草塚 第2版
末代之光・九十 2021年4月4日
※設定草案を体積させて置く所。
草案なので後々変更が入る可能性はある。
と言うか入ったので第2版。
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末代之光・九十 2021年4月4日
【神としての所属世界】
古代日本は津軽の地に在ったと言う阿蘇部族から端を発する津歩化族、更に継いでの荒羽吐族によって崇められていた神々の信仰世界。今はもう潰えている民族である為、当然その信仰世界基盤はほぼ喪われ。今に残る伝承と遺された神である九十との中に辛うじて保持されている。
が、伝承の方は肝心の史料が偽書とされており。実際その情報にブレ幅が激しい為。客観的に何が正しいか等判別できず、九十自身も細かい明言を好まない。
曰く、「現状安定しているのも奇跡に近いのに。下手に掘り下げて破綻したら僕消えるじゃん。死ぬじゃん。御免蒙ります」との事。
末代之光・九十 2021年4月4日
【神名】
九十は神としての名を持っていない。総称としての分類名すら持たない小神である。
では末代之光・九十と言う名が何かと言えば、先ず『末代之光』は己が司り管理の一端を担っていた生命と死の(所属する信仰世界に置ける)仕組みを顕す言葉。次にその読みである『イシカホノリ』は所属世界全体を表す三界の内の天と地を意味し、神々の総称として使われる事もある言葉。最後に『九十』は、何の事は無く担当していた権の連番である。
とどのつまりは立場や仕事から付けたもの。
特に姓は民族が喪われてから名乗る様になった物。己の所属を示す意図もあり、勿論感傷でもあり、名として遺す事でその存在基盤の保持を狙う実利でもある。
末代之光・九十 2021年4月4日
【末代之光】
末代は『死んだ後の世』の意であり、光はそのまま『命』を指す。意訳するならば『死んだ後の命の光』だろうか。そして転じて之は『死は終わりではなく、生命へと繋がり循環し続ける』と言う思想と概念を意味する。故にこそ、本来言葉自体に終端の暗喩を強く含む死を先に置き、続ける形で始まりの意味を示す事の多い生命を並べるのだ。
古代宗教故にそこまで厳密な形式があった訳ではないが、死と生命の円環を示す輪の印章がその神体を示す事が多かったとも。そして死と生命を途切れる事の無い円と表現するが故に、その二つは不可分の概念。
よってその管理を担う九十達は、死と生命の側面を一つの身に併せ持つ両面神として定義されていた。
末代之光・九十 2021年4月4日
【イシカ】
天を意味する。主神として伝わるイシカカムイの事でもあり、日輪神、天なる陰陽の無上神とも。アラハバキイシカカムイと纏め神々の総称とされる事もある。古代宗教の例に漏れずその定義は変遷し振れ幅があるが、基本的に大いなる神の名である事に変わりは無い。
九十は荒羽吐族が終わりその信仰世界が瓦解して行くに当たり、己の中の『死』の面にこの言葉を宛がい保持した。イシカカムイが男神な為に中性的な姿の方が比較的マシだろうという判断ではあったが、割と無理矢理嵌め込んでいる。
末代之光・九十 2021年4月4日
【ホノリ】
地を意味する。主神として伝わるホノリカムイの事でもあり、地神、母なる大地大海の神とも。アラハバキイシカホノリカムイと纏め神々の総称とされる事もある。古代宗教の例に漏れずその定義は変遷し振れ幅があるが、基本的に大いなる神の名である事に変わりは無い。
九十は荒羽吐族が終わりその信仰世界が瓦解して行くに当たり、己の中の『生命』の面にこの言葉を宛がい保持した。大地と生命はシンプルに相性が良く、此方が先に即決された結果イシカに『死』が宛がわれたと言うのが正しい。
末代之光・九十 2021年4月4日
【ガコ】
或いはカコ。海を意味する。海神として伝わるガコカムイの事でもあり、津波、洪水、千魃等の海及び水に関わる災害全ての象徴でもある。アラハバキイシカホノリガコカムイと纏め神々の総称とされる事もある……が、他二神に対しては明らかに言及されない頻度が高く、海を意味成す言葉もツホやウナと振れ幅が大きい。そもそも上述の通り海や水の属はホノリに習合されている場合も多い。
それもあり、九十はこの言葉を保持していない。両面神、つまり二面しか持たぬ彼女には最早紐付ける側面が無く手が回らわなかったとも言う。
末代之光・九十 2021年4月8日
【役割】
死と生命の循環の輪の管理。
あくまで管理者であり体現者、存在としては精霊に近い。
逆に言うと死と生命を掌握しているとか支配者であるとか、そう言う存在ではない。そちらの立場には寧ろ死神ダミカムイと生命神マムシカムイが存在していた。彼らは分類名も持つ格上の神だが、単純に上役と配下と言う間柄でも無く、役割の違いで互いに補完していたとの事。「営業社員と内勤見たいな感じ。向こうは部長でこっちはヒラだけど」とは九十自身の言。
末代之光・九十 2021年4月9日
【管理者】
九十と同じ立場の神は当時大量に居た。その点でも精霊に準えるのが相応しい。
その意義は、先ず死と生命の両面を自身の中に併せ持つ事で半ばその循環そのものとして機能し、存在するだけでその循環の仕組みと理念を補強する体現者としてが一つ。そしてそのものとしてあるが故に体感としてその歪みや誤謬に気づき、小さな物であれば補正・修復し、大きな物であれば先述の支配者・掌握者たる神に伝える管理者としてが一つ。他にも細々した事柄はある物も、大きな物はこの二点となる。
「正直、あんまり働いてなかった気がする」との事。
末代之光・九十 2021年4月10日
【現状】
民族が潰えた今、立場は大幅に変わっている。
先述の通り、三界の内の二つを名前として保持している九十は現状、形式上は主神を継いでいる状態に近い。ただし当人に言わせれば「経営破綻して社屋も社員も活動も0になった会社の名義だけ残してる感じ」で、実はほぼ無い。
それでも立場から来る権限の枠組みは広がっており、ユーベルコードに拠って成せる権能の種類と幅は寧ろ増えて来ている。また、そもそも当時は大量に居た死と生命の管理神も(おそらくは)今は彼女一人になっている訳で。もしかすると、猟兵としてそこそこの経験を積んだ今の方が、木っ端だった当時より既に強い可能性もある。
「RPGに例えるなら、一旦レベル1に戻ったけど代わりに成長限界は無くなった感じかなあ。で、そもそも昔は下っ端だったから元々大したレベルじゃなかった可能性もあるって事。比較したわけでなし実際のとこは分かんないけど」との事。
末代之光・九十 2021年6月26日
【最初の人】
九十が発生した際。人格も情緒も碌々固まらない曖昧な状態で半ば暴走状態で居た所を、鎮めに来た男によって保護されている。
この場合の保護とは文字通りの意味で、そのまま暴れ続けていれば力を使い果たして消滅していただろうし。それでなくても理性の無い小神等実害以外の何物でも無く、遠からず他の神や部族の戦士によって処分されていた可能性が高い。そもそも男自身、9割方殺す事になると言う意味で『鎮め』に来ていたのだ。それを、生きたまま連れ帰り一通りの道理と常識を教えたのだ。
後に『先生』と呼ぶ様になるこの男が、九十が最初に親しくなった人間である。
関係性としては『甘え放題我儘放題のバカ娘ないし年の離れた妹か姪』と『迷惑かけられまくっては稀に拳骨を落とす苦労性の父親ないし年の離れた兄かオジ』が最も近い。
末代之光・九十 2023年9月24日
【姉妹】
数多居た死と生命の管理神の中でも、九十が所属して居た五姉妹は発生から長く、かつ一際理性的(人間に肩に近付いて居た九十の影響である)だった。その為実力に欠ける小神の割にはそこそこ重用されても居たらしい。面倒事を押し付けられやすかったとも言う。
尚、五人ともが死と生命の側面を持ち、女性的な姿と男性的な姿の二面を持っていた。が、当時の九十も含め体型以外の見目は然程の差がない。逆に言うと現在の九十の見目が死と生命で大きく違うのは、イシカホノリの名を継いだ事に寄る後天的な影響である。
末代之光・九十 2023年9月24日
◎一二(ひふ)
長女。死と生命に関し管理・操作の権能を持つ強き神でリーダー。
クソ真面目に見えて、実は単に何事も腕力で解決しようとする短絡的イノシシ型蛮族一番星。
「何、また死と生命の管理神が発生したと。よし良いぞ同僚が増える仕事が減る早速叩きのめそう。……む? 何故だと? だって仕事をさせるには先ず言う事を聞かせねばならんだろう?」
背も高く凛々しく男前なのだが、ある意味でダントツの|馬鹿《脳筋》。武闘派と言うか、愛用の剣を振り回して取り合えず暴力それから暴力そして暴力と言う酷い有様。
末代之光・九十 2023年9月24日
「なに戦だと? やはりオジキも限界だったか……いつ開戦する? 我も参戦す……誰が馬鹿だ!? 馬鹿って言った奴の方が馬鹿だと言う名台詞を知らんのか貴様ら! いや仕事はするぞちゃんと戦の後にだな……」
「ぐ、ぬう……ウジヤメ。もう|獄《ホノリ》から抜け出て来たか……矢張り名変えも必要だったかも知れんな。|大地《ホノリ》は|現場《我等》の判断に任せると言ったのだな? 可能なら穏便にと言う事だろうが……アレは殴っても止まらん故正直苦手だ」
「五六、策を出せ。貴様の判断に委ね……いや泣くな喚くな! 馬鹿垂れ責任は我が負うに決まっとろうが! こら吐くな!? おい吐くなちょっと三四袋持って来てえ!?」
頭は悪いが姉御気質で、知恵の回らぬ自分の代わりに信頼できる誰かに委託する事に躊躇が無い。その上で責は自分が負うと言い切れる果断の人。
故に姉妹からは馬鹿だ馬鹿だと罵られつつも尊敬されていた。
末代之光・九十 2023年9月24日
◎三四(みよ)
次女。死と生命に関し変化・維持の権能を持つ纏め役。あらあらうふふ。
人当たりが良く軽く見える態度で、酸いも甘いもかみ分けた円転自在。悪く言うと狡い女。
「あのね九十ちゃん、一二も私も無理には止めないわ? 貴女が人に寄り添う事で得れてる理解や知恵もあるもの。……でも、本当は分かっているんでしょ? 最後に泣くのは貴女なのよ?」
見た目は女性らしくフワフワと一番美人で穏やかそうなのだけど。怒らせると怖い。姉妹の中で一番怖がられてたし、実際怖かった。本気で怒りだすと七八ですら逃げる位に。
末代之光・九十 2023年9月24日
「一二……あのね。私達の仕事を覚えてるかしら? 戦が起これば死に偏りが出る、八生輪の歪みを整えないといけないの。これって後でやれば良いってものじゃないわよね? 随時やってかなきゃでしょ? ね? 分かるでしょ? ……ね?」
「そう、ウジヤメの目撃。未だ目撃よ、未だ|疫の蔓延《ウジヤメ》には至ってないけど、あの子は説得が効く……と言うか会話の通じる子じゃないから。ええ、罹患すれば加持祈祷で押し返せる禍では無いわ。そうね、戦と重なれば最悪が在り得る……」
「五六、どうすれば良いと思う? 何で吃驚してるの。……いえ、気持ちは分かるわ。一二がどう言ったって気持ちは別だものね。けれどこれは貴女の仕ご……あっ」
纏め役と言うからには相手の気持ちを汲み取らなくてはいけないし、その上で駄目な物は駄目で切りやるべきはやれと仕向けなくては行けない。
そもそも怖がられて然るべき立場だったとも言える。
末代之光・九十 2023年9月24日
◎五六(いむ)
三女。死と生命に関し肯定・否定の権能を持つ知恵袋。小柄。
思慮深く慎重で何時も大人しい。裏を返すと優柔不断で臆病で自信不足でビビりでヘタレ。
「……あ、あのですね九十? あなたが人間に肩入れしている分で微妙に死生に偏りが出ていると|生命《マムシ》から苦情がですね。あっちょっと待って逃げないで下さ……逃げるな!?」
知恵袋として色んな判断を投げられては泣き言を言って胃痛を起こしてベソかきながら頭を捻ってたかわいそう枠。姉妹からは良い様に何でもかんでも押し付けられていた。
末代之光・九十 2023年9月24日
「え、戦ですか? |闘《タダキ》のオジ様はなんと? ……そう、ですか。じゃあこれ以上堪えて頂くわけには行きませんね。まあ、結果論ですが九十の甘やかしの分で帳尻が……は? |疫病《ウジヤメ》が出た?」
「待って。待って? 疫病と戦は最悪の組み合わせですよ最悪族滅ですよ? オジ様が肥えてしまっている以上、民は病で疲弊すれば寧ろ戦の収奪で取り返そうとします。どうする気なんで……え? わたしが考えるんですか!? えええええうぇ嫌ですよそんな責任負わせないで下さい!?」
「うえええええやだやだやだ何でこんなわたしが痛い胃が痛いシクシクするもうやだ何でいつもいつも皆わたしに丸投げして来るの……ウェ……ウプッ」
逆に言うとそれは『どんな有様も、彼女が出した案であれば何とかなる』と言う全幅の信頼を寄せられていたと言う事。彼女自身、それが分かってるからこそ断れなかったのだ。
ある意味で最も頼りにされていたと言える。
末代之光・九十 2023年9月24日
◎七八(なや)
四女、死と生命に関し増幅・減少の権能を持つ自由人。
変人で無軌道で好き勝手で支離滅裂で大暴走で神出鬼没。まともに会話が通じるなんて夢にも思ってはいけないパッパラパー。
「やっほやっほアタシちゃんだよどったのどったの何怖い顔―! もっと笑顔もしくは泣き顔で居た方が可愛いよーん。……やだ目が座ってる。何で御座るか五六? てか七八ちゃんに何か用?」
質の悪い事に別に頭が悪い訳では無い。ちゃんと知恵も思考もあった上で予定調和を嫌い『わけわからん方が楽しい』と遊び倒す真正のルーニー。挙句実力は姉妹随一だから本当に最悪である。
末代之光・九十 2023年9月24日
「え、えええ。何それ超面白い戦争じゃーん。大和の人たち巻き込むんだマッジでごわすかやっべー最悪全面戦争だよねどうすんの? ……へえ、五六にも分かんにゃいんだあ」
「良いねそう言うの|我《わ》は好きじゃよー。乗った。乗るね。オジちゃんもちゃんと煽るますよ、あんだけデブってたらちょっと増幅しただけで弾けるから楽勝だわだわ。ところでなーんかゲロ臭くない? 気のせい? 別に良いーけどー♪ 殺せるかなー無理かなーどうなるかなー?」
「分かんない! 分かんないって楽しいね! ……所で、九十は? へえ、お使い? 何処へお使いかなあ……ひょっとして大和とか?」
思考も口調も一切一定せず、にょろにょろ踊ってるか歌ってるかしてる時が一番マシと評判。姉妹からは『見かけ次第簀巻きにしよう』と言う扱いを受けてた。
だが、異様に勘の良い彼女は何時もここぞと言うタイミングで……
末代之光・九十 2023年9月24日
◎九十(こと)
末妹。死と生命に関し収集・結合の権能を持つ甘ったれ。
今とは違い、当時はイシカの姿も然程痩せておらず、『|区切りを過剰にハッキリさせる《読点をほとんど使わない》』喋り方でも居ない。どちらもイシカホノリの名をネジ入れた事から来る影響なので。
「ええ、あのお目通り誠に光栄至極だよです大和の國のいと高き日輪の大神よ……えーと、この度はその―。我が國の一部の愚神の暴走により誠に遺憾ながらそのー……えっ、マッチポンプ? いやいやいやそんなまさかあ…………ちっ鋭いなこのブラコンヒス女……あっいやなんでも無いです何にも言ってないよ!!」
甘えん坊で考えが温くて意思は弱くてウッカリばかりする粗忽者。
ついでに別に性格も良くない。格別悪くも無いけれど。
けれど何故か姉妹から……いや、大抵の者から受容され、不思議と『仕方ないな』と言われ勘弁して貰ってばかりいた。
末代之光・九十 2023年9月24日
「奴は阿呆だが『助けて』が言える阿呆だ。いいや我が言うのは『任せた』であって、その判断も込みで我の責だ。だが奴の『助けて』に責任の所在などない、無責任かつ全力で甘えて来るのだ。挙句その対象が人の子であっても躊躇ひとつせぬ。全く阿呆だ酷い阿呆だ」
「でも、私は嫌いでは無いわ? 『助けて』だけじゃない、あの子はね、嬉しい時に笑って悲しい時に泣けるのよ。え? 当たり前? ……ふふ、そうかしら?」
「わたしを何だと思ってるんですかねあの人。何でもかんでもすぐお願いして来るんですよあの人。わたしを便利屋さんか何かと勘違いしてるんですかねあの人。ほんと、わたしが居なきゃどうしようもないんですからもお」
「得な性格だよな! 何時か食ってやろうと思う!! 多分魚醤が合うんじゃないかのう」
だからこそ國が滅んだ際、寄りにも寄って敵国である大和の神に残った民の受け入れを嘆願する等と言う図々しい真似が出来たのだろう。
末代之光・九十 2023年9月25日
【もういないみんなへ】
|素直に助けてが言えたの何ていつのこと?《大丈夫。僕は平気だよ。だから心配しないで》
|嬉しい時に笑って悲しい時に泣けたの何ていつのこと?《何時かはまた出会う。必ずまた会えるから泣いたりなんかしない。笑ってお別れ》
|強がって、本音を隠して、嘘を吐いて、重ねるペテンはだれのため?《■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。ひ■■■■■は■や■■う》
でも。聞いて。
でもね。あのね。最近は……
末代之光・九十 2023年10月28日
【ぺてん】
九十と言う存在を囲う|三軸の門《トリプルミーニング》。
平たく言えばキャラクターコンセプトである。
・精神性
https://tw6.jp/gallery/?id=163665
不死たる神として永遠を生き、けれど人に憧れ愛し寄り添い続けた九十の歪み。
とどのつまりは『|輪廻《八生輪》の先でまた会えるから悲しくない、平気だよ』と言う大嘘の事。粗忽で甘え性で何より人に親しんだ彼女の事を、周囲の人間が気遣わない筈は無く。泣き虫の彼女を遺して死に逝く己達に罪悪感を感じない筈も無く。幾重もの別離の後、其れに気付いた愚かな小神は嘘を吐く事を覚え、ぺてんを使う様になった。
多分、誰一人そんな拙い嘘に騙された者なんて居やしないのだけど。
https://tw6.jp/gallery/?id=163664
末代之光・九十 2023年10月28日
・存在定義
九十の名乗るイシカホノリの名は、彼女が所属して居た宗教世界観であるアラハバキ族の神話に置ける最高神の名であり、神群全体の総称でもある(上述の通り、その場合はアラハバキイシカホノリカムイとなる)。本来固有名すら持たぬ九十がそれを名乗っているのは、国津神故に己の所属する國の消滅に伴ってその存在を保てなくなった彼女が生き永らえるための緊急避難であり、九十たった一人に『神』と『民』とそれから『国土』……即ち|天《イシカ》と|地《ホノリ》を集約する事で、最小単位の國を存続させると言う理論保全。
つまり僭称であり、要するに詐欺である。これがぺてんで無くて何だと言うのか。
末代之光・九十 2023年10月28日
・第四の壁の先
東日流外三郡誌。
古史古伝の一つであり、現在の東北地方の北部近辺の知られざる歴史が書かれた真実の書。……と言う触れ込みでセンセーショナルに一世を風靡した偽書である。
後にはその資料の発見者を名乗っていた和田喜八郎氏の手による製作物。要するにでっち上げの真っ赤な嘘であると断されており……つまり、ぺてんな訳だ。
そして、九十が生まれた宗教世界観はこの書に記されたものである。
であれば彼女の存在はそもそも本当に真実なりや?
或いは。骸の海の中に数多の世界の浮かぶこの第六猟兵の多元世界の中にそれが真実である世界もあったと言う事か。さて……