0

【偽シナ】一章OP

冠月・拓真　2020年7月20日

[第一章・混戦]

　猟兵達が外部から研究室内の様子を窺うと、既に状況は始まっていた。
　広いフロアで机や棚、様々な機材はあるものの、全体を見渡せば空きスペースが多い。
　ノート所持者である研究者はそこにいて、けれど研究そのものには手を付けられていない。
　何故ならその手は後ろでに縛られて、椅子に座らされていたのだから。

　研究室には彼の他に十人の男達と謎の異形存在がいた。
　男達のうち九人までが黒のプロテクターに身を包み、手にした機関銃で異形を掃射している。

「これがそうなのか！」

　縛られた研究室は常軌を逸した現状に、興奮状態だった。
　残った一人はそんな状況をまるで気にも留めず、研究者の傍らで血塗れのノートを開いて中身を確認している。

「そうさ。貴方が望んでいたものだよ」

　男は長身ですらりとした体躯だが、中身はまだ少年というべき年で一昔前の探偵ドラマにでも登場しそうな衣服に身を包んでいた。
　この地に集った猟兵達は残らず、彼をよく知っている。少年の名は冠月拓真。

「ふむ、やはりこれは『当たり』だな。来た甲斐があったってものさ」

　ぺらぺらとページを捲っていた手が途中で止まる。

「おい、これはどういうことだ敷間博士」

「くそ！　駄目です！　UDC、止まりません！」

　何かを追求しようとする言葉は、兵士の叫びによって遮られた。
　雨あられの弾丸を受け続けていた異形が蠢く。
　紫色の艶めかしい肉塊は、内で渦巻いていた触手を外へと伸ばして、兵士へと襲いかかった。

「近寄らせるな……！　うっ」

　触手は一番近くにいた男の腕に触手を巻き付けると、三つの音が連続して重なる。
　プロテクターが圧迫された破砕音。
　肉ごと骨が潰された、太めの木枝が折れるような音。
　人の悲鳴。
　だらりとぶら下がる腕は、その根本は関節にまで至っておらず、溢れ出した血が床を汚していく。

「やれやれ、特殊配合した弾でもこれか」

　拓真は素早く戦闘不能になった男の首根っこを掴み、下がらせながら小型の缶を投げつける。
　すると缶は肉塊に触れた途端爆発を起こした。それでも倒すまでには至らないが触手は緩み剥がせた。

「猟兵（イェーガー）です！　加勢にきました！」

　このままではフロア中の者達が危険だ。そう判断した猟兵達は室内に突入した。

「お前ら、なんでここに」

「そっちこそ、これはどういう状況ですか？」

　猟兵の一人である陽と、拓真の睨み合いは数秒程だった。
　彼女の視線が小脇に抱えるノートだと気付くと、大体の事情は察したと言わんばかりにそれをジャケットの内側へとしまい込み、猟兵達を拒絶する。

「こいつは俺の大事な目的でな。行くぞ敷間博士」

「くそ、何故私までお前に……」

「こいつらが絡めば全ておじゃんだぞ？」

「ぬぅ……」

　大人しくなった敷間の拘束をナイフで切ると、拓真は彼を連れてこの場から抜けるため走りだす。

「AチームはUDCとの戦闘を続行。Bチームは俺の脱出を援護しろ」

　拓真が命じるとオブリビオンと戦闘していた半数が、援護するよう猟兵達の間に割り込んでくる。
　実力は敵や猟兵達に遠く及ばなくても、彼らの動きは十分に訓練された兵士のそれだ。
　まずはオブリビオンの暴走を止めなくてはならない。しかし状況はかなり複雑化している。

　猟兵達、オブリビオン、兵士達、そして拓真と敷間博士。戦いはいきなり混戦状態で幕を開けた。


●MSコメント
ども、気持ちクトゥルフ風味とか考えてたら世紀末にあるまじきシリアスシナリオになり申した。
誰かがパフォーマンでネタでもぶちこまない限りこの流れで進行します。

初偽シナなのでアドバイスとしては、グループを分けと役割分担が重要になります。
プレイング重視でレベルはあまり意識しません。
（第一章の結果により今後のシナリオは大きく変わります）

後、室内戦ですがフロアまるごと一個分でそれなりに広いため、多少派手に戦ってもシナリオへの悪影響はありません。

以下、追加状況の整理と情報でっす。

★プレイング締め切り
・2020/7/24 22:00
　早めに仮提出しておいて、後で再提出はOK。
　基本最後に提出したものを採用します。
　各プレイングはリプレイ時に発表予定（パフォーマンスは未発表）。

★第一章クリア条件
・オブリビオンを戦闘不能にする

★情報
グループA：
戦闘兵×４（Aチーム）
・マシンガンによる射撃（単体）とダガーによる近接戦闘が可能。
・オブリビオンとの戦闘に集中している
・距離を取っての射撃が基本で、直接妨害されない限り猟兵に危害は加えない。
・弱いが命を捨てる覚悟（放っておくと数以内ターンで全滅）。

グループB：
戦闘兵×４（Bチーム）
・マシンガンによる射撃（グループ）とダガーによる近接戦闘が可能。
・グループDを現場から撤退させるため猟兵の行動を妨害する。
・殺意はないがとにかく猟兵達の足止めを優先する。
・意図的に殺意をもって攻撃しない限り、戦闘兵は倒しても手加減して気絶させた状態になる（戦闘中は目覚めない）。

グループC：
UDC
・紫色で触手の塊みたいなオブリビオン。
・戦闘力は猟兵三人分程度。
・グループDへ近付こうとしているが、基本的に近くにいるものを優先して攻撃する。
・触手での打撃（単体・グループ）と締付け（単体）にて攻撃。
　締め付けられた場合、次ターンは行動不能になる。
・HPが3割を切ったところで戦闘不能状態になる（第一章でトドメはさせない）。

グループD：
冠月拓真
・ステータスはステシ通りではない（平均的な猟兵一人分の戦力程度）
・今回の目的の一つであるノートを所持している。
・殺意はないが逃げるために一切の手加減をしない。
・【アパマンブレイカー】と【百秒後に炎上するワニ】で爆発を起こし、範囲攻撃で足止めや煙幕効果を狙う。
・【レプリカクラフト】も使用。
・HPが5割以下、もしくは猟兵からの逃亡が困難な状況だと判断すると抵抗をやめる。
・逃しても即シナリオ失敗にはならない。

・UCの詳細
https://tw6.jp/garage/gravity?character_id=f00368

敷間博士
・一般人。
・非戦闘員なので拓真を止めれば確保は容易。
・一応拓真が護衛している状態だが、UDCに襲われると即死。
・死亡もしくは逃亡でも即シナリオ失敗にはならない。

その他：
負傷兵
・重症を負った兵士。部屋の端の方に避難している。
　戦闘不能状態なので特に何もしてこない。




0

---