『功夫』
牙・虎鉄 2021年7月16日
拳を合わせて以降、交流も増え
度々共闘や野良試合をするようになった。
さて、此度は「お前のその功夫ってやつどーやってんの?」から始まり
暫く熟考したのち
「……ならば一度手解きをするか」と答えたのだった。
――というわけで
今足を踏み入れているのは修行場の一つにもしている山稜、木々と巌とに囲まれた山の中である。
◆一対一
牙・虎鉄
風祭・ヒュウガ
1
牙・虎鉄 2021年7月16日
「功夫」とは則ち研鑽の意……
練習・鍛錬・訓練の蓄積、そしてそれに費やす時間と労力。
元を辿るならばそういう意味を持つ言葉だ。
武とは一朝一夕ではなりゆかぬもの。
――さて、(少しばかり、君から離れ)
牙・虎鉄 2021年7月16日
(……息を整え、構えを取る。)
(左手を照準のように ゆるりと前に出し)
(右手は引き絞るように構え)
牙・虎鉄 2021年7月16日
――――破ッッッッッ!!!
(右腕を突き出す。)
(何処の武にも良くある、"正拳"――要はただのパンチだが)(そのただの拳が風を呼び、辺りに土煙を立てる。……君との戦いで鉄拳を弾いて見せた拳撃、それを披露して)
牙・虎鉄 2021年7月16日
今日はまず、君にはこの拳を憶えて帰って貰う。
さて、ここで先の話だ。
一朝一夕で行かぬものを収めるには何が良いか……
正解は 「数」だ。
牙・虎鉄 2021年7月16日
では まず軽く千本 正拳突きの素振りとゆこう。(涼しい顔)
何、俺も隣でやるとしよう 指導もする。安心したまえ。
(無効票)
風祭・ヒュウガ 2021年7月16日
「功夫」ねぇ。確かによく聞くが意味をしっかり調べたこたぁなかったな。
(そうして、虎鉄が放った拳、その拳圧が、びりびりと伝わってきて)
風祭・ヒュウガ 2021年7月16日
…………相変わらず、凄まじいな。
コイツをモノにできりゃ、「何か」をさらに掴めそうな……なんとなくだが、そんな気がすんだ。
オーケー、千回ね、わかったわかっ……………
風祭・ヒュウガ 2021年7月16日
千!!!!!!?????? (とっくんが はじまった!!)
(無効票)
牙・虎鉄 2021年7月16日
うむ。千。(スンッ……)
では行くとしようか。
牙・虎鉄 2021年7月16日
行くぞ。
一 (ブンッッ)二(ブンッッ)三(ブンッッ)
……ふむ。腕はもう少しこう……(割合細かく、君の体格や骨格、筋肉痛に量なども鑑みた上で調整をしつつ)
構えの時はもう少し力を抜いて良いな。……うむ、その調子で。
牙・虎鉄 2021年7月16日
十(ブンッッ)
二十(ブンッッ)
突き出す拳の握りは程々に硬く。"当てる"時に一番硬く、を意識する。
(適宜、横に並ぶ君の方を見て 都度細かな修正を施していきながらも)
牙・虎鉄 2021年7月16日
……百。
うむ、この調子だな……もう少し肩の力を抜けると良いが 何。数を重ねていくうちに自然と抜けてくるものだ。
さて、続けるぞ。
(無効票)
風祭・ヒュウガ 2021年7月16日
十……十一ッ……!
……十九……ニ十ッ……!
(回数を言葉にしながら、突き続ける・無心で――という訳にはいかない)
(なぜなら、横で同じように突きを繰り返す男の鋭さには遠く及ばない。ただ闇雲に繰り返すだけで、同じ境地になど至れるものかと、どこをどうすればより近づく、と思考しながら)
風祭・ヒュウガ 2021年7月16日
こう、かよ……! 三十ッ!!
(拳の突き出し方、力の入れ方、そういった部分を一回一回、意識し直しながらひたすら正拳突きを繰り出す)(ヒュ、と風を切る音が、心無しか最初よりもよく聞こえるようになった気がする)
風祭・ヒュウガ 2021年7月16日
九十八ッ……! 九十九ッ……! …………百ゥ!!(ぶお、と拳を勢いよく振り抜いて、一息)
ハ、悪ィな、性分なんだよ。殴る時は全力入れちまうのがな。
それがよくねェのか?
(無効票)
牙・虎鉄 2021年7月16日
(数を増すごとに 次第に形がよくなっていく。風を切る拳の耳触りも、次第に良い音に変わっていく。)(…………なるほど、と思う。)
教えるものが育つのを見守る心地というのは、そうか。
このような気持ちか。
(何分、普段は教わる側ともなると 自分にしても相当新鮮なものだ。)
牙・虎鉄 2021年7月16日
硬すぎる力は柔軟性を損ない己の体を痛めることにも繋がる。
それに加えて……『破壊』が生きるのは緩急があってこそ。
適度な緩みから最大出力の『急』に収束する事で
より強力で鮮烈な一撃が生み出せるものだ。
牙・虎鉄 2021年7月16日
とは言え、些か難解な処でもある。
……千も振れば恐らく片鱗は掴めるだろうがな。
(などと話を進めつつ、拳を振り続けている。)
(また必要に応じ修正などをしつつ)
牙・虎鉄 2021年7月16日
(ブンッッ)四百九十九(ブンッッ)五百。
折り返しだな……さて、あと半分。
此処からは早さよりも形をより意識して行こうか。
(無効票)
風祭・ヒュウガ 2021年7月16日
ふゥん…………まあ、こうして何回も突き込んでると、ちっとはわかる気がするかも……なッ!
力を込めた時より、ふッと力が抜けた時の方が手ごたえ感じたりするしよ。
風祭・ヒュウガ 2021年7月16日
っと、もうそんなかよ?
言われりゃ、腕ブルってきてんな……! これで折り返しとは、なァ、オイ!! (次からは速さよりも形、と言われて、脳内でイメージする。突きそのものの勢いや速度、威力より、打ち出しの安定性を高めろってことか?)
(無効票)
牙・虎鉄 2021年7月16日
疲れを感じだすと自然身体は楽な動きを取ろうとする。
君の場合その感覚に多少身を委ねても良いかもしれないな……かえって力が抜けるだろう。
牙・虎鉄 2021年7月16日
だが、当然疲れれば精度は落ちる……
その中でこそ、腕の振りや構えを意識し一つ一つ正確に撃つ。そうしてこそ、己の中に確かに根付く『武』になると言うものだ。
何、その様子ならばまだまだ平気そうだな。安心したぞ。では……
牙・虎鉄 2021年7月16日
残り五百、じっくりと行くとしよう。
五百一(ブンッッ)
牙・虎鉄 2021年7月16日
(……宣言した通り、此処からはより形を意識させ また適宜確認しつつ、一つ一つをしっかりと打たせるようにしてく。)
(先の五百よりも時間をかけた上で)
牙・虎鉄 2021年7月16日
……九百九十九(ブンッッ)
……千。(ブンッッ)
牙・虎鉄 2021年7月16日
よし、一度此処まで。
暫し息を整えててくれ……一つ準備をせねばならぬ故。
(そういって、その辺にある木のうち一本に近づいていく。)
(無効票)
風祭・ヒュウガ 2021年7月16日
じっくり、じっくり、ね……。(つまるところ、こういうことだろう。)
(集中していたらいつの間にか終わっていた、などと言う生ぬるい事にはさせん、と)
……………上等だコラァ!!! 五百一ッ!! (ブンッ) ……五百二ィッ!! (ブォッ!)
…………クソ、ブレたな今。……姿勢をこう………んで、突きはこうか…………五百三ッ!!! (ブンッ)
風祭・ヒュウガ 2021年7月17日
(そうして、一つ一つの突きの形を、より安定させるための試行錯誤を重ねる。無駄な力みや自身の疲労による乱れを意識するたび、それを潰していくように)
風祭・ヒュウガ 2021年7月17日
………………千ッ!! (ぶお、と風切り音が鳴り響く。最後の1発は普段であれば力を込めに込めた一撃を放っていただろう。だが、この日のヒュウガは、そうしなかった)
っはァーーーーー、キッツかったぞマジで………………。
……おう、んじゃ、そうすンぜ。(言いながら、ぜはぜはと肩で息をして)
(無効票)
牙・虎鉄 2021年7月17日
うむ。
何、直ぐだ。
(そう言うと、息を整え)
牙・虎鉄 2021年7月17日
――噴ッッッッッ
(蹴足、木が折れる音)
破ッッッッッ
(振るわれる拳、虎爪、手刀。それらが折れた木を、削り取るように小さくしていき……)
牙・虎鉄 2021年7月17日
…………この位だな。
(出来上がるのは、一枚の板。)
(木材と言えるほどには厚くはなく、されど断じて薄くはない。木で出来た瓦、ともいうべきものを)
牙・虎鉄 2021年7月17日
…………では、総仕上げだ。
(両手で盾にするように持ち、君の方へと近寄る。)
今日重ねた千を良く思い出せ、ヒュウガ。
千はけして易い数字ではない。その重ねた千を――
牙・虎鉄 2021年7月17日
この木板に叩きつけ
割ってみせろ。
(素人がただ殴って易々割れる厚さではない。そのように調整した。然し)(……これを熟すことができるなら、確かに今日学んだ拳は 君の力になってる証左となろう。)
(無効票)
風祭・ヒュウガ 2021年7月17日
(身ひとつで戦いを極めんとする武人の鍛錬、その一端とはいえ、付き合った身としては既に疲労しきっている)
(だが――――)
風祭・ヒュウガ 2021年7月17日
――――上等だッ!!! (やってみせろ、と言われれば、受けて立つのがヒュウガという男である。意気揚々と正面へ歩いていき)
(そして木板を正面に見据え、構える。。スゥ――と息を吸った)
風祭・ヒュウガ 2021年7月17日
(余計な力を抜く――つまる所、分散するギリギリを見極めろ)
(形を整える――それをムラなく、無駄なく撃ち込むイメージ)
(そして、当たる瞬間に、その全てを集中させる)
風祭・ヒュウガ 2021年7月17日
――――――――――破ッ (普段の彼の声量からすれば、驚くほど静かで、研ぎ澄まされた一息と共に振り抜かれた拳が、木板へと真っ直ぐ突き出され)
(バカン、と真っ二つに、木目に沿ってそれが割り開かれた)
(無効票)
牙・虎鉄 2021年7月17日
(――乾いた、気持ちのいい音だった。)
(ぱかん、と真二つに割れた木の板を両の手に持ち 胸の前には板を突き破った君の拳。)…………好(ハオ)。
牙・虎鉄 2021年7月17日
見事だヒュウガ。
(……己が教えたものが、実を結ぶというのはこう言う気持ちか。)
牙・虎鉄 2021年7月17日
確かに、君の拳は武を憶えたのだ。
(『破山』の芽が彼にも受け継がれた事を、嬉しく思いつつ)
――――さて、
牙・虎鉄 2021年7月17日
.
――――では続いて蹴脚の方も修練するとしようか!
(教える事に味をしめた虎が、もう一周分君に新たなる修練を科そうとするのであった。)
(発言終了。)
風祭・ヒュウガ 2021年7月17日
応よ! へへ、つっても殆どトラのおかげだよ。
けどまぁ…………こうして成果になると、気持ちいいな!! (なんて、晴れやかに笑ってみせた。さてひと段落、という空気の中で――)
風祭・ヒュウガ 2021年7月17日
まだやんのォ!!? (という叫びが響き渡るのだった)
(発言終了。)
牙・虎鉄 2021年7月17日
……『トラ』か。(ふと、聞き慣れぬ呼び方を耳が捉え)
牙・虎鉄 2021年7月17日
(それを悪くあらじ、と微笑を作る。)
何、そう言って貰うならば 虎としても喜ばしいな。
牙・虎鉄 2021年7月17日
うむ。 折角だし。
(気やすい呼び方で呼んだ君の叫びはさらりと躱し ――この後も暫し、修練は続くのだった。)
牙・虎鉄 2021年7月17日
(日が暮れた頃、身体を動かし果て疲れ切った体には
さぞ、川水で冷やされた手拭は心地良かった事だろう。)
牙・虎鉄 2021年7月17日
【―完―】