2
【ヴェレーノ様】蝶姫の羽搏く座敷國

ミコト・イザナギ 2022年2月2日

――…神隠し。
一瞬にして、世界の気色は入れ替わるだろう。
アナタがいた日常の色から、八百万の神々も訪れる夜の座敷へと……――

そうして現れた蝶へと仮面越しに視線を向ける。
いや、追ってしまった羅刹。

“興味がある?”

ただの一言、それに対しての返し唄は彼の心を擽った。
気に入ったのは世界だけではなく、この天狗面とて同じ。

さあ、今宵の蝶はどのような羽をお持ちだろうか。

彼の胸中は、それに心惹かれ始めていた。


*ヴェレーノ・マリス様との語り場の為、他の方の発言は厳としてご遠慮くださいませ*




2





ミコト・イザナギ 2022年2月2日
そのようなのです。
大層、酷い目に合わされたのだとか。
獣心人面の生き物が大層苦手なそうで…。
ま、人間なんてそんなものです。
戯れに蝶の羽を毟るなんて惨いこともするのですから。
(人間以上の怪力を持っているから上位種だ、なんて陳腐な驕りの気配なしに言ってのける天狗面。ただ事実を述べていると言った風体だ)

あ、今の、オレが喋ったというのはないしょにしてくださいね?

――はい、昔から使っているようで。
今では此処に来る神様方の狗としても使い走りをしております。
天狗ですからね、神様の遣いの真似事をしてますよ。
おかげさまで年中無休で神隠しに合っております。
(肩を竦めて掌を見せる仕草。まんざらでもない様子――に、流されがちだが、可笑しな物言いにアナタは気がつけるだろうか)

ともあれ、どうぞ奥の間へ、ご案内いたしますよ。
(さあ、と座敷の戸を開け、中へと誘う)
0
ヴェレーノ・マリス 2022年2月2日
それはそれは。
彼の存在は、いつの時も苦痛が伴いますわね。
…ふふ、仰る通り。
私が世に零れ落ちた頃は、よく彼らの蒐集品になりかけたのを思い出しました。ある日、片翅をピンで穿たれた時はうっかり…皆、食べてしまったものですが。
(冗談かも否かも分からぬ、あくまでも無邪気な声色で微笑を浮かべながら)

内緒話でしたか?…そうですね。うっかり口を滑らせ、私も休み処がなくなってはいけませんし、ね。

それは随分と…天狗と謂えど神々に好まれているのですね?
年中無休の神隠し。遣いが為に引っ張りだこというだけではないのかしら。
…例えば数多の神の寵愛を無意識に賜っている、とか。
(含みを持たせた言葉。極々自然なトーンで紡ぐ。まるで世間話をするように――しかし、そんな天狗への好奇心は隠せなかったかも)

では、案内をお願い致しますね、天狗様。
(ふわり…蝶は花のように甘い香りを揺らしながら歩を進め。誘う彼についてゆこう)
0
ミコト・イザナギ 2022年2月2日
ええ、あの神様も苦労なされているのです。
それはさて置きまして…。

おや、それは大変だ。蝶は美しいが故に狙われ、儚いが故に目を付けられ…。
心中お察しいたします。けれど、食べてしまいましたか。それはそれは、――残念。
(冗談話を真に受けたような言葉を零すが、口許には一瞬だけ鋭さを光らせた、柔和な笑みを浮かべ)

その時はどうかお構いなく。
既に口を滑らせてしまっているオレが口を出す事もありませんので、ふふふ…。

好まれているのか、はたまた、疎まれているのか。
オレにはさっぱりですので、文字通り神のみぞ知るといった所ですよ。
さて…それはどうでしょうか。オレは尻軽なのですぐ鞍替えしてしまう性質。
我が身あってこその御使い、我が身あってこその闘争心。
(涼し気に笑う癖に、不穏な気配が滲み出てしまうのは、態とか無意識なのか。恐らく、当人にもわかるまい。わかる事は、この麗しの胡蝶は己に関心を寄せているという感覚だけ、だ)
0
ミコト・イザナギ 2022年2月2日
…ええ、喜んで――。
(傍に、近くにへと歩みを寄せたヴェレーノから漂う甘い薫りに、ほくそ笑む。
ただ無暗に垂れ流している訳ではない野花の薫りは、だからこそ――危うい魅力があった。
前を歩き出す天狗面には、好奇心を擽る予感で笑みが滲みっぱなしだ

――ほどなくして、座敷奥にある小さな個室へと案内する。
枯山水の庭園が一望できる部屋。内装は和風と中華圏の象徴である赤と白を基調としながら、椅子が据えられたもの。俗に、オリエンタルと呼ばれる類の装飾で飾られた部屋であった。)

直ぐお茶を用意しますから、おかけになってお待ちください。
あ。ところで、好みのお茶はなんでしょう?
紅茶? 緑茶? それとも珈琲? なんならホットワインとか、取り揃えてますよ。
0
ヴェレーノ・マリス 2022年2月5日
(――残念。そう笑う彼の口許は、とてもそんな風には見えない。ならば、その言葉は違うニュアンスを含んでいるようで。それがまた面白いと感じたなどと。)
…そう。きっと、今頃は――生ける屍になっているのではないかしら。私が食すのは、生ける者の”ココ”にあるものですから。
(とん、と自らの胸元に手を当てて。含む言葉は勿論”心臓”というわけではなさそうだ)

まあ。そうしたら、その時は…共犯ですわね。
(ならば、その時は共に叱られてしまうのだろう。――教えられたくなかった”主”に)
0
ヴェレーノ・マリス 2022年2月5日
なるほど。――或る意味では、神が好みそうな…或いはその逆か。
彼の存在がちょっかいと謂うものをかけたくなる性質な気がしますわ。
神様というのは、私の知る限りでは…そうやって移ろいやすい方に構いたくなるもの。
現の者の大半は呆気なく信仰と云う心を見せる。そんな飽いた者には目もくれないでしょう。
ですが、稀なる者に対しては――時に残酷までに興味も狂気も示します。
故に神隠しなんていう現象を起こす…事もあるのでしょうね。
…貴方が何故、我が身に曖昧な事も仰るのか。その理由もきっと神の御心に紛れているのかしら。
(緩く揃えた指先を口許に当てて。彼の纏う気配に愉しそうに綻ぶ唇)
0
ヴェレーノ・マリス 2022年2月5日
(花と共に生きる蝶は常に優雅に甘く薫る。
然しながら、その香をただの蝶のそれと思ってはいけない。
まるで獲物を誘き寄せる蜘蛛の巣のような危うさを――嗚呼、彼ならば薄らと気づいているのだろか。

案内されて通される一室は、なんて趣きのある内装だろう。
庭園の雰囲気を一切損なう事のない赤と白のその空間は、自然と目も心も惹かれる魅力があった。
一瞬と見惚れていたけれど、彼の声ですぐに視線を其方に向ける)

まあまあ。種類豊富に揃っているのですね。そんなに種類が多いと何をお願いしようか迷ってしまいますわね。
(そうですねぇ。と顎元に指を添えて考える。そうして少々間を空けてから決めたのは)
では、折角ですからホットワインをいただいても?
…なんて。実はそういった飲み物をあまり口にする事がないので興味がありますの。
(ふふりと笑う姿はまるで大人とは思えない少女のそれ。新しいお菓子を見つけたような、そんなあどけなさを滲ませる)
0
ミコト・イザナギ 2022年2月26日
(事実は彼のみぞ知る――なんて言うほど、深い意味は無い。ただ、美しいものを穢す真似をする輩に鉄槌を…なんて真似事で甚振る。そんな理由だ。普段は遊びの無い傾奇者ではあるが、そういう話を聞けば可逆に走りたくもなるのは、生来の気質か悪癖に違いなく。)
……ああ、なるほど、人の鼓動、胸の高鳴り、遠くから押し寄せて来る稲妻、胸の内を喰らい尽くすのですか。
(意味を察して、謳うように饒舌になって行く。機嫌のよさは弥増していく。)

共犯、共犯ですか。ふふ…それは、なんて――甘美な響き。
(瞼を薄めてほくそ笑む。仮面に隠れていようと、悟られてしまうだろう喜色を露わに、呟く。)
0
ミコト・イザナギ 2022年2月26日
ええ、神もまた千差万別。まっとうに正義な神も入れば、存在するだけで厄災になって悲しむ悪心もいます。ふふ、フフフ…。オレの場合、移ろいやすいというよりは、玩具にされてあちこちを彷徨っている神隠しの申し子に外なりません。アハハハ!
(そうして、確信めいたものを感じる指摘に、彼は三日月の笑みを口許に浮かばせ。)
――我が身は借り物ゆえ、致し方ないのです。身体も、記憶も。他人のモノ。初めから自分のモノではないもの。

(――無論、気が付いている天狗面。その上で、その危うさを好むのだ。普通の、平々凡々を貶めるわけではない。むしろ、良しとさえしている。だが、それでは足りないと感じている本能には逆らえない。)
0
ミコト・イザナギ 2022年2月26日
では、ホットワインを。
そうなのですか、意外です。似合うでしょうに。
(ぱん、ぱん、と掌を叩けば、――小さな円卓の上に布の被った何かが唐突に表れて。布を退ければ、口から湯気の上がるポットとグラスが二つ。)
さあ、こちらへ…――語らうなら、椅子に腰を据えて。
0
ヴェレーノ・マリス 2022年2月26日
(饒舌さを増していく彼のご機嫌に、蝶はニコッと愛らしさを纏って笑いかける)
私、血肉には興味はないの。欲しいのはいつだって、人が胸の内に秘めるものだけ。もしそれが求められないと云うのなら、ただ…ただ、その命というものを花のように散らして差し上げるだけよ。
(まるで子供が玩具を捨てるような声色で、蝶もまた謳ってみせる)

あら、甘美だなんて。踏み外してしまったら、己が身が危ないでしょうに。
(ええ。彼の心が喜色に揺れている事、十分に伝わっている。共犯が甘美という彼は――私と同じくまともな人ではないのでしょう)
0
ヴェレーノ・マリス 2022年2月26日
禍津神…なんていう存在もいらっしゃますからね。しかし、神が厄災という存在になったというのなら、それは人が願った神の御姿でもありましょう…。人を忌み嫌う神々がいても納得ですわね。
…それは、それは。…神々の遊びにまんまと囚われてしまったのですね。借り物のあなた…身体も記憶も、他者のモノだというならば…今いる天狗様も一夜限りの存在になってしまうのかしら?それが自分のモノではないというのなら、真なる貴方はいずこにいらっしゃるのでしょうね?…それとも、元々真なんてなくて…貴方自身が神様より生まれしお人形さんなのかしら…。

(そうだとしたら…神隠しと称して彼を弄ぶ神々は、なんと罪深い事か。…否、拒絶を表しているわけではない。――なんて、面白い遊びを思いつくのだと、滑稽だと笑ってあげたくなった)
0
ヴェレーノ・マリス 2022年2月26日
普段は人の口に含む者はあまり食しませんからね。きっかけがないと、いただく機会が少ないのですわ。
(手を鳴らす彼に従って、円卓には魔法のように望む物が並べられていた。手品の類?ほんの少しだけ楽し気に目元が綻んだ)
…それでは、ほんのひと時…失礼いたしますわ。ミコト様。貴方のお話しをもっともっと、お聞かせくださいませ。
0
ミコト・イザナギ 2022年2月26日
あははは!
心の蜜だけを吸う――まるで中華の獏のような方なのですね、可愛らしいお方。(頭の中には丸っこい幻獣の姿。目の前の相手とは似ても似つかないが…夢という心を啜るのであれば、吸血鬼とも変わりないだろう。その後の物言いも、本心からだとすれば、人道から外れた上位種の感性と誉ゆえだろうか。ゆえに、興味深い――。)

フフ、だから良いのではないですか。
踏み外せば穴二つ。堕ちる相手がアナタなら、果てる間際も美しいでしょうから。
(――かつてはこうではなかったらしい、この躰。然し、今や夢物語。彼が味方するのは人外と個人だけ。霊長種なんて滅んでしまえば世界が平和だ、などと嘯く事さえ躊躇しない天狗に憧れた羅刹に他ならない。)
0
ミコト・イザナギ 2022年2月26日
ええ、その禍津神にオレは祝福されておりますよ。何でも、殺しても死なないように調整しただとかで、死ねないので――す………。
(今の今までよく滑っていた舌が唐突に止まる。表情も消え失せた。それはそうだろう。この天狗面の命題、宿痾、業をこうもあっさり言い当てた相手なんて――初見で言い当てた相手など、誰もいないのだ。もし、言い当てたとしたのならそれは、自分と限りなく近い思考か、冷徹なまでに達観した視点を持つ怜悧狡猾な人外だけだ。故に、そう、ならばこそ――、)

(次に浮かんだ笑みは燃えるような三日月だった。)
ええ、そうですよ、恐らくは、――オレがオレとして自我を持ってから今までの経験則上、神に弄くられて生まれたものだと判断しています。いやはや、よもやよもや、誰かに言い当てられようとは――だからこそ、交流は楽しい。
0
ミコト・イザナギ 2022年2月26日
(普段は人の食事に手を付けないと自称する彼女にへと、湯気の立ち昇るグリューワインをグラスに注いで振る舞う。)アルコールは抜けているから、純粋にワインの香りと味を楽しめる一品ですよ。喜んで貰えると自負しております。人以外にも、美味しいものはたくさんありますからね。味わって来たオレが言うのです、間違いはないでしょう。(軽快且つ能弁に語り始めると、最早この天狗面の口は止まらない。話を聞かせて欲しいなんて聞かれてしまえば、尚の事だ。)
いいでしょう、然し、何から語りましょうか。
オレの記憶はオレだけの記録だけにあらず、過去だけを語るなら最早別人のお話になります。
どうしましょうか、アナタは――どんな物語がお好きです?
悲劇?喜劇?長閑?刺激的?どれでも選んでくださいな、どれかをお選びくださいな。
0
ヴェレーノ・マリス 2022年2月26日
獏、ですか。ふふ、そう謂われるとそうなのかもしれませんわね。恐らく食糧概念は彼の獣と同じですから。彼らのように…お鼻は、長くないのですけどね?…人の心を覗き喰らうのです。食事の仕方は愛らしさの欠片もないのですけどね?(ぱちんと茶目っ気滲むようにウィンクして見せた。そう、人の心のみ喰らう、想い喰らいの蝶。それが、私。吸血鬼より優しく、獏よりも柔らかに…毒で蕩かして人を喰らう妖――)

それならば…最期の景色は一等美しくないといけませんわね。
いっそうのこと、神にこの命が手折られる前に…この身を花の如く散らす。そんな何処か夢の溢れる散り様が、貴方に似あう気がしますわ。
(神に絡めとられた天狗。神様が彼を突き落とした時、その命を横からかすめ取って散らす。さて、神様はどんなお顔でお怒りになるのだろう。ただただ穴に落ちて綺麗なだけなんて、つまらないでしょう?)
0
ヴェレーノ・マリス 2022年2月26日
(何度殺しても死なないように――。嗚呼、禍津神だからこそできる権能だろうか。まるで呪い授けるように、罪なき者に罪を与えるように。否、彼が罪なき者かは知らぬ過去だが。…暫し思考するように、蝶も考える仕草をするものの、饒舌な彼が唇を止めるとふと顔を上げた。この沈黙を、知っている。それは、そう――彼という概念の真の一端に、蝶の言葉が触れてしまったのだろう)

(毒彩満ちたアメジストの瞳が天狗を見つめていれば、次いで浮かぶは三日月か。返る言葉は――奇しくも蝶の言葉が恐らく正解だったという事か)
…あらあら。言の葉は紡いでみるものですわね。何処に正解が潜んでいるのか、紡いでみなければ分かりませんもの。…そうですか。やはり神の関心がままに生み出された存在。
…いえいえ、私もこんなにも愉快な方に巡り合えるとは。出逢いというのは何を齎してくれるのか、予想もつかぬところが愉しいわ。
0
ヴェレーノ・マリス 2022年2月26日
(注がれるグリューワイン。自称するだけあってか否か、目の前の湯気立つものに心なしか楽しそうに見ていて。毒彩の瞳がほんの少し無邪気に輝く)…ミコト様は、人の食事にはだいぶ慣れていらっしゃるのですね。私は人以外のものを食すとすれば純粋な花の蜜だけですわ。貴方が間違いないと言うならばきっと美味しいのかしら。(お礼を紡ぎつつ、グラスを手に取ってみる。香り…ワインが持つ独特な芳醇な風味が心を踊らせるのが分かる)
…そうですわね。…しいて言うのであれば、いまの貴方自身のお話しに関心が。今、私の目の前にいるのは、”アナタ”ですから。
……貴方がアナタになって、その生を愛おしいと感じた瞬間の物語が聞いてみたいですわ。…喜劇、悲劇…刺激…どんな内容になっても構いませんから。
ワインの豊かな香りのお供に、貴方の愛おしいと思った物語をお聞かせくださいませ。
0
ミコト・イザナギ 2022年2月26日
オレの果てが美しいものと…――はははっ、ああ、それはそうだと良いですね。
(諦観にも似た、達観が言葉に滲む。然し、彼の願望は終わりにはなく、今にある。己が己である事を刻んで果てたいという破滅願望。それは生きたいと思えば思うほど死に向かってしまう原種生物のようでもある。ある種の羅刹特有の先祖帰りやもしれない。だから、今は抑えてはいても、仄かに血と闘争心が滲む言葉遣いをしてしまっている。)

ああ、でも不死身ではないですよ?(――そこだけは押さえておかねばならぬと、思い立って彼は言う。)
痛いですし、実際に死にますし、年も取ります。ただ、真だと思った瞬間には"ユーベルコード「禍津神の玩弄」"で勝手に甦ってしまうのです。前より速く、前よりも強靭になって。何かを零れ落としてしまっていると危機感を覚えてしまう、黄泉路の坂道を帰る感覚。いついつだとて恐ろしい。ふ、フフフ…。
0
ミコト・イザナギ 2022年2月26日
オレの語りと美味しく合わさればいいのですが…――さて、ではお話を致しましょうか。
それにしても愛おしい、ですか。それはもちろん。
喧嘩や伽の出来る相手を見つけた時ですね。
オレ、実は、――話すのが苦手なのです。
(内緒ですよ、と唇に指を当てて)
0
ヴェレーノ・マリス 2022年2月26日
――ま。私の勝手な想像ですわ。…少しお遊びの過ぎる神様が、自分のお人形さんを予期せぬ手段で散ったらどういうお顔をするのか。見てみたかったよ。
(見てみたいという蝶の戯言。彼がそれを良しとするか否かなんて言の葉の感情が全てを語る。そんな浪漫に溢れたようなものよりも、きっともっと命震える刺激的なものを望むかも。それは彼の口から言われないと何とも言い難い応えではあるが)

ふむ…。不死ではないけど、甦る…とはまた不思議なユーベルコードをお持ちなのですね。死を感じたと思えば、流転する。生きる者として何一つ変わりがないのに、死から弾かれるだなんて。神様はどんな祝福を以って、貴方を掌から放さないのでしょうね。
(愛されている…だなんて、生温いものではないのだろう。一つに縛られぬ神が此処まで個に固執するなんて。その禍津神が特異なのか、それとも禍津神というのがそういう概念なのか)
0
ヴェレーノ・マリス 2022年2月26日
大丈夫ですわ。私が望んだ事ですもの。何をとっても、美味しく…このホットワインといただきますわ。(ふふりと無邪気に笑って見せる)
あら…お話しするのが苦手だなんて。そんな気配も出さないから、驚きましたわ。(内緒と仕草する彼を見つめながら首を傾げ)
唇よりも身で何かを表現する方が、貴方にとって好ましい事なのですね。
…言葉が苦手、という風には見えませんが…敢えて、何故?というのはお聞きしても…?(苦手という相手に問うなどと失礼かもしれないが。少しの好奇心を踏み出して、柔らかな声色で尋ねてみる)
0
ミコト・イザナギ 2022年2月26日
あはははっ! それはいいお遊びです。オレもいつか大逆転、下剋上を狙っているので、誰かに掠め取られないように気を付けないと。まあ、言葉にしてしまうと――■■■を、…おっと…この言葉は許されないようですね。(一瞬の言葉は得体の知れない不気味な響きとなって掻き消えてしまった。それを残念とは思わず、気にも留めず話を続ける。)

体のいい玩具であり、観測機械なんでしょう。神様というものはいつだって大きなもの。小さな物を見るには、それ相応に自身も小さくならなければならないのです――と、オレは考えます。だから、その変換器が、オレという器なのでしょう。
0
ミコト・イザナギ 2022年2月26日
葡萄も元を正せば花、植物ですから――害はないでしょう。(なんて言葉を贈る傍ら、その屈託のない笑みに惹き付けられる。そうか、これが蠱惑の毒。堕ちたら最後の、蝶の鱗粉。)

ええ、そうですよ。オレはね、ウソが嫌いなんです。間違えるのは良い。隠すのもよいでしょう。勘違いもありえます。けれど、恣意的な虚言というもの、裏と表のアベコベが激しいものが苦手なもので。

――ですから、この拳を、この躰で、この誰ともつかない心命で感じられるものだけを真実とする。簡単に言ってしまうと、馬鹿なんです。喧嘩馬鹿、なんですよ。売られた喧嘩は言い値で買って、何もなければ喧嘩を押し売り。性質が、悪いでしょう?
0
ヴェレーノ・マリス 2022年3月8日
それは好いお考えですわ。いつかの大逆転…ミコト様がそれを狙っているならば、私が掠め取ってしまうのはお行儀が悪いですわね。――まあ。本当に大事な事は隠してしまわれるのですね。貴方の飼い主様はしっかりご覧になっているのね、私達の談笑を。(不思議な現象に驚いた様子もなく、ただ楽し気に笑み一つ零して話の続きを)

…その玩具が容易く壊れぬように、ユーベルコードという呪われし刻みをもって貴方を所有しているのですわね。玩具として、観測機械として貴方を遣わすのなら、神様はそれ相応の楽しみを味わっていらっしゃるのでしょうか?
0
ヴェレーノ・マリス 2022年3月8日
ふふ、もしも葡萄に害があったとしても問題のない事ですわ。私はそれすらも食せる妖ですから。(むしろ甘いお菓子のように平らげてしまうだろう。何せ、この身こそが”害”そのものだから)

――いいえ。逆に感心が持てます。
良いではありませんか。本能的に相手の真と語り合う。
私は好きですよ。言葉によって疑心暗鬼に囚われるより、その身一つで痛みや悦を伴い相手の真実を捉える方がかえって…その御心が純粋にも思えてきます。
私もある種では同類ですのよ。何せ…私の生きる糧は人の感情そのもの。相手の御心や真実は、直に啜って垣間見るの。だから…そうね、感心と共感と持てるお話しです。
(そうっと目を細めて微笑む。蠱惑の毒で人を絡め取り、誘い出された者を喰らう化け物も言葉よりは相手を喰らってその真意を導き出すという。彼と違いがあるのだとしたらそれは多分、一方的な読み解きではあるのだが…)
0
ミコト・イザナギ 2022年3月27日
ええ、いつか必ずや果して見せましょうや。天狗に憧れた羅刹は、伊達ではない事を…アナタにも知らしめて差し上げる。けれど、掠め取れるなら掠め取ってもいいですが、アナタにとっても猛毒に外ならない。知らないほうが良い事もあるのですよ、ねえ…――神様。(虚空へと視線を送る。それは、見えない壁の向こうにいる誰かへと向けられたもののような…)

所有…。ええ、そんなものです。自由を愛するオレとしては邪魔な事この上ない。ですが、何も悪い事ばかりではありません。縛られているからこそ得られる愉悦と快楽、そして――友愛というものもあるのですから。さて、どうでしょうね。観測機は使われてこそ観測機。今は、まだ、その時ではないようで気配を感じませんね。まあ、いずれ目を向けるでしょう。それまでは、オレだけがアナタとの交流を愉しませていただくのみ。
0
ミコト・イザナギ 2022年3月27日
…なるほど、毒の胡蝶でございましたか。下手に触れるのは、今はまだやめておいたほうがよろしいようで。(まるで、害など意に介さないとばかりの物言いをする天狗面は、胸の内に悦を抱きながらも平静を保って呟く。)

…そう言って頂けると、非常に助かります。
率直な言葉、真っ直ぐな感情を、どうにもこの時代の生き物は厭う傾向にあります。真実はなく、虚実の信頼だけを頼りに歩くことほど無謀な事は無いというのに。
ええ、本能。それがオレの行動原理。興味があればこそ挑み、好機をそそられて思い切り殴りつける。言葉と暴力、あるいは…というものです。
0
ミコト・イザナギ 2022年3月27日
へえ…オレとご同類ですか。アナタも苦労していらっしゃるご様子で…しかし、となれば、アナタと出会えた今日この日は、行幸と言えるのでしょう。理解者を得られるのは、何よりの喜びです。(三日月を描く口許は、確かな悦びを見せる。が、然し、その実、その蠱惑の毒に誘い出されただけやもしれぬ事を彼は知らない。興味も無ければ関心も寄せない。あるのは、ただひとつ、ヴェレーノ個人への好奇心だ。)
0
ヴェレーノ・マリス 2022年4月5日
あらあら、既に猛毒である私以上の毒に匹敵するのでしょうか?けれど――、ミコト様が知らぬ方が良いと仰るのであれば、それに従いましょうか。(胸元に手を当てて、最後は貴方の望むままにと)

ふふ、貴方がその立ち位置を楽しんでおられるならば、これ幸いと言うべきでしょうかね。それならば、神の目など気にせず私も貴方との時間を楽しませて頂きましょう。(元より神様が見ていようが気にしている様子などなかったが)
0
ヴェレーノ・マリス 2022年4月5日
まあ。私に触れたいと?…ですが、賢明な判断ですわ。貴方がスリルを好まれる殿方であっても、私に不用意に触れればその身を苦しめるだけになりますもの。(ふふり。上品に微笑を浮かべる娘姿の瞳の奥は紫水晶のように美しいのに妖しさばかりが瞬く)

…この時代の者達は、真実を紡ぐより紡ぐ事を恐れているのですよ。真実を紡ぐ事にどれほどの意味と価値があるのか。真実を曝け出す事で傷つく事を何より恐れている。
だから、見せられないのですよ。心の内が…。
(哀れみを含んではいるが。…とはいえ、裏を返せばそれは己も同じかもしれぬ。こうして流暢に語れど、結局は相手の心啜って真実を解くのだから)
0
ヴェレーノ・マリス 2022年4月5日
私も、それしか真実を読みとけぬ哀れな蝶ですから。…なんて、(冗談にも思える声色で紡ぎながら)…今日この日を幸と捉えて頂けるのならば、私も同じ気持ちですよ。
この忌まれるであろう力に理解者が現れるなど、そうそうございませんから。(なんて共感を示しながら。――そう。共感を示しなら、もしかしたらこの蠱惑の蝶は彼を絡め取るかもしれない。然して彼は、それともものともしない。ただ好奇心だけがそこにあるのを確かに感じる)
0
ミコト・イザナギ 2022年6月3日
本当の猛毒というのは、中和できないとか、毒より殺傷力が高いことじゃなくて、――心抉るものこそが、真の猛毒と思う。要するに良心の呵責や矜持の裏切り、自分自身が自分にとっての致命の毒なのですよ――と持論を広げてみましょうか。隠された真実とは、往々にして自身が泥になってしまうものですからね。(喉を引き擦る、言葉を呑む忍び笑いを見せ。)

楽しまざるを得ない、とも言い換えられます。こうしていなければオレはオレを保てない、そんな強迫観念に駆られるのです。これもまた御神の"祝福"と言う奴ですよ。なんて――今は、どうでもよいことですが。(神に気を割く事さえ面倒だと感じ入る程には、この邂逅を楽しみたいと願っているものだから。)
0
ミコト・イザナギ 2022年6月3日
ええ、触れてみたいです。毒に浸食されながら触れるアナタの指先は…と夢想するだけで苦海もまた、愉悦と溺れられるでしょう。悦とは不利益無くして得られない、とりわけヴェレーノさん、アナタという毒は。(だから己の身と心が災禍に見舞われようともお構いなし。妖しく危険を帯びるからこそ触れてみたくなるというものだ、と。)

――笑い話にしかなりませんよね。生きている以上、傷つく事は怖くないと言うのに。(誰しもが何かを背負って傷や重さ、しがらみを背負っている。我も彼もそうした平凡な生き物であるという自覚の欠如が、そうさせているのかもしれない、と言葉を締め。)
0
ミコト・イザナギ 2022年6月3日
ではでは、哀れで美しく、可憐な蝶さん。(諧謔を弄するのならばこちらとて、と。)その気持ちを分かち合いつつ、静かに花の蜜に塗れるように、耽溺しましょう。稀有なことには違いないのです。(さりとて、言葉した言葉に偽りなく、素直な欲求を口にする。聖なる杯を掲げるようにグラスを持ち上げてから、ホットワインを傾け、飲み干す。)…さあ、もっと語らいましょうか。どうやって語らいましょうか。オレはアナタに興味が尽きません。(あるはずのないアルコールに酔ったような風体、緩やかな口調で問いかけながら喋りかける。それはもう、愉快なまでに。滑稽にすら見える程に。)
0
ヴェレーノ・マリス 2022年6月20日
――うふふっ。ミコト様は毒の在り方をご存じなのですね。…そう、毒と云うものは、決して如何なる時であれ、救いなど齎しません。全てを裏切り、確実に身も心も魂でさえも奪い取る。絶対悪でございます。(ゆうらり揺れる毒彩の眼はまさに其の毒を蕩かしたように色めく。自身にとっても毒――されど、そんな事実は何のその。だってそんな絶対悪だからこそ、この生は…楽シイノデハアリマセンカ)

楽しむという事すらも神意と仰るのですね。――ですが、それならばと。今だけは神の祝福を退けて。私との時を愉しんでくださまし。貴方様の意思のみだけで、この蝶を見ていてくださいな。(――なんて。目の前の天狗の意思を肯定するような甘やかな声色を放つ)
0
ヴェレーノ・マリス 2022年6月20日
…あらあら。不利益を被ったとしても御自身の愉悦を選びますか。本当に危うい殿方ですこと。ですが、ミコト様がお望みなのであれば……その身を対価に私の許へいらっしゃって?そうしたら――、
(刹那の間を置いて、緩やかな動きで身を前へと傾ければ。
彼に触れぬ距離まで細指を伸ばす。深淵にでも誘うような艶やかな笑みと共に)
甘く、苦痛すらも快楽に塗り潰す毒夢で、貴方を冒してさしあげますわ。
0
ヴェレーノ・マリス 2022年6月20日
(ホットワインを傾けて、この時という空間に酔ったような彼の風体。まるで神話でも語りだしそうな、滑らかな語り部に。くすりと愉快そうに毒蝶は笑う)
それでは、貴方の一番に好きな語らい方は?
その関心の赴くままに語り合ってもよろしくってよ。…こんなにも愉快な気分になったのは久しぶりでしたから、ね。私のどのような処に興味があるのか、全て曝け出してくださいな。――ねぇ?
(ゆうるりと首を傾げた娘は、上目遣いにも彼へと真っ直ぐ視線を穿つように眸を向けた。妖艶に唇は弧を描き、されども無邪気にころころと笑う毒(ヴェレーノ)は、貴方の興味を歓迎するようだった)
0
ミコト・イザナギ 2022年6月20日
いえいえいえ、あくまで持論、見識の狭いオレの偏見ですよ。ただ、もし毒が救いとなるとすればそれは、末期(まつご)に絶望の断崖に追いやられた者にのみにでしょう。ともあれ、毒は薬にもなります。猛毒の侭では難しいですが、薄めて希釈さえ出来れば。ただ、存在そのものは絶対悪なのは間違いありません。しかして、毒を喰わねば生きられぬというのが生き物。本当に、儘ならぬものです。(悪と定めて起きながら、天狗面はそれを"悪い"等とは言わない。清濁併せ吞んでこその衆生であると答えた。だからこそ、)――故に毒とは色鮮やかなもの。心惹かれるなとは難しい。(こうして、劇薬の誘惑に唆されている。それが痛快だ、と。)
0
ミコト・イザナギ 2022年6月20日
なあに、自棄という奴ですよ。みっともない事この上ない、フフフフ…ッ。ええ、ですからなりふり構わずオレを魅了するものに耽溺しているのです。見詰めていますとも、ええ、とても魅入っております。(肯定。他者の心の機微という物を心得た言葉には、目を反らし難い誘惑があった。)
0
ミコト・イザナギ 2022年6月20日
はい、もちろんですヴェレーノさん。どうせ生きるしかないのなら今生を彩る苦界を泳ぎ切ってはしゃぎますとも。危ういですか。ハハハッ、今こうして毒蝶の化身を前にしているオレに態々それを言いますか、あははっ。面白い、アナタ、本当に面白いです。いいですよ、喜んで踏み込みましょう。一歩と言わず、全身で飛び込みましょう。中途半端では惜しい。思い切りの良さが楽しむ事の醍醐味ですから。(では、と刺戟を齎すその身、その指先に手を伸ばして、先ずは指先から。齎されるモノがどんなものであれ、何食わぬ顔でそのまま、指を絡めるように握ってしまおうか――例えそれが比良坂に転げ落ちる行為であろうとも。)
0
ミコト・イザナギ 2022年6月20日
(語り音の天狗。伊達に名乗っているのではない。名は体を表す。言葉で、身体で、気魂で。あらゆる手段で語り合う事を嗜好とするが為。天魔はただの語らいでは満足できないのだ。仕草ひとつ、言霊ひとつ。全てが人物を象る断片。それを咀嚼するのが堪らなく美味。――では、好きな語らいと問われれば、この魔性は魔性らしく宣うのだ。) 正しく、身を投げ打っての語らいです。命を張らないやり取りや心砕かぬ会話だけでは、誤解を招くのを恐れずに言えば、正直薄味に過ぎます。(全てを曝け出して、と本音を誘引する彼女にはこれだけでは言葉が足りぬだろう。) 興味はアナタのいう猛毒そのもの。ゆえ、全身で味わい尽くしたいと思います。(暴かれる前に自ら貪欲を晒す。優艶に頬笑む毒の泉へと言葉の礫を投じる。響かねば沈むだけ。響けば、それは漣となって波紋を広げるだろう。)
0
ミコト・イザナギ 2022年6月20日
…ねえ、それを許してくれるかい?(天狗面を被った侭、抑えていた我慾を囁き返した。)
1
ヴェレーノ・マリス 2022年7月6日
(悪だというのに悪と言わない。そんな矛盾なようで納得もできる言葉紡ぎに、くすくすっと鈴を転がすかのように毒蝶は笑う)――生き物というのは難儀なものですわね。此れを救いと言葉にする程、毒に飢えてみたり…薬になると蜘蛛の糸を掴むかのように触れてみたり。…ですが、私の毒は生命を確実に喰らう毒。例えば救い等があるのだとしたら、終焉を望む者かあるいは…貴方様のように悦を求む愚かな天狗、かしら…?(それで彼がこの毒に命を削られても、屹度この蝶はただそこに蕩けだした生命力を啜り味わうだけなのだが――それでも彼の目には誘惑的に見えるのだろう。この劇薬は)
0
ヴェレーノ・マリス 2022年7月6日
あら…みっともなくても好いではありませんか。溺れた貴方が満たされた時こそ私も楽しみ甲斐がありますし?(口許に指先を当てて笑みを深める。そのまま目を逸らさず、蝶を見続けているのであれば――その時、魅入られた分だけその心を――、)
0
ヴェレーノ・マリス 2022年7月6日
くふふ、天狗様の愉快さには負けますわよ。――ええ、貴方が飛び込む事を是とするならば、中途半端なんて味気ない事は致しませんわ。それこそ全身で飛び込むだなんて…愚かにも、いっそ愛らしくなる貴方の事を私も楽しませて頂きますわ。(大胆にも指先を絡めて毒蝶の手を握る天狗。彼こそ、本当に愉快な御方。――ならばと歓迎代わりに、己が手を握る天狗の指先に毒口付けの1つ落とそうか。甘くも鈍く痺れる柔い毒をその指先うつして――≪貴方のひと時を捕まえた≫。そんな言葉を印として溶かす)
0
ヴェレーノ・マリス 2022年7月7日
(そうして語り音の天狗は、己がらしく応えを示す。ありのままを語る音は、彼の真を毒の泉に弾く。蝶が促すまでもなく、天狗は全て己が欲のままに晒す。許しさえも問う貪欲な天狗に、蝶は満足げに優艶な微笑を妖に深めて、それに答えを示すように先に繋ぎ合った彼の手を更にと引く)

…愚問、と言うべきでしょうか。そこに許しを問う必要などございません。
ですが、この毒全てを味わい尽くせるかは貴方様の心次第ですわ?この毒は手を伸ばし冒した者を等しく私の命の糧とする呪。…貴方様が、私の毒にその感情を心を蕩かして、啜り取られるお覚悟があるのなら――味わうといいわ。我が猛毒を。
(天狗と蝶が握る掌から伝うは、更なる蠱惑の毒か。それとも、ただのヒトとしての熱だったか。それでも誘う言葉だけでも彼の慾を擽るには十分なのかもしれない。)
0
ミコト・イザナギ 2022年8月15日
ええ、オレにとっては救いで、希望であり、愉悦でもある。毒とは、そういうものです。(命をかけて喧嘩を吹っ掛けて回る天狗にとって、それこそが、唯一の特効薬。見詰める先には、変わらず|鱗粉《微笑》を振りまく蝶が悠然と佇むばかり。)はい、どうぞ平らげてくださいませ。今はそれのみが貴女との共通の見解なのですから――、…。(触れただけで、指先に痺れが生まれる。嫋やかな振舞で口付けを落とされれば、|好《害》意を寄せられていると笑みが綻ぶ。それが証拠に、指先が痺れで熱くなって来ている。) 覚悟? 覚悟なんてとうの昔に済ませて来ています。だから、アナタもご存分に…――。(心は固まった。ならば、この蝶がより美しく羽搏きを魅せてくれる場所にへと、誘う為に手を引き――座敷園の奥にへと連れ去っていくだろう。)
0
ミコト・イザナギ 2022年8月15日
―〆―
0