ひまちゃんの黒歴史ノート
夢咲・向日葵 2019年7月10日
ここはひまちゃんの頭に思い浮かんだことをつらつらと書き綴るコーナーだよ。シャチえもん、他に何か説明することある?
鯱:えっ、ないんじゃないかな?
蘭:っていうか、黒歴史ノート公開して平気なんですの!?
蛇:なんの集まり何だよ…これ
特にないみたいなので早速始めまーす
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パリジャード・シャチー 2020年1月20日
その様子を見て不憫に思ったうちは、純恋の面倒も見ることにした。才能のある子が、環境によって潰されるのを見るのはしのびないなぁというか勿体ないなぁと思ったからだ。
パリジャード・シャチー 2020年1月20日
絵里香が7歳、純恋が5歳になった頃、姉妹は共同生活をすることになった。
純恋は絵里香にすぐに懐いた。
2歳上に神様を宿せるほどに優れた巫術の才能を持つ姉がいると聞いて興味を持っていたという事もあってか、絵里香の後ろを楽しそうにひょこひょことついて回っていた。
神宮寺・絵里香 2020年1月20日
一方の絵里香の方は非常に困惑をしていた。
自分を「絵里香お姉ちゃん」と呼ぶ小さくてニコニコしたものがずーっと後ろについてくる。
それは今までにない体験だった。
パリジャード・シャチー 2020年1月20日
絵里香というか、【白蛇様】の方もグイグイ来るタイプは今まであまりいなかった所為か、最初は非常に困惑をしていた。
うちはそれを見ているのが楽しいから、どんどんと純恋をけしかけていった。
パリジャード・シャチー 2020年1月20日
純恋はとってもタフな子だった。明るくて前向きで諦めが異様に悪い。
とても強い子だとうちは思った。ああ…これならば、神様の力なんて必要ない。彼女は自分の力で自分の道を切り拓ける子だとそう思った。
パリジャード・シャチー 2020年1月20日
まあでも、それ故に神様の力を宿す【巫術師】の才能がないと言うのはまあ皮肉よね。彼女の器には彼女の自身の才能が満たされていて、神様の力が入る余地なんて少しもなかったってことなんだから。
そのことに純恋が納得するのに20年以上かかったのは別の話。
パリジャード・シャチー 2020年1月20日
ま、そんなこんなで姉妹が交流するようになって1つの変化が現れてきた。
神宮寺・絵里香 2020年1月20日
それは自我の目覚めだった。【白蛇様】という枠組みの他に、【純恋の姉の絵里香】という枠が生まれたのだ。
それは大きな変化であり、神宮寺絵里香という神の子が、漸くヒトの子へと変わった瞬間であった。
パリジャード・シャチー 2020年1月20日
そこから絵里香は変わった。
不器用なりとも姉であろうと頑張るようになったのだ。
「姉」という役割がどういうものか分からないが、分からないなりに妹の純恋と向き合い、とりとめのない話をするようになった。
話をするのは主におしゃべりな純恋の方が中心であったが、そういった話の中で絵里香は少しずつ人としての振る舞い方を学び、ちょっとずつ人間に近づいていくのであった。
パリジャード・シャチー 2020年1月20日
純恋が絵里香の奇行に振り回されて目を回し、絵里香が純恋の強情さに溜息を吐く。
そうして姉妹は少しずつ成長していく。
互いを思いやりつつ、時には酷い姉妹喧嘩をしながら。
彼女の達は成長していく。
夢咲・向日葵 2020年1月20日
まあ、そんなこんなで師匠のお話、その①は終了だよ。
オルキテ・タンプル 2020年1月30日
カタカタカタと電脳魔術で創り出したキーボードをリズミカルに打鍵する音が静かな部屋の中に響いている。
どうやら何かプログラミングでもしているらしい。
この部屋の持ち主であり。カタカタ音の主である少女は、モニターとにらめっこをしていた。
オルキテ・タンプル 2020年1月30日
「Merde!!(クソっ)またバグが出たよおおお!!!あああ!!やり直しだああああ!!」
特注したリクライニングPCチェアの背もたれに体重をかけて天井を仰ぎながら、青髪の少女が悔しそうに大声を上げる。
オルキテ・タンプル 2020年1月30日
どうやらプログラミングは中々難儀しているらしい。
彼女が大声を上げるのはこの1時間の中でも三度目だ。
オーキッド・シュライン 2020年1月30日
「五月蠅いですわよ、オルキテ。はしたないから大声を上げるんじゃありませんわ」
オルキテと呼ばれた少女の背後から咎めるような声を発するのはオーキッドだった。
彼女は、ベッドを椅子の代わりにして読書をしているようだった。
オルキテ・タンプル 2020年1月30日
「良いだろ、別に。ここはボクの部屋だし。っていうか、本読んでるなら、自分の部屋で読めばいいじゃん。何でボクの部屋にいるのさぁ?」
オルキテは、クルリと椅子を回転させてオーキッドの方に向き直ると、手元の電子書籍に目を落としているオーキッド目掛けて文句を言い放った。
オーキッド・シュライン 2020年1月30日
「それは決まっていますわ。喫茶店のお仕事がお休みで暇なので、暇つぶしですわ。ここなら時間つぶしには、難儀しませんしね。電波もすごくいいので快適ですし」
オルキテの言葉を軽く受け流すと、笑顔でオーキッドは返す。
いつも通りのやり取りだ。彼女がここに越してきてから、何度目のやり取りなのかは、最早覚えていない。
オルキテ・タンプル 2020年1月30日
「Putain !」
そしていつも通り、フランス語で罵倒をするオルキテ。
あまり使うべきではないスラングではあるが、まあこの2人の関係性なら問題はないだろう。
オーキッド・シュライン 2020年1月30日
「はいはい。それで、今日は何の悪戯をしてますの?」
オルキテの罵倒をスルーしたオーキッドは、オルキテの作業内容を尋ねた。
オルキテ・タンプル 2020年1月30日
「悪戯じゃないって。真面目な仕事だよ。ま、あれだ。電霊の成長補助プログラムさ。処理が早く、独創的な考えを持って、なおかつボクに従順な電霊に育つように仕向けるためのプログラムだよ。ま、最近ちょっと仕事を始めたからね、強い手札は欲しいじゃん?」
ホロモニターに情報を映し出しながら、説明をするオルキテ。
グリモア猟兵としての仕事も何回かこなしている所為か、こうした説明についてはかなり手慣れている。
オーキッド・シュライン 2020年1月30日
「へぇー。珍しく真面目な仕事をしてますのね。ちょっと感心しましたわ。てっきりまたしょうもない悪戯の為のプログラムを組んでいるのかと」
オルキテ・タンプル 2020年1月30日
「しょーもない悪戯とか言うなよ。まあ…否定はしないけどさ。しかし…さっきは本当にヤバかった。まさか…バグって暗黒進化しかけるとは…」
危うく自己進化、自己複製を繰り返す最悪な電脳悪魔を世に放つとこだったと、冷や汗をかきながらオルキテが告げる。
オーキッド・シュライン 2020年1月30日
「あ…暗黒進化。何ていうか…ほんと、自重しなさいよ、貴女。わたくしたち、そっち関係強くないので何かあってもフォローできませんからね」
オーキッドはどうせ無駄だろうなぁと思いつつも、オルキテに対して一応釘を刺しておく。
オルキテ・タンプル 2020年1月30日
「分かってるさ。ってかネット使えなくなったらボクが一番困るしね。いや‥マジで。それは、電霊達も…多分分かってる筈さ。多分ね」
オーキッド・シュライン 2020年1月30日
「ならばよろしい。さて、わたくしはちょっと厨房の方に行ってきますわね」
そう言うとオーキッドは、腰掛けていたベッドから立ち上がると。タブレットを棚の上に置いて、部屋の入り口の方に歩いていった。
オルキテ・タンプル 2020年1月30日
「ん?夕食の準備かい?今日はシャチが向日葵に料理教えながら一緒にやるって言ってなかったっけ?」
不思議そうに首を傾げながら、部屋の扉に手をかけたオーキッドの背中に向けて声をかける。
オーキッド・シュライン 2020年1月30日
「真面目に仕事をしているみたいだし、暇つぶし…じゃなくて、差し入れでもしようかと思いましてね。ちょっとおやつでも作ってこようかなと」
体を捻ってオルキテの方に顔を向けながら、オーキッドが答える。
オルキテ・タンプル 2020年1月30日
「おおー、珍しく優しいじゃん。そんじゃあ、何かコーヒーに合いそうなものを頼むよ。何だかなんだ、長期戦になりそうだし」
オーキッド・シュライン 2020年1月30日
「はいはい。分かりましたわ。コーヒーに合うものですわね。では、喫茶店に出そうとしている試作メニューでも作りましょうか。一人で全部食べ切るのは…あれでしたしね…」
ガチャリとドアノブを捻って外に出ると、ブツブツと独り言を言いながら厨房の方へと歩いていく。
今、彼女の頭の中には、作ろうと思ったが毒味(あじみ)役が居なくて断念していた沢山のオリジナルレシピが浮かんでいるのだろう。
オルキテ・タンプル 2020年1月30日
「‥‥大丈夫なのか?本当に…。ま、いいか。ボクも作業に戻ろうっと。さて、今度こそ、ちゃんと電霊を進化させられるプログラムを組み上げるぞ」
オルキテは扉を潜り廊下へと出て行ったオーキッドの姿を確認すると、先ほどまで作業をしていたモニターの方へと体を向ける。
オルキテ・タンプル 2020年1月30日
「では、作業開始だ」
そして、オルキテ1人になった部屋の中に再びホログラフィックキーボードを打鍵する音がカタカタと響きだした。
今度こそは何となくうまく行きそうだ。そんな感じの予感を抱きつつ、彼女の白く長い指はキーボードの上を踊り、複雑な計算式をモニターの上へと書き記していった。
夢咲・向日葵 2020年1月30日
「ひまつぶし」終了なのよー
神宮寺・絵里香 2020年6月14日
「なあ、アイツ…なんかあったのか?」
絵里香がテーブルの上で片肘をつき、左手を顎に当てながら呟いた。
夢咲・向日葵 2020年6月14日
「うん?アイツって、誰なの?」
神宮寺・絵里香 2020年6月14日
「爛華の馬鹿だ。なんかアイツピリピリしてねえか。ってか、作る飯の量が無駄に多いんだが…」
夢咲・向日葵 2020年6月14日
「あー…確かに。なんか最近、ご飯の量増えたかもしれないのよ。なんでだろ?ってか、喫茶店とかで出すようなメニューが増えたよね。洋食中心?みたいな?」
ここ最近のメニューを思い出しながら向日葵が言う。
今朝もトーストにコンソメスープとサラダにコーヒーだった。朝食は基本的に和食な白蛇の社では珍しい。
神宮寺・絵里香 2020年6月14日
「別に朝飯なんてなんでも良いんだがな。別に和食、洋食のこだわりはないし。海外生活も長かったからな…。ただ、うちで量食う奴は、向日葵とアイツくらいだからな。オレもシャチもオルキテも全員小食だしな…」
夢咲・向日葵 2020年6月14日
「確かに、師匠はご飯あんまり食べないもんね。その分、お酒飲んでるけど。ひまちゃん的にはちょうどいいくらいの量だと、ちょっと多いか」
うんざりと言った顔をした師匠の顔を見ながら向日葵は笑顔で言う。
シャチえもんが溜息をついていた偏食ぶりは健在だ。
神宮寺・絵里香 2020年6月14日
「オレの食う量はどうでもいいんだよ。んで、お前は何かアイツから聞いていないか?」
夢咲・向日葵 2020年6月14日
「特に聞いてないのよ。お料理当番がなくなってやったーくらいしか思ってなかったのよ」
オーキッドお姉さんから話を聞いたときは、料理当番がなくなってやったーとしか思っていなかった。
特に理由とか気にしてはいなかった気がする。
夢咲・向日葵 2020年7月6日
「ま、分からないなら、知ってる人に聞けばいいのよ」
丁度いいタイミングで台所を通りかかった空色の髪の少女へ向日葵は声を掛ける。
「オルキテちゃん、丁度いい所に来たの。ちょっと聞かせてほしいことがあるのよ」
オルキテ・タンプル 2020年7月6日
「ん?ボクを呼んだ?‥‥って何だい2人して?いつもの修行はいいの?」
オルキテは声の聞こえた方へと向き直ると、怪訝な顔で絵里香と向日葵の顔を見る。
いつもだったらこの時間は境内で修行と称した格闘戦をしていた筈だ。
神宮寺・絵里香 2020年7月6日
「最近、爛華の馬鹿がイライラしている理由を知っているか?」
ぶっきらぼうな口調で絵里香が尋ねる。
因みに機嫌が悪いという事はない。目つきの悪さも口調の粗っぽさもただの素だ。
夢咲・向日葵 2020年7月7日
「イライラしちゃって左腕がメラメラで気温がアチチなのよー。ついでにご飯の量も増し増しで‥‥ひまちゃんがさらに大きくなっちゃうの」
白蛇の社は常春になるように気温が設定されているので、基本的にうだるほど暑い…という事はないがオーキッドお姉さんがいると気温が上がって夏っぽくなる。機嫌が悪くなると夏日になるので大変だ。
まあ、向日葵自体は夏の暑さが嫌いじゃなく、割と暑さにも強い方なので平気ではある。
だが、ご飯の増量はダメだ。小食な師匠とシャチえもんの分が向日葵に回ってくるため、おかずもご飯も増える増える。
成長期で運動量も豊富と言っても限度がある。このままだと太ってしまい、乙女のピンチが危ないのだ。
運動量(修行)の増加?無理なの。死んじゃうのよー
オルキテ・タンプル 2020年7月7日
「ん?ああ、何だ。そんなことか。聞いてなかったのか。それならば知ってるよ。オーキッドの奴に散々愚痴られたからね…」
遠い目をしながらオルキテが言う。
どうやらえらく長い時間捕まっていたようだ。よっぽどのことがあったのだろうと推察される。
オルキテ・タンプル 2020年7月7日
「ま、一言で言うとだ。オーキッドの職場の喫茶店が上司の思い付きで綺麗さっぱり消滅した。それに対してオーキッドマジギレ。それだけだよ」
さっくりと要点を掻い摘んでオルキテが告げる。
内容は戦争後に起った喫茶店オリュンポス(HE店)消滅事件のことだ。
夢咲・向日葵 2020年7月7日
「えっ、あのお店なくなっちゃったの!?何で?赤字だったの?」
目をぱちくりとさせながら向日葵は驚嘆の声を上げた。
世界征服という物騒な言葉があちらこちらにあるのと、たまにどったんばったん大騒ぎする以外は、普通の喫茶店でそこそこお客さんもいて、オーキッドお姉さんが厨房に立っていたこともあり、それなりに味は良かった筈だ。それが急に潰れたなんてびっくり仰天だ。
オルキテ・タンプル 2020年7月7日
「いいや。そんなことはないよ。寧ろ、もっとお客さんを呼び込もうと色々と改造することも視野に入れていたみたいだしね。オーキッドの奴も張り切って戦争中に宝物探してただろ?」
首を横に振りながらオルキテが告げる。