【1:1】鍵盤上を天使は踊りて
ジャック・スペード 2020年11月26日
大教会の礼拝堂には、
巨大なパイプオルガンが在る。
幾ら調律しようと口を閉ざした侭の其れは、
ごく稀に想いだしたかのように、
荘厳な調べを響かせるのだと云う――。
▼ ▽ ▼ ▽ ▼
+ヒーローズアースの教会にて。
+既知初見は問わず、先着1名様とRP。
+置きレス式、30レス前後で〆。
+10日間ほど反応が途切れたら終幕。
3
ジャック・スペード 2020年11月26日
(最後に調律師を招いたのは、果たして何時のことだったか。オルガンは相変わらず黙した侭だが、見た目だけは立派なので――。埃が積った侭では偲びないと、今日も綺麗に磨いて遣ったのだ。)(鈍く煌めく金色のパイプを眺めながら、何気なく鍵盤に鐵の指を置いた。すると、如何云う訳か、荘厳な音色が礼拝堂中に響き渡る――。)…………鳴ったな。
ロキ・バロックヒート 2020年11月27日
うん、鳴ったね。(おめでとう――とでも云いたげに弾んだ声は、オルガンからそう離れていない長椅子に座る男から。ぱちぱちと軽い拍手もつけて)(いつから居たのか。少なくとも君が丹精を込めて磨き始めた時には居なかった筈だけれど、扉が開いたような音もしなかったかもしれない)ねぇねぇ、なにか弾けたりする?(それは拍手をやめた手を合わせて、そのままの調子で聞くのだ)
ジャック・スペード 2020年11月28日
(相槌を打つ聲に、そして響き渡る拍手に、機械仕掛けの貌がゆるりと振り返る。最前列に座す君を視界に捉え、異形の双眸が茫と光を放った。経験上、ヒトが入って来ることは少なくない。しかし、扉が開いた覚えも無い。疑問は演算に掛けながら、)……ああ、こんなことは初めてだ。(何となくペダルを踏み、踏鐵の指で鍵盤をさらりと撫ぜた。適当な音階が、自棄に壮大な調子で響き渡る。)――いや、弾けない。楽譜も無いからな。
ロキ・バロックヒート 2020年11月29日
わあ、かっこいい。(振り向いた君に子どものような声。立ち上がって歩み寄るのは、君のお顔を、カタチを、いろをもっとよく見るため)(少なくとも、それは磨いている半ば程には“居た”ようだが)……そうなの?(初めて。弾けない。ふたつの言葉に、首を傾げて。音色がおさまったころに口を開く)とても熱心だったから、随分と仲が良いのかと思った。楽譜があったら弾ける?(辺りを視線だけで探したけれど。楽譜すら立てかけられていない、かれの沈黙の長さが垣間見えただけ)
ジャック・スペード 2020年11月30日
(向き合って最初に零された反応は、聊か意外なものだった。軽く頸を傾けながら、其の場に佇み君を待って。)埃を被せるには勿体ないので、世話をしているだけだ。……だが、今やっと音を聴かせてくれた。(頸を元の位置へと動かせば、静寂のなか「ぎぎぎ」と骨身が軋む音だけが響いた。)――だから、ツイてるな。あんたも、俺も。(そんな軽口を叩きながら、ちらりと鍵盤に視線を呉れる。実践したことは未だ無いが、)譜面は読めるので、善処は出来る。そういうあんたは、弾けたりしないのか。
ロキ・バロックヒート 2020年12月2日
すごーい。間近で見るとほんとに大きいね。(グリモアベースで見掛けた時とはまた違うや、なんてふわふわはしゃぐ。光る双眸を覗き見れば、にっこり笑った)ふぅん。物をとても大事にするんだね。こんなに見向きもされてなかったみたいなのに。だから応えてくれたのかも。(良かったね、とこえを掛けるのはオルガンにか、君にか)ふふ。確かにツイてるかも。悪くないツキだね。んー、簡単なものなら思い出しながら弾けたりはするかもだけど……俺様が触ったらヘソ曲げたりしないかな?君以外は厭だって。(冗談のようで、本気で云ってるようで)
ジャック・スペード 2020年12月3日
……そういう反応は、少し新鮮だな。(威圧感を与えるフォルムをしている自覚は、正直ある。それゆえ、緩い雰囲気で燥ぐ君の姿は、何となく不思議だった。)まあ、俺もある意味「物」だからな。棄てられた物は特に、放って置けないんだ。(見目だけは立派なオルガンを仰ぐ、君の感想が何方に向けられたものか、此の身には分からないが。)応えてくれたなら、喜ばしいな。綺麗に磨いた甲斐もあった。(冗談か否か迷う問い掛けには、生真面目に思考する素振りを見せて。)……いや、心得が有るなら弾いてやってくれ。此奴も上手いヒトに奏でて貰った方が、嬉しいだろう。それに、――あんたの演奏は俺も聴いてみたい。(ドウゾ、と。揃えた指先で鍵盤を示しながら、君へ場所を譲った。)
ロキ・バロックヒート 2020年12月4日
そうなの?ちょーかっこいいよ。俺様大きな子とか好きだし。(見上げて、触っていい?なんて聞くさまは小動物のよう。君にとっては大抵の人型がそうかもしれないけれど)棄てられた物だから。君も、そういうことがあったのかな。(突っ込んだ問いのような好奇心は疑問符でもなく。聞き流しても良い程度の)うんうん。ほら、優しい君に惚れたのかもしれないし。(これは冗談?半分ぐらい)そうかな。ほんと?聴いてくれるの?あ、俺様が弾こうとして急に黙り込んでもさ、恨まないでね?(なんて。ひょいとオルガンの前に立って指を基本の音階に乗せ。軽い調子とは裏腹、やけに慎重な手付きが鍵盤を弾いた)
ジャック・スペード 2020年12月6日
そうか、光栄だな。当機のデザイナーは良い仕事をしたらしい――……それは、別に構わないが。(無邪気に問われる儘、素直に小さく肯いた。心なしか背筋を伸ばしている。)ああ、故障してお役御免に成った。――でも、“造られたもの”は皆いつか、そうなるだろう?(だから大した事情でも無いのだと、何でもないように語って見せる。)それは無いな。仮にそうだとしても、今はもうアンタの方に乗り換えてる。(冗談と捉えた科白に、更なる戯れを重ねつつ。少し引いた所で、君の動作を見守った。)勿論、怨みはしないさ。こうして音を奏でたこと自体が、奇跡のような物だからな。(君のゆびさきが慎重に鍵盤上を動けば、荘厳な音色が響き渡り、礼拝堂の冷えた空気を震わせた――。)
ロキ・バロックヒート 2020年12月10日
ふふ、本当にね。やったぁ、後で触らせてよ。(どことなく緊張を感じるような仕草に小さく笑って)そうだねぇ、時に神様でもびっくりするぐらいあっさりと。勿体ないよね。でも、君は棄てられたままじゃ居られなかったんだね。(返すのはゆるい頷きと相槌)あは、じゃあ折角こちらに来てくれたなら、うんと満足させてあげないと。(言葉遊びのまま。それじゃあ遠慮なく、と。礼拝堂にあますところなく偉大なる存在を知らしめるためのおとを、繋いでゆく。最初は奇跡を確かめながらゆっくりと、やがて流れるように。跳ねるような、民族風の曲調)
ジャック・スペード 2020年12月12日
ああ、好きにすると良い。(ちいさく笑う君を、緩い眼差しが見降ろして。)――カミサマみたいなこと、云うんだな。(胸中に沸いた疑問を現わすように、双眸がチカチカと忙しなく明滅した。)まあ確かに、そう思う時も有る。例えばこの教会も、捨てられたものなので。 ……俺の場合はきっと、運が良かったんだ。棄てる神が居るように、世界の何処かには拾う神も居るらしい。(肩を竦めながら、奏でられてゆく調べに耳を傾ける。この辺りでは聴きなれぬ、独特な旋律だ。異国の曲なのだろうか。物珍しさと明るい響きに、男はただ黙って聞き入っている。)
ロキ・バロックヒート 2020年12月14日
神様だからね。(笑ったままちらりと見上げて、軽い調子でこたえる。明滅する眼がなんだか可愛らしいとも思った)ふぅん。だから呼ばれたのかなぁ。でも、結構綺麗だよね。君が拾ったの?(棄てられたということは、いずれ荒れ果て風化する。息を吹き返したのは、このオルガンだけではないだろう)それとも、君がここの神に拾われたのかな。(なんて。続く言葉に、そう)(目が覚めたばかりならゆっくりとした曲調の方が良いのかもしれないけれど。明るい中に時折混ざる低音が、どこか侘しさを思い起こさせるような。時々音程が怪しいながら、やがて結びの和音が響き渡り、消えてゆく)
ジャック・スペード 2020年12月14日
……成る程な。(そう言えばこの世界には、目に見える形で「神が居る」のだ。忘れていた、と肩の力を抜きながら。)まあ、そんな所か。瑕疵物件らしいが、綺麗だろう? 朽ちて行くのは惜しいから、塒にしたんだ。(続く台詞には、重たい頸を横に振って見せた。)俺を拾った神は、人間だ。機械は、神の創造物じゃないからな。(大抵のカミサマは、機械仕掛けの此の身に加護など呉れないのだと、溜息のようなノイズを零して。)
ジャック・スペード 2020年12月14日
(礼拝堂に響き渡る音色は、明るさの中に僅かな翳りを見せ始めていた。楽しいような、何かが胸に引っ掛かるような、そんな不思議な感情が沸き上がってくる。)――Bravo, Señor.(延び行く和音が消え去れば、賛辞と共にパチパチと、硬質な拍手の雨を降らせて行く。確か名演奏の後は、こうするのがヒトのマナーだった筈だ。)こころに響く演奏だった。珍しい旋律だが、何処の曲なんだ?
ロキ・バロックヒート 2020年12月15日
まぁ、そんなご大層な神でもないからさ。君たちの隣人だとでも思ってよ。(向ける笑顔も言葉も、どこまでも気安くてゆるい)うん。綺麗だね。ぜーんぜん、棄てられたなんて思えないぐらい。(それは君も。どこか、この教会と君は似ている気がして)人間かぁ。人間が機械を拾うお話は、結構あるね。でも、神が進みすぎた人間の技術を厭がるお話も多い。俺様は、人間が造ったものは可愛いと思うんだけどな。 ――神の加護がほしい?(まるで頷けばあげる、と云いそうな調子で聞くのだ)
えへへ、ありがとう。(演奏を褒められれば、素直に喜ぶ。そのまま、なんとなく音を続けるよう、適当に指とペダルを動かして)うーんとね、何百年前だったかな。忘れたけど、そのころに在った国が、神に捧げていた曲だよ。こことは違う世界の。
ジャック・スペード 2020年12月17日
隣人のように接しても構わないのか、ならばそのように。(眼前の神は、どうやら気取らないタイプのようだ。本人が気にしないなら、普段通りに接するとしよう。)ああ、だから人間は好きだな。……彼らの創造物は可愛い、か。気持ちは少し分かるな。人間の発想力は、玩具箱みたいで面白――……。(ふと投げかけられた問いに、沈黙した。君は悪い神様に見えないが。こういう時、如何返せばいいのだろうか。)……くれるのか?
違う世界の歌か、道理で珍しいわけだ。(長生きなんだな、と観察するように君を眺めつつ、響き渡る音色を聞き流して。)その“神”というのは、あんたのことなのだろうか。(或いは、違う神なのだろうか。興味の儘に問いを編んだ。)
ロキ・バロックヒート 2020年12月19日
うん。あぁ、そうだ。俺様はロキっていうよ。うーんと、君は……トランプみたいな……(世話になったグリモア猟兵については、あやふやに記憶している。首を傾げた)あ、その辺結構気が合うかも。玩具箱みたいって発想は可愛いね――(そして君の返しに、きょとんとした。それから吹き出す)あはは! ご、ごめん、なんだか戸惑ってたから、そう来ると思わなくって。ふふふ。(意外に思えた反応に、一頻り笑って)あげたいけど、どうかな。君が思うような加護ではないかも。
(話す間隙を縫って、遊ぶような音程が響く。さっき思わず笑った辺りは不協和音気味だったけれど)んー、人違いっていうか、神違いっていうか?俺様があの音色に呼ばれた時には、もう元居た神が去って久しかったから。(思い出すようにしながら)曲を捧げられるぐらい崇められていたのは、ちょっと羨ましかったんだけどな。
ジャック・スペード 2020年12月20日
ああ、大体合ってる。――ジャックだ、ジャック・スペード。改めてヨロシクな、ロキ。(そういえば、確りと自己紹介をしたのは初めてだろうか。軽く頸を傾ける動作を、挨拶に代えた。)人間が作り出したものは、ずっと眺めてられるほど面白いからな。(問いかけには、吹き出された。可笑しなことを言った自覚は、まあ、無くもない。)いや、良いんだ。あまり上手く話せないので、笑って貰えるだけでも嬉しい。……因みに、どんな加護なんだ?
(軽やかに遊ぶ音色を聴きながら、君の語る噺にも耳を傾ける。今日は何時になく、礼拝堂が音に溢れている。)さっきのは、神を招くための曲だったのか。他の神が居た場所に呼ばれることも有るんだな。(きっと神にも色々個性や事情が有るのだろう。ここの神が失せたように。)あんたは、それまで崇められて居なかったのか?
ロキ・バロックヒート 2020年12月21日
そうそう、そんな感じだった。ジャックくん。スペードくん。(呼び方を舌の上でおとにして転がして。どっちが良いかなぁ、と挨拶を貰いながら考えて、少しの間があって決めたらしい)ジャックくんは、ひとに造られたのかな。だからそんなにかっこよくてかわいいのかなぁ。(うんうん、と同意の頷きをしながら)ふふふ、そうかな。不思議な声だけど、面白いのに。 んー、どんな加護……んん?(ちょっと考え込む)
本当は、神を讃える明るい曲だったよ。豊穣だかその辺の神だったらしくて。でも、居なくなってから実りは減り人は絶え始めた。それから信者が曲に手を加えて、神に気付いて戻ってほしくて毎日弾いてたの。 ああ、俺様を崇める信者は中々居ないんだよね。――そうだ、ねぇねぇ。折角だから一緒に弾こうよ。(ひとりで弾くのに飽きてきたから。そう誘う)
ジャック・スペード 2020年12月24日
名前で呼ばれた方が、当機のことだと分かり易いな。(さりげなく自己主張を滲ませつつ、紡がれた君の言葉には複雑そうに頸を傾ける。ぎぎ、と重たげな音を響かせながら。)……多分、そうだな。俺は量産機なので、あんたが言うほど特別な存在じゃないが。(何を指して可愛いと言われているのか、腕を組んで思考しながら、至極真面目に相槌を打った。)……あまり人間に肩入れしない、カミサマなのだろうか。(考え込む姿を視て、ストレートに問い掛ける。)
ジャック・スペード 2020年12月24日
少し寂しい話だな、それは。……豊穣の神は結局、戻って来なかったんだろうか。(彼らのその後を案じるように、マスクの奥で溜息めいたノイズを零す。)ああ、そうなのか。カミサマはみんな、信者がいるとばかり――……。(軽い調子で誘われて、金の双眸が瞬くように明滅する。迷うように鋼鐵の掌を見た。)あんた程うまくは弾けないだろうが、其れでも良いなら。(自身無さげにそう返して、君の隣に並び立つ。)
ロキ・バロックヒート 2020年12月26日
ふふ。じゃあ、ジャックくんで。(主張を感じて、ふわふわと笑う。君の奏でるおとも、面白そうに聴いている)量産機って同じものがいっぱいなんだっけ。でも、同じように造られてても可愛いし、俺様にとっては人間も造りが同じのものばかりに見えるし。でも、魂はひとつとして同じものがないから、魂が宿った君もこの世界でひとりだけだよ。(それは特別って云わないのかな、なんて首を傾けて。そのまま続けた)……うーんとね。大変なことに気付いたというか。今まで呪ったことはあっても、加護を与えたことってないんじゃないかなって。だからどんな加護になるかわかんないんだ。……どうしよう。試してみる?
ロキ・バロックヒート 2020年12月26日
そうだね。俺様が聞いてて覚えるぐらい毎日弾いてたのに。雨の日も、風の日も。祈りも捧げて、供物も捧げて、歌も捧げて。(童話の一文のように、うたうように)忘れられたのか消えたのか、結局戻って来なくて、それで――……(低い音程をひとつ響かせた)棄てられた、っていう君たちのことを聞いて、ちょっと思い出しちゃった。 んー、信託とかする方でもないからなぁ。(だから万年神力不足だけどね、と笑いながら)大丈夫だよ、教えるから。それに君にも弾いてほしいって、寂しがってたよ。(最初はここね、と鍵盤を示して言う)
ジャック・スペード 2020年12月28日
ああ、その認識で合ってる。機械が出て来る御伽噺と違って、別に真心こめて造られた訳じゃ無いんだ。(御伽噺に出て来る“無機物”は、いつだって愛されていた。けれども自分は「違う」のだと、言外にそう告げる。)……魂に同じものはない、か。あんたの言葉は凄いな、お蔭で少し、自分が特別に想えて来た。(自分という存在は、確かに独りしかいない。新たな視点を噛み締めるように、双眸をチカチカと明滅させる。この驚きが、君にも伝わるだろうか。)……呪い?(聞きなれず、云い慣れない言葉を反芻する。此方も腕を組んで、暫く考えるような仕草を見せる。)あー……折角の機会だからな。貰えるなら、何でもいい。試してみよう、か。(「どうぞ」と謂わんばかりに、腕を広げて見せた。)
ジャック・スペード 2020年12月28日
毎日、あの曲を……。(軽やかな旋律に籠められた想いに、悲痛に、貌を伏せる。童話のような君の語り口は、こころに深く突き刺さった。)――そのヒトたちはどんな気持ちで、神を待っていたんだろうな。(最後まで語られずとも、結末は察することが出来た。だからこそ重々しく、口を開いて。) ……そういうことなら、応えないとな。指導のほう、宜しく頼む。(示された鍵盤を、鋼鐵の指先がそうっと押す。遠慮がちな音色が、礼拝堂に響き渡った。)
ロキ・バロックヒート 2020年12月29日
そっか。君にとって、産まれた時のその事実は――抜けない棘なんだろうね。(密かに息を吐いて、甘ったるい慰めや同情を紡ぐことをやめた。ただそうなのだと、君の言葉を受け止める)でも、うん。魂のことはほんとうだよ。特別だって。君がどんないろをしてるか、知りたい?あんまり言わないんだけどさ、君はただのひとではないし、面白いいろをしてるから。(いつもは告げぬことを、驚きに釣られたように。悪戯気な笑みを浮かべて)えー、ほんと?良いの?どんなことになったって知らないよ?
ロキ・バロックヒート 2020年12月29日
……さぁ、どうかな。深い哀しみに暮れていたのだけは聴こえたけど――なんだか君は、結構人間くさいね。(くすりと笑ってそう言った。ひとの気持ちを考える機人。ひとを創ったと云われる神よりも、よっぽどひとに近い)うん。それにさ、丁度今ってこの子のようなおとが必要な時期じゃないっけ。(君の響かせる和音に合わせて奏でるフレーズは、すぐに聞き覚えがあることに気付くだろう。聖夜によく流れている、あの――)(次はここ、と大きな手に細っこい手を重ねようと、導こうとしながら、ゆっくり繋げていく)
ジャック・スペード 2021年1月1日
……そうかも知れないな。(つまりは、コンプレックスなのだろう。否定はせず、ただ頸を縦に振った。)ああ、疑ってはいないさ。――……だが、魂の色か。それは気になるな、ぜひ知りたい。(教えてくれ、と。真剣な調子で言葉を重ねて。)構わない、俺はヒトじゃないからな。試すには丁度良いだろう?(悪戯に笑う君へと返す言葉に、何処か面白がるような響きを滲ませた。)まあ、哀しかっただろうな。……それは、嬉しい科白だな。あんたこそ、カミサマなのにヒトらしい。(というか、親しみやすい。下界に降りてくる神は、皆そうなのだろうか。)
ジャック・スペード 2021年1月1日
ああ……クリスマスか。(聞き覚えのある旋律に、双眸をゆっくりと明滅させる。心地の良い和音が、センサーを穏やかに揺さぶった。)(重なる細い掌に導かれる侭、冷たい鉄の手を動かす。君とゆっくり繋ぐ旋律は、この季節らしい穏やかさで、周囲へ聖夜の喜びを運んで行く――。)
ロキ・バロックヒート 2021年1月4日
ねぇ、解るよ。……なんて知ったふうな口を利いたら厭かな。(オルガンの響きに隠れそうなほどの、密やかなこえで云って。内緒ごとのように、そのまま続けた)ジャック・スペード。君の魂は……にびいろの、ルビー。もしくは、サファイア。どちらにも見えるし、どちらでもない。その中に、灯のようなものが揺らいでいる。……いつも見えるいろは、一色なんだよ。(だから面白いよ、と付け添えて)ふふ、試すには丁度良い。そうかも。じゃあ、加護をあげるね。(どこか機嫌良く。嬉しそうでもある。まるでプレゼントでも渡す旧友めいた調子)たぶん、永くひとと居たからかもね。器もひとと大体同じだしさ。君は、目が覚めてどれぐらい経つの?
ロキ・バロックヒート 2021年1月4日
ね、ぴったりでしょう。(ゆるり頷いて、奏でる音に合わせて歌ものせる。大きくはないけれど、不思議とよくとおる甘めのテノール)(手袋も付けていない手には君の手は確かに冷たかったが、それも楽しむみたいに、触れる手は愛で慈しむよう)(短い曲の旋律の名残も消えたころ。君たちを讃えるように、控えめに拍手をした)
ジャック・スペード 2021年1月7日
いや、……むしろ有り難いな。自分だけの悩みじゃないと、そう想える。(密やかな聲を、センサは確りと捉えた。低い聲でそう返しながら、緩く頸を振る。)……ルビーか、サファイア。どちらも意外だな、自分にそういうイメージを抱いたこと無いので。(その中に揺らめく灯もあるなんて。神妙に君の言葉に耳を傾け。)ヒトと違うからそう見えるのだろうか、なんだか不思議だ。――ああ、何かいいことが有ったら知らせよう。(クリスマスの宝籤でも買おうかと、冗談めかした調子で付け加えつつ、聲彩に笑みを滲ませる。)ああ、見目も変わらないしな。教えて貰えなかったら多分ずっと、あんたのことは人間だと思っていた筈だ。(問いには、少し考え込むような沈黙を返して。頸をぎぎぎと捻って見せた。)……多分、25年くらいだろうか。ロキは若く見えるが、長生きみたいだな。
ジャック・スペード 2021年1月7日
そうだな。あんたの聲も……――。(甘いテノールが紡ぐ歌と、ふたりの指先が紡ぐ音色。それらが混じり合い、礼拝堂に反響すれば、機械仕掛けの胸が温かくなった。君の慈しむような掌も、ヒトと触れ合わぬ此の身には、とても暖かく感じる。)(軈て最後の一音が静寂に呑まれれば、此方も拍手を君へ贈った。) ――ありがとう、とても良い演奏だった。歌まで聴かせて貰って、オルガンも喜んでる。
ロキ・バロックヒート 2021年1月9日
素直なところも、なんだか可愛らしいなぁ。ふふ。……望むカタチで生まれることができなかったことは、きっとそれぞれにしか解らない傷みだからね。(埋めることは中々できない。精々傷跡を撫で合うだけ。拾ってくれるのを良いことに、声音はそのままで)魂のいろは、ぱっと浮かんで見えるイメージのようなもの……だと思ってるから、見え方は俺様次第なのかも。でもひとによっては、結構影響されちゃうからさ。占いみたいな感じで。そういうの大丈夫そうな子には言ってるって感じ。 ふふー、良いことだといいな。(冗談にもふわふわ笑う)人間って思われたままでも、良いけどね。神様を信じない子も居るしさ。(なんて)そりゃもう神様だもの。長生きだよ。25年かぁ。……ねぇ、いっぱいいきたい?(きっと与える加護は、Yesならその鉄の身体の滅びを遅らせる緩やかな延命。Noなら、その逆だ)
ロキ・バロックヒート 2021年1月9日
こちらこそ、この子の目覚めに立ち合えて良かったよ。ね、楽しかったね。音楽はやっぱり一緒に楽しまないと。(指が、音を鳴らさない程度に鍵盤を撫ぜて、離れる)ねぇねぇ、この子はいっぱい構ったし、今度は君を構わせてよ。後で触らせてくれるって言ってた。(さっきも触ってたけど。やっぱりじゃれつく小動物みたいに、懐っこい笑顔で君に手を伸ばすのだ)
ジャック・スペード 2021年1月10日
みんな多かれ少なかれ、痛みを抱えてるんだろうな。(此の身や君が望む形に生まれた彼等も、理想とする姿はある筈だ。それでも、同じ痛みを抱える者同士が触れ合えば、孤独を癒すことは出来るの。釣られて、此方も囁くような聲彩で。)成る程。イメージに引きずられるヒトも、居なくは無いだろうな。俺は気にしないので、覚えておこう。(折角あんたが教えて呉れたしな、なんて。軽い調子で言葉を返した。)神の友人は他にも居るが、やはり不思議だな。若々しく、幼げなのに、何処か達観して居て。(神妙な雰囲気を纏わせつつも、問にはあまり考えず、さらりと答えを導く。)ああ、叶うことなら長生きしたいな。(生き延びた分、それだけ多くのヒトを護れるからと頷いて。)
ジャック・スペード 2021年1月10日
ああ、知らなかったな。音を奏でることが楽しいなんて――。(鍵盤を見下ろす双眸は、穏やかに輝いていた。)ああ、此奴が世話に成ったからな。礼になるかは分からないが、存分に構ってくれ。(僅かに固い肩を竦めて見せながら、無邪気な君の掌を受け入れる。異形のパーツはひんやりと冷たいが、機械仕掛けのこころは矢張り温かかった。)