招いたのは研究室の方。
何も入っていない大きな魔導障壁が巡らされたガラスケース。
一般的なデスクと資料棚。
そして座り心地の良い三人掛けのソファとローテーブル。
其処が本日、俺達が過ごす場所。
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・お呼びした人のみ。語るのは呪物か神についてか。
・長くても二ヶ月ほどで終わり。ペースはご自由に。




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ディイ・ディー 2021年2月25日
ロキ、珈琲は飲めるんだっけ。
といっても淹れてきちまったから、此処に置いとく。

(兼ねてからの約束で研究室に彼を誘った。そのソファに座ってくれ、と進めてからインスタント珈琲を淹れたカップをローテーブルに置き、自分もソファに座り込んだ。大きめのものなので互いの距離も適度に保てる。座り心地が良いので個人的にお気に入りのものだ)

さて、何から話すか。ロキのその首輪、じっくり見せて貰って調べるにも……今、検査器具は別のとこに貸してんだよな。そもそもうちの世界の物でもなさそうだし、アテになるかもわかんねーし。
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ロキ・バロックヒート 2021年2月28日
(端っこが欠けた、前に貰った名刺を元に訪れた男は、上機嫌でビルの中を案内されていた。なにか物珍しいものでも見るみたいに、度々きょろきょろと見回して。呪物保管庫にやたらと興味を示していたものの、逆の方へ招かれれば、素直に付いて行った。ただの好奇心らしい)

うん、飲めるよ。ありがとうー。(ソファにもすとんと座り。コーヒーにはすぐに手をつけなかったが、初めて招かれたとは思えないほど寛いでいる)
んー、そうだねぇ。この世界の封印ってどんな感じ?呪物とかって大体封じて保管してるんでしょう。(あの部屋とか、とさっき行かなかった方をちらり)どこの世界だったかは忘れちゃったけど、封印のメカニズムって割と似てる気がしなくもないんだよね。
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ディイ・ディー 2021年3月1日
(良かった。いつでもどーぞ、と珈琲を勧めながら先に自分のものを手に取る。一口分を飲んだ後にテーブルにカップを置いて)

そうだな、流派や魔法、呪術形態に寄るところが大きいが、うちでは基本的に封印具と魔法陣術式を使ってるぜ。あと機械か。日本由来のものは依代に降ろして注連縄や封呪紐で区切って、外国由来のものは鎖と陣で隔離して、特に強いものは更にプラズマ発生装置で疑似霊障壁を張り巡らせて呪物そのものに負荷を掛けて、硝子の中に囲ってる。
(簡単に区分を告げ、傍らに立て掛けてある自分の武器――妖刀は一番最初に説明したものだと伝える)

依代と魔法陣系なら他世界でも通じそうなんだけどな。うちは霊力がない奴でも扱えないといけねーから、割と機械頼りだ。(後者の仕組みは実はよくわからねえ、と笑って現状を話した)
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ロキ・バロックヒート 2021年3月6日
(辺りに漂うコーヒーの匂いにすん、と匂いを嗅ぐ。カップを取って同じように一口飲んだ。おいしー、と一息ついて)

この国用とか外国用とかあるんだ。土地に根ざしたものの方が効くのはあるよね。へえぇ、機械って呪物にも効くんだ?魔術で編まれるものに似せた物質を作り出して代用するのかな……と思ってたら、パワーで抑え込む方かぁ。(端から感心したように。妖刀に至っては、すごーいかっこいい、と眼を輝かせて見てから)見せて貰っちゃ駄目?(首を傾げて言い出す)
うん、他の世界だとそうだねぇ……俺様が調べたことあったり知ってるのは魔術系かなぁ。その他にも言葉や制約を以て強固にするんだ。え、霊力がなくてもエージェントになったりするの?(詳しくはないけど、少しびっくりして)
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ディイ・ディー 2021年3月18日
宗教の違い、言語の違い、魔術理論の違い。
面倒だがそういうものの差異で色々と変わるだろ。簡単に言えば属性魔法に相性があるのと同じか?

(そっちは専門外だが、と語りながら妖刀を自分の元に引き寄せた)

良いぜ、ただ今は鞘から抜けない状態にしてある。昔、この地下で呪物共が大暴れしたからこの場の封印を強くしてあるんだ。あとは単純に……辺りに敵もいないし、寝てるな。

(コツコツと妖刀の鞘を叩く。刀は鐡と書いてクガネと読むのだと伝え、刀をロキの方に寄せた。軽く触れてみるくらいは問題ない)

ああ、普通の奴も居るぜ。
誰もが力を持った状態でUDCのことを知るわけじゃないし、寧ろ力がないから対抗できずに被害に遭って……家族だとか、友人だとかを失って復讐するために組織入りするやつもいた。
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ロキ・バロックヒート 2021年3月22日
あー、それかな。属性とか、パズルのピースが噛み合うか合わないかみたいな感じもするよね。ハマらないときは全然駄目で、汎用性があれば合いやすいけどゆるゆるで、ばっちりハマるならガッチリ鎖される、みたいな。(段々喩えがゆるくなっていきながら)

刀身は見れないんだ。ざんねん。(ほんとに残念そうではあるが、我儘は言わず。クガネくんってカッコイイね、なんてつつこうとしている)大暴れって、大変だったんだねぇ。敵って、UDCとかオブリビオン?持ち主の敵かな。

あ~、そっか。ふつうはUDCなんて知らずに生活してるんだったね。知っちゃう方が不幸っていうか。ディーくんみたいに、最初は呪物だったけど意思を持って~ってなる子とかもいるの?
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ディイ・ディー 2021年4月6日
そういうこと!
まぁがっつり理論なんて知らなくても何とかなるもんなんだよな。特にロキ、感覚派だろ?(違ったら悪いな、と軽く告げ)

そいつに関しては俺が御しきれてない部分もあるからな。今の所、俺が敵意を向けている相手が敵って認識でいてくれるな。だから今ここで俺がロキを敵視すれば――刀身を見せることは出来るぜ。(冗談めかして話しながら刀に触れるロキを見ていた。ソファに背を預け、けれどもそんな気は微塵もないのだと示している)

一人ずつ聞いて回ったことはないが、俺みたいなのも居るには居るんじゃねーかな。境遇なんて、ヒトやモノでそれぞれだからな。ロキにだってあるだろ。自分だけが辿ってきた道ってのが。
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ロキ・バロックヒート 2021年4月10日
あはは、そうだねぇ。魔法の仕組みや理屈がどうなってるか興味はあるし考えるんだけど、数式やら形式やら出されるとめっちゃ苦手かも。(合ってるよ、と頷きつつ)ディーくんは得意?

ディーくんの言う事は聞くんだ。良い子……ってわけでもないかー。(暴れてたんだった、と。細っこい指が、硬質な感触をつつく。此方もつつくだけだし、神様だから封が外れる、なんてこともない)
ふふ、それでも良いんだけどね。敵を斬ってる方がかっこいい姿が見れそう。(なんて)

君みたいなのも?呪物に宿ったカミがUDC退治に協力するの、珍しそうな気がするんだけどな。そうでもない?(賽子と刀も面白い組み合わせだよね、と)そうだねぇ、生まれて初っ端から封印された神……もまあまあ居るだろうけど、過ごした時間が長い分、色々あったよ。猟兵になったこととか。
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ディイ・ディー 2021年4月14日
俺も感覚派だ。最低限の理論は叩き込まれてるが、理詰めで行けと言われると……。研究施設は所有してても正規の学者じゃないんでな、俺は。(ふ、と誤魔化し混じりの笑みを向け)

そうだな、今のところは良い子だ。ロキだってどちらかといえば今は良い子側に回ってるだろ。そういう定義なんて別に必要ないんだが、結果的にさ。(自分もこの刀もそういうこと。どの立場にいるかで変わるものだとして、ロキと妖刀を見遣った)

そっか? 俺にとっては今が当たり前だからな。それをいうなら世界の人口に対してヤドリガミも神も珍しいだろ。そう思うと俺達が並んでるのも奇跡とか運命とかそういうもんなんだぜ。(調子よく笑ってから、コーヒーをもう一口。世間話のノリでロキの話に耳を傾け)へー、そんな早くから封印されてたんだ。その首輪も名残だったり? それとも封印とそれは別の話?
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ロキ・バロックヒート 2021年4月30日
学者。そっか、ここって研究所だもんね。ディーくんは学者って感じじゃなさそうな……あ、でもキチッとしたスーツは似合ってるし、白衣も結構似合いそう。(誤魔化されたか否か。好き勝手に言って想像して)

――良い子側。(ぱちぱちと眼を瞬いてから、笑った)ふふっ、そうだね。きっと君も俺様も、ひとの道理に従う義務はないもの。(なんだかツボにでも入ったのか、頷きつつもくすくす笑い続けながら妖刀を撫でている)

当たり前かぁ。こうして居るのも奇跡や運命っていうと悪い気はしないなぁ。ふふ。でもさ、君を『呪われた』物だって勝手に云うのもひとだし、そこんとこは気にしないのかなって。(コーヒーを飲みながら、首を傾げた)この首輪は封印を具現化……したようなものかも。鎖は千切れてるけど、この先から強い力の流れはなんとなーく感じるんだ。
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ディイ・ディー 2021年5月3日
あはは、緩めて着てることが多いけどな。さんきゅ。
白衣はなぁ、妙に落ち着かないからあまり着ないんだよ。俺じゃねえって気がしてさ。(前の主と見間違えられるんだ、と軽く告げてから妖刀の様子を確かめる。どうやらロキは刀に気に入られている部類らしい。持ち主としてそれくらいは理解できた)

俺はどちらかといえば元悪い子側……だが、どういう形でもヒトに使われるのが性らしくてさ。使い手がそっち側だったからこうなってるってわけだ。昔は色々と悩んだが、今は割と受け入れてる。と、俺の話はこの辺にするか。

封印の具現化か。繋がれてたものが途切れた? 
(成程、と興味を示してロキの首元に注視してみる。視線は伸びている鎖の先へ。そのまま千切れた箇所を見遣った)
それ、触ってみても構わないか。何か感じたり視えたりするかもしれねーし。ああ、だけどロキが嫌なら無理には触らないぜ。
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ロキ・バロックヒート 2021年5月6日
きっちりしたのって窮屈だもんねぇ。気崩してもかっこいーと思うよ。
前の主?ああ、ヤドリガミって前の主の姿のことが多いんだっけ。(君がここに酷く馴染んで見えるのがわかった気がして)(カタナの気持ちはわからないけれど、疑似魂めいたものは感じるから。なんとなくさっきから、“ひと”かなにかみたいに扱うのだ)
受け入れてる。そっか。……えっ、でも悪い子側だったディーくんどんなだったの?気になる。(この辺にと云われたけど、想像のつかないことは興味が向くから)

んーん、逆かな。見た目は千切れてても繋がってる感じ。たぶんこの封印は、本来ひとの目に見えるものじゃないんじゃないかなって。仮初の身体になるときに、このカタチになったっていうか。たぶんね。
触ってみる?(きょとんとして聞き返した。そして、続いた言葉に考えるような間があってから)良いよ。なにか視えても、面白いものかはわかんないけど。
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ディイ・ディー 2021年5月10日
そうだな、俺もその例に漏れず最後の主の形を取っちまった。
この姿になったのは無意識だったが、ゼロから人の形を成すよりも楽なんだろうな。……ん? そんな大した話でもないぜ。聞きたいなら続けるが、先にこっちな!
(悪い子の話は後回し。許可を貰えた首輪の方に興味津々で、そっと手を伸ばした。そのままロキの首元に触れ、じっと鎖を見下ろす)

うん、成程。……何かこう、白いな。
(意味深な言葉を零す。はっきりと何かが視えたわけではないのだが、イメージが伝わってきた。黒い首輪なのに、白いと感じたのだ)俺は別に鑑定士だとか運命予報士ってわけじゃねーからさ、あまり的確なことは言えないんだが……ロキ、いつか消えそうだ。真っ白にとけて、最初からなかったみたいに。

……。例えだ。ただの例えでしかないが、何となく。(気を悪くしたらごめん、と告げて一度首輪から手を離した)
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ロキ・バロックヒート 2021年5月18日
へぇ、君自身もなんでその姿を取るのかわかんないってことかぁ。(カミ、と名が付いていてもその構造は全然違う。興味深そうに聞いて、はぁい、と返事もして。君にひょいと身を寄せた。首輪に触れやすいように)

――白い? ……。
(眼を丸くした。続いた言葉に、微かにもう少しだけ見開かれる。ぱちぱちとそのまま瞬いた。それから特に気を悪くするでもなく、首を傾げて)

ふぅん。神様は死なないのに、なんだか儚いね。
でもまぁ、何十年、何百年、何千年と経てば、そういうこともあるかもしれないか。なんて。
(君の視たものをとおいおはなしにするみたいにして、ふわふわと笑った)
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ディイ・ディー 2021年6月20日
どんなに頑張ってもこの姿以外にはなれないんだ。他者からの呪いや魔術でも受ければ変わるんだろうが、そうまでして変えたい見た目ってわけでもねーし。(割と格好良いだろ、と自分の姿を示してからソファに背を預けた)

そう、真っ白。何も視えてないのか、視えたものが白いのかはわかんねえけど。……んー、神だって死ぬだろ。そりゃ俺達みたいなのは刺されても倒されても死なねえけどさ。たとえば信仰がなくなったとき、或いは力を使い果たしたとき、大本の力が消え去ったとき、誰からも忘れられてしまったときとか、自分自身が「もういいや」って思ったとき。(話しながら気付く。そうだ、あまりにも簡単に消えてしまいそうなんだ。人の形をしていて人ではない者。死なないと言えるからこそ、他人事のように語るからこそ、かれの生と死の境界線が曖昧で――)
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ディイ・ディー 2021年6月20日
なぁ、ロキ。
俺、その首輪を外してやりたいと思ってたんだ。それがもし呪いや呪縛なら外した方がいいだろうって。けど、繋がってるなら外しちゃいけないんだな。(持ち上げたカップを軽く揺らして、いつの間にか半分まで減った珈琲を見下ろす)

俺はさ、人間になりたかったんだよ。普通に生きて、普通に死ねる人間に。なれないって知ってるから過去形だけどな。
人間社会でそれなりにやってきた今の俺は人寄りの考えを持ってる。けれどロキはそうじゃないんだな、きっと。本当の、神様だ。
(それは突き放すような言葉に聞こえるかもしれないが、改めて実感したという意味で語ったもの。人の枠に当てはめてはならないものが、きっとロキという存在だから)
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ディイ・ディー 2021年6月20日
……さて、次は俺の話だっけ?
悪いことをしてた時期ってのはなぁ、今思うと何でああもガキだったんだろうって話でな――。

(語るのは先程に求められた話。ロキが望むなら、暫くはその話を続けていく心算でいる。そうして、或る日のひとときは続いていく)
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ロキ・バロックヒート 2021年7月2日
ふぅん、結構興味深いなぁ。俺様も実は、ひとになる時はこれ以外になんないんだよね。(じい、と見詰めながら。仕組みはきっと違うけど、思わぬ共通点にちょっと嬉しくなって零す)でも、そうだね。もうその姿がディーくんって感じだもんなぁ。(格好良いよ、とも笑って頷いて)

……そっか。ディーくんにとって、神も死ぬものなんだ。司る概念が消えない限りは死なないものだと思ってたんだけど――君が云うように、存在や意思が消える時が死だと云えば、そうなのかも。(やっぱりどこまでも他人事なのは、実感が湧かない所為か。はたまた、君の言い分をあっさり受け入れたのは、そういったものを見て来たからか。それは、遠くにゆるく視線を投げた眼からは読み取れない)
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ロキ・バロックヒート 2021年7月2日
うん。そうかなぁって思った。ディーくんは優しいね。(視線を今度は、君の淹れたコーヒーに。小さく息を吐くけれど、落胆の色はない。寧ろ安堵か)……繋がってるなら、かぁ。ンー、正直なところ、これを外してどうなるかって、俺様にもわかんなかったりするんだよね。大体の予想はしてるんだけどさ。(どうなると思う?なんて戯れに聞くのだ)

人間に、なりたかった。(ぱちぱちと眼を瞬いた。ひとだと云えばひとに見える君を、見て)ディーくんの成り立ちは、ひとではないっていう、どうしようもない証明になる、のかな。(どれだけひとに寄せていても。でも、)……ひとで在ろうとする子は、いつか心は、ひとに成れるよ。(ひとよりも、よっぽどひとのように成ったりする。慰めでもなく、呟くよう)だから――そうだね。俺様は、ひとの真似事はちょっとしたくなっても、ひとに成りたいとは、思わないからなぁ。(本物の神様。それにはただ肯定を返すのみ)
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ロキ・バロックヒート 2021年7月2日
うんうん。ディーくんがやんちゃしてた話聞きたい。(君のこととなると、ずいと身を乗り出した。興味津々に蜂蜜色が輝いている。色んなひととの繋がりがあったことを、好奇心尽きず根掘り葉掘り聞きそうで)
(そして、ああだから、君はひと寄りなのだろう、と。話が終わるころには、思うのだろう)
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