【1:1RP】雨、燦燦と
ヴァルトール・ブラックモア 2020年6月27日
薄暗い闇に覆われた世界で燦然と輝く黄金魔城。
本日は雨天。雨が降りしきろうとも、その輝きに陰りはなく。
城内では金色の城主が悠然と玉座に腰を掛け、心底退屈そうに雨音を聞くばかりであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
・ 1:1RP、どなたでもどうぞ。
・ キリの良い所、もしくは一週間放置で〆
0
ヴァルトール・ブラックモア 2020年6月27日
つまらん。実に、つまらん。
(黄金魔城の最奥、玉座に頬杖を付きながら座し独り呟く。)
この雨では外に出ることも敵わん。全く、余を城に縛り付けるなど天と言えど不遜であろうが。
(寂寞とした城内に独り言が響き、雨音に消されていく。)
…まぁ、このような日であれば雨宿りに入る不届き者もいるやもしれん。どれ、城に入った者を余の前に転送させる仕掛けでも施しておこう。
ウィータ・モーテル 2020年6月28日
"……わ"
「にゃ?」
(ぺしゃり。雨に濡れた1人の少女と黒猫が唐突に現れる。あなたが仕掛けたものに引っかかったようだ)
"びっくりした、急に場所が変わったのかな?"
「そうみたいだねー? 何か仕掛けられてたのかなぁ?」
(見た所無口無表情だが、発せられる思念からは、人らしい感情を感じられることだろう。喋る黒猫と共に、あなたがいることにまだ気づいてないようだ。
2人は濡れた所をどうにかしようと、荷物の中から何かないかと探っている)
ヴァルトール・ブラックモア 2020年6月28日
ほう、まさか本当に掛かるとはな。ここに人が訪れたのは何時ぶりだったか。雨とは時に思いも寄らぬ者を運んでくるものだ。
(現れた少女と一匹を見つめ、一人鎧の中で呟く。)
ようこそ、来訪者よ。此処がかの黄金城と知り赴いた貴様らは不敬であるが、許す。余は寛大であるが故に赴いた貴様らの心意気を評価しよう。
我が城―――黄金城メルセユーラへの入城を許可する。敬服し、存分に歓喜に打ち震えるがよい。
(玉座から立ち上がり両腕を広げ、気づく様子のない少女たちへ高らかに声を上げる。その様は威圧的で威厳、威風に満ち、人によっては尊大や不遜といった印象を与えるだろう。)
ウィータ・モーテル 2020年6月28日
"……へ? わっ! 誰かいた!"
(無表情そのまま、少女はかけられた声に驚きながら辺りをみて、すぐに玉座にいるあなたに気づく。黒猫も声のする方へくるりと向いて)
「わぁ、黄金に輝いてる鎧を着た……、お城だし、王様?」
"王様? あ、じゃあ、えっと――"
(少女は黒猫と少し会話をしてから、改めてあなたに向き直り)
"――お初にお目にかかります。私はウィータ・モーテル。こちらの黒猫はユラン。諸事情にて、思念での会話、失礼します。"
"旅の途中、急な雨に困っていたところ、近くに見えたあなたのお城にお邪魔させていただきました。"
"入城を許可頂いたこと、寛大な対応に心から感謝を申し上げます。"
「……わぁお」
(黒猫は目をぱちくりさせながら少女――ウィータを見ている。たどたどしいが、そういう一応の礼儀作法は心得ていたようだ。背筋を伸ばし、表情は無表情のままだが、堂々とした立ち居振る舞いを見せるだろう)
ヴァルトール・ブラックモア 2020年6月29日
ふむ、年端もいかぬ小娘かと思ったが、礼節は弁えているようだな。感心だ。その美徳に免じ口を開かぬ不遜を許そう。
(どこまでも傲然とした態度ではあるが、礼儀を弁えていることに対して評価しているのは伺える。)
では、余も名乗るとしよう。貴様らも『当然知っている』とは思うが、名乗られたままというのも無粋なものだ。
(大きく咳ばらいをし、腕を組んで足を開く。高圧的な存在感を出しながら、その鎧は声を上げた。)
天よ聴け、地よ耳を傾けよ。我が名はヴァルトール・ヴァランタイン・ブラックモア。美と財の頂点に君臨する絶対者にして、この黄金城の高貴なる城主である。
(高らかに謳い上げる咆哮の如き名乗りは鎧を通し広間を木霊する。同時に鎧から黄金の光が発せられ、その眩さに磨きをかける。その光を浴びれば、濡れた衣類の水分は蒸発し、冷えた体温を戻すだろう。)
ウィータ・モーテル 2020年6月29日
"わ、服が乾いてく……それにあったかい"
「へぇ、ヴァルトールっていう名前なんだ……って、僕らそんな名前知らないよ!? まぁ、その、乾かしてくれるのはありがたいんだけど」
(思わず黒猫がツッコミを入れるも、毛並みについた水分に光が当たって乾いていくのに感謝はして。
ウィータも、驚きの思念を発しながら、思わず服をぽんぽん、と触っているようだ)
「でもなんだか、みょーにうさん臭さがある気が……ウィータはどう思う?」
"うーん? そうかな?"
「あ、駄目だこりゃ、あんまり疑問に思ってないやつじゃん……」
"変なユランだなぁ。あ、ありがとうございます、ヴァルトール……さん?"
(ぺこり、とお辞儀はしておく)
ヴァルトール・ブラックモア 2020年6月29日
礼には及ばん。濡れた衣類で余の城を汚されても敵わんからな。
呼び方も好きにすると良い。余は様々な異名で呼ばれている故、名前でなくても結構だ。
…が、無知は醜悪なる大罪だ。以後、戒めた方が良かろう。
(自身の名が知られていなかったことには聊か不満がある様子であった。)
(ここまでは高圧的ではあるが、寛容で理解のある者という印象もあるだろう。)
(だが、この男は『魔人』と敬称される者。只の傲岸不遜な偉丈夫ではない。)
ヴァルトール・ブラックモア 2020年6月29日
さて、貴様らを招き入れたが、この城には戒律がある。その中で最も重要なのは『余に対価を払う』というモノだ。
何、金銭を要求したりはせん。尤も、この城を見ればそんなもの必要ないと分かろう。
(では何か、と続けると床を片足で軽く踏み鳴らす。すると黄金の床は迫り上がり、テーブルと二つの椅子に姿を変えた。)
(男は片方の椅子に腰かけ、対面に立つ少女と猫に要求を言い放つ。)
余はこの雨で退屈をしていたのだ。ウィータとユランよ。余の雑談相手となり――――楽しませよ。
(温和に対談を持ちかけている様にも見えるが、この男に限ってそれでは済まない。)
(退屈、醜悪と感じれば『粛清』も辞さない。美しきものなら自分を楽しませろという酷く自己中心的な暴論の裏返し。それを感じ取れるかは聞いた者次第だろう。)
(美麗なものするが、それは自分を楽しませる玩具や嗜好品としてだ。なにせ、最も美しいのは自分だと酔い痴れているのだから。)
ウィータ・モーテル 2020年6月30日
「(えっと……うわぁ、この人めんどくさい人だぁ……)」
(赤い目を1度だけ瞬かせたユランは、あなたの内心を見抜くや否やげんなりするが……雨宿りさせて貰っているウィータの手前もあり、断るにも断れない)
「(……まぁいいや、ウィータに何かあったら、全力で逃げるが勝ち!)」
「僕は構わないよー」
"分かりました。私で良ければ、話し相手になります、ヴァルトール"
(ウィータ自身は、あなたの思惑を知ることなく、薄いラベンダー色の髪を靡かせながら、素直に小走りで着席するだろう)
「でも、何から話そっか? 猟兵になってからは、そんなに珍しい事とかはなかった気もするよね。ちょっとオブリビオンを助けたというか、そのくらい?」
"うん、そうだね……何を話そうかな"
(……十分問題発言をしているのだが、1人と1匹は構わず考えている)
ヴァルトール・ブラックモア 2020年6月30日
―――ほう、興味深いな。
(他愛もない一言ですら聞き逃さない。値踏みをする商人が宝石の些細な傷を見逃すことなどあろうはずがなく。)
貴様らは猟兵という立場でありながらオブリビオンを救済したと申すか。余を含め我ら猟兵は選ばれし世界の防人、愚劣なる存在を排斥する至高の意志の体現者だ。
であれば、異分子たる害虫を救済する道理などあるまい。貴様らが『世界の敵』でなければな。
(この男がオブリビオンに向けるのは抹殺、抹消、問答無用の殺戮。そういった『粛清』以外にない。)
(部屋の隅に佇む虫を逃がすのであれば同罪とでも思っているのだろう。だが、『助ける』という行為に興味があるらしい。)
うむ、実に面白い。その真意、その救済を余に聴かせよ。
ウィータ・モーテル 2020年7月2日
"あ……その"
(自身が言った言葉の意味に気付いたのか、ウィータは少し俯いて)
"助ける、と言っても、本当に助けられた訳ではありません。やっていることは、まだ骸の海に還すことと同じ。"
(ウィータはゆっくり説明し始める)
"私は……オブリビオン、そして影朧は……死んだ魂の現れだと思うのです。私は、そんな魂を癒して、救いたい。
それが、きっと私が生まれた意味で、私が生まれた街の人達に出来る償いだと思うから"
「サクラミラージュには、桜の精が影朧を転生させるという方法はあるけど、他の人達には出来ず、そして他の世界では転生、あるいはそれに近い事が今は出来ないって聞いた。
ウィータは、オブリビオンを本当の意味で助ける方法を、探してるんだよ」
(ユランが補足しつつ、これでどう?という風にあなたを見上げている)
ヴァルトール・ブラックモア 2020年7月2日
成程、かの世界であればそれも道理か。理解はしよう。
だが余も救済する者として世界を巡る猟兵。邪知暴虐のオブリビオンを滅し、人を、世界を導く選ばれし存在だ。
故に、余は彼奴らを一切の慈愛もなく鏖殺する。それが『真の輝き』であるが為。
(この男にも矜持はある。例えそれが英雄思想、貴族主義的な思想であっても救済であることには違いない。)
ウィータ、貴様は慈悲深いが、酷く傲慢だ。人、世界を超え、過去を、死せる者でさえ救うという。
それはもはや『奇跡の光』、理想、希望、そして無謀に満ちた考えだ。
(オブリビオンをも救えば、世界は真の意味で救われるだろう。だが、それは未踏の領域、机上の空論、理想論であり子供の御伽噺と言っても過言ではない。)
そうであっても、貴様は信じ、その修羅道を進むというのか。
(だが、意外にもこの男は無下にはせず、問い掛け直した。その真意は鎧の中に潜む深淵のみぞ知る―――。)
ウィータ・モーテル 2020年7月3日
「(まー、僕らやオブリビオンは、滅殺されるのが妥当だね。でも、ウィータは、あの輝きはホンモノだ)」
(あなたの言の葉を聞き、ウィータは頷き、両手を、水を掬うような形にして)
"数多の命と私の命、繋げて灯す、命の糸"
(そこから白い光が溢れていく。それから、ウィータは真っ直ぐあなたを見て)
"私は、信じる。この灯火がある限り、奇跡も、死せるものの救いもあると信じる。それが、死を誘う救い手、ウィータ・モーテルだから"
ヴァルトール・ブラックモア 2020年7月3日
――――。
(光を見た。眩く、美しく、見た者を感嘆させる輝かしい純白の光。)
(だがそれは、男の奥底に眠る"負の感情"を黒く燃え上らせる火種であった。)
…それが、人を、猟兵を、世界を―――今この場で余を敵に回してもか、小娘。
(瞬間、空間が歪む。)
(魔人の放つ覇気が、威厳が、畏怖の存在感が黄金の光となり、そう見せている。)
(美しいのに悍ましく、暖かいのに冷寒で、金色なのに漆黒な、陽の昇らない世界を照らす狂気の太陽。)
(黄金の鎧から放たれる、彼女の持つ光とは正反対の粛清の煌きが、今この部屋を恐怖の烈日に変えている。)
『今一度問う、ウィータ・モーテルよ。貴様の覚悟に、間違いはないのだな。』
(まるで断頭台の刃のような重く鋭い一声。魔人は、彼女の返答を待っている。)
ウィータ・モーテル 2020年7月4日
"──っ!"
(激しく、冷徹で、その場にいるだけでも焼けてしまいそうな光。しかし、それを受けてもなお、無表情の青い瞳から垣間見える意思は変わらず……)
"私は、みんなを死なせてしまった時から、ずっとこの覚悟は変わらない!!"
(祈るように、心から叫ぶ。黒猫はあなたの動きに注視しているようだ)
ヴァルトール・ブラックモア 2020年7月5日
(向けられた青瞳の奥を見つめ、男は―――)
…フハハハハハ!よもや、これほどとはな―――!
(大声で笑った。豪胆に、磊落に。それは嘲笑などではなく、賛美と歓喜が入り混じったものだった。)
いやはや、年甲斐もなく少々気ぶりすぎてしまったようだ。許せよ、何分貴様らのような者と出会ったのは実に数十年ぶりでな。
(先ほどの異様な空間など最初から無かったように、城内は元の静寂さを取り戻す。)
(まるで全て冗談だったかのような振る舞い。事実、この男は試したかったのだろう。)
(とはいえ度が過ぎている。その上、どうやら気に入った素振りまで見せる始末。はた迷惑も良い所だ。)
(元より、この男は手を出せなかったのだ。光在る者に私怨はあれど、美しいと感じたことは事実。絶対者であるが故にその感情を否定し粛清などできようはずがないのだ。)
ウィータ・モーテル 2020年7月5日
"……よ、良かったぁ…?"
「あーのーさーあー! ほんとに敵対するかと思ったじゃん!! 酷いなぁ! ウィータをこんなに怖がらせちゃってさ!」
(安堵のため息をつくウィータと違い、ユランは机にひょいと乗っては、抗議をするべく、片方の前足をあなたに向けている)
ヴァルトール・ブラックモア 2020年7月5日
余に畏怖するは当然の事よ。が、窮鼠は真に猫を噛むのか少々気になってな。うむ、その通りであったな。
(上手い事言ったような得意げな雰囲気を出し黒猫に返答。本当にどうしようもない。)
(では尻尾を巻いて逃げたならば―――言うまでもない。)
その大願は粛清の対象に成り得るが、余は貴様の行く先に興味がある。
絶対者である余を否定してみせよ。余は貴様らを激励し、歓待し、最大の障壁となってみせよう。
(この男は自分が頂点から落ちることはないと本心で思っている。が、彼女が見せた光にほんの僅かの可能性を許容した。些細ではあるが、この男にとっては大きなことであった。)
―――ほう、雨も止んだか。随分と話し込んでしまったな。
ウィータ・モーテル 2020年7月7日
「……」
(窮鼠猫を噛む、まさにそうだ。そうしてやりたい所だった。色々と物申したいところだったが、言ったところで未遂なのだ。手出し口出しはもう要らないのだ……)
"えっと……は、はい……?"
(半ば、あなたの言葉の理解がいまいち至らなかったのだろう。何故あなたを倒さねばならないのだろう、だとか少し首を傾げるも、とりあえず頷いた)
"あ、ほんとだ。雨が止んでる"
(光が差し込んで来ているのを見て、ウィータは呟く)
「ウィータ、それじゃあ雨宿りも出来たし、そろそろ出発しない?」
"そ、そうだね。準備して、行こっか。その、お世話になりました!"
(1人と1匹は、荷物を持って、あなたの城から出ようとするだろう。先にウィータ、後からユランが付き添う形だ)
ヴァルトール・ブラックモア 2020年7月8日
まぁ待て、そう急いては事も為せぬぞ。
(城を出ようとする少女たちに声をかけゆっくりと腰を上げる。)
此処は城にして迷宮、下手に動けば出られなくなる仕組みだ。余の退屈凌ぎに付き合った礼に、出口まで転送する褒美を下肢しよう。
(入るのは容易いが出ることは困難なのがこの魔城。許可を得ずには出られない仕組みになっている。)
(つまりはこの男、勝手に付き合わせて満足いくまで帰す気がなかったという訳だが…。)
(そしてゆったりと歩み寄りながら男は少女にあまりにも唐突な要求を投げかけた。)
最後に頼みがあるのだが――――黒猫、ユランを撫でても構わぬか。
ウィータ・モーテル 2020年7月8日
"え、あ、そうだったんだ……"
「誰もいないお城を迷宮にしてるって……いやまぁもう僕は驚かな──は?」
(帰る間際の言葉に、黒猫はやれやれという様子だったが、あなたの最後の言葉に硬直する)
"えっと、ユランが良いのなら……"
「いやいやいやいやいや!? いくら僕が可愛らしい黒猫とはいえ……」
"最後くらい、いいじゃない?"
「えぇ……もう、仕方ないなぁ」
(色々と反論があったようだが、ウィータはその場で待ち、ユランはあなたの傍に寄るだろう)
ヴァルトール・ブラックモア 2020年7月9日
実は愛猫家でな。愛らしいものは慈しみたくなるだろう?
(姿勢を降し、そのまま歩み寄った黒猫の背を撫でる。特に不快感を与える訳でもなく、かといって手馴れている訳でもない手つきで。)
(そして耳元で――――。)
…獣よ、余は貴様の漆黒の毛並み、紅い瞳、滲み出る『臭気』、全てが忌まわしい。
牙を剥き光に翳りを見せる存在なら、余は貴様の首を跳ね落としに参る。愛玩動物として振舞うことだな。『好奇心は猫をも殺す』、努々忘れるなよ。
(憎悪に濡れた声で囁いた。それは黒猫にしか聞こえない小さな声ではあったが、今まで見せた彼の行動の中で最も激情に駆られていた。)
(正体を見破った訳ではない。だが、彼はこの黒猫に何かを見て、何かを重ねたのだ。)
(そして、至近距離なら気づくだろう。鎧の深淵から、どろどろと腐り落ちた泥の如き漆黒の液肌と、赫く爛れた瞳が蠕動している様子を。)
ウィータ・モーテル 2020年7月9日
「……にゃはは♪」
(動いている猫にしては体温は無い。ユランは大人しく撫でられて、あなたの言葉を聞いては黒猫の瞳は妖しく煌く。そして、あなたにだけ聞こえるような小さな声で)
「おっかないなぁ♪ ウィータには、約束した事を破らない限り手出ししないし、君のこととか今は興味無いから安心して?
あ、君の独特の考え方とか、面白かったけどね♪」
(まるで憎悪をものともしないどころか、心底愉しそうに笑い)
「僕を殺りたくなったら殺りに来ていいよ? その黒の憎しみに足掻く心は、嫌いじゃあ無いしね」
(深淵から見える黒と赤に笑いかけてから、思い出したのか、ふわりと殺気を浮かべて)
「あぁでも、ウィータの輝きは僕が先に見つけたんだ。君こそ、ウィータに何かするのなら、僕だって黙っちゃいないよ。……努々、忘れないでね?」
(最後にそれだけ言って、にゃーん、と鳴くだろう)
ヴァルトール・ブラックモア 2020年7月9日
矮獣は鳴き声も聞くに堪えんな。―――次は潰す。
(撫でる様な殺気に対し、鋭く、重く、苛烈に返す。先ほどまでの悠然な黄金公爵は何処にもいない。)
(見透かされていた。弄んでいたようで、その実、弄ばれていた。憤りはあるが、荒事に持ち込めば『かの光』を失う可能性もある。その最後の防波堤が男を踏みとどませた。)
(恋焦がれる者は同じ。しかしアプローチが違う。故に相いれない。)
(撫でる手を止め、すくと立ち上がる。そしてまた余裕綽々とした態度を振舞う。)
…うむ、満足した。随分、珍しい猫だな。中々どうして、『興味深い』
(声色も立ち姿も威風堂々、先ほどまでと変わらない。一点、撫でた腕を鉄槌の如く握り固めていること以外は。)
ではそろそろ準備に取り掛かろう。ウィータよ、余は貴様に問うてばかりだったが、最後に余に申すことはあるか?
ウィータ・モーテル 2020年7月9日
「にゃは♪」
(普通の人なら、竦むような一言に愉しげに返す黒猫。立ち上がる様子に、こちらも踵を返してウィータへと歩んでいく)
"……え、あ、えっと"
(何を話していたんだろう、そう思うも彼女が知る由もなく。
帰ってきた黒猫が、とても愉しそうにしていることに少し首を傾げては急に問われたことに対し暫し考えて)
"その、またここに来ても良いですか? 迷宮になってるという、このお城も見て回りたいかなと思って……"
(ダメでしょうか? と無表情ながら首を傾げて問いかけてみる)
ヴァルトール・ブラックモア 2020年7月10日
全く、恐れを知らぬ娘だな。此処にまた訪れたいなどとは。
うむ、よかろう。余は貴様を気に入った。故に、いつ何時、好きに参ればよい。
(少し呆れた様子だが、その願いを聞き入れた。やはりこの男には珍しく、他者を気に入っているようだ。)
ウィータ、余とは異なる光を持つ者よ。余は頂点の座から貴様の救済を道どけさせてもらうぞ。
貴様のその瞳は蒼玉が如く。その意味、その輝きを濁さぬことだ。
(それは激励であり呪詛。少女の行く道を案じ、輝きを失うことを許さない。)
(幾分かは認められても魔人の本質は変わらず。彼の中では美麗でなければ価値がないのだから。)
(蒼玉―――サファイアの意味は慈愛、誠実、そして成功。彼なりのジョークだろうか。)
―――貴様らに黄金の輝きが在らんことを。
(指を弾き、城内に音が木霊する。)
(その音を聴けば、瞬きの間に城門へと転移するだろう。)
ウィータ・モーテル 2020年7月11日
(また来てもいい、その言葉に、無表情ではあったが満面の笑顔を浮かべたような錯覚を見せ)
"本当? うれしい! ありがとう、ヴァルトール!"
"そう、ぎょく……うん、私、たくさんの人たちを、魂を、オブリビオンもいつか必ず――"
(――助けるから。そう言い終わる前に転移させられたらしい。去る間際まで、蒼の瞳は煌めいていただろう)
ヴァルトール・ブラックモア 2020年7月11日
…余も老いたものだ。小娘の大言壮語に美を見出すなど。
(静寂を取り戻した城内で一人ごちる。此度の行動は老衰が招いたと決めつけて。)
(このような者を見たのは初めてではない。夢半ばに力尽きた者、諦め輝きを曇らせた者、そして邪道と粛清された者。夢想家たちは平和を目指し、砕け散ってきた。)
(彼女もまたその一人―――そう言い切れなかった事に対する嘆き。しかし、未だに胸を高ぶらせるものもある。)
中々興味深くはあったが、余とは相いれぬ者故、いつかは粛清せねばなるまい。あの醜悪な猫諸共に。
―――まぁよい。まだその時ではない。奴の煌きが陰りを見せた時、余の黄金が『真の光』と証明されるのも事実。
どちらの輝きが眩いか、見物させてもらおうではないか。フハハハハハハ―――。
(寂寞とした城内に独り言が響く。されどかき消す雨音はすでになく。)
(陽の昇らぬダークセイヴァーで、魔人の胸中は高揚の陽光に満ちていた。)